後続有人隊列走行、ドライバーの休憩扱い望む意見 検討会でヒアリング調査の中間報告 国交省
国土交通省は22日、東京都千代田区の同省で第3回「新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」を開き、1~2月に実施した後続車無人状態でのトラック隊列走行実験の結果を報告するとともに、検討会の取りまとめに向けた骨子の「たたき台案」について審議した。
後続無人隊列走行実験は、1月22日~2月26日にかけて、静岡県内の新東名高速浜松サービスエリア(SA)~遠州森町パーキングエリア(PA)間15キロメートルの区間で実施。先頭の有人運転車両と後続無人状態車両2台の合計3台で143回、2145キロメートルの本線走行を行った。
SA・PAから本線への合流は84回行い、すべて後続車の自動合流が成功したが、走行中にGPS受信異常により3回ドライバーがハンドル操作を行った。また、外部要因によるものとして、一般車接近によるハンドル操作が3回、SA内での歩行車接近などで3回のブレーキ操作が発生した。大半の区間で、GPSによる制御を行ったが、道路の上空にネットが張られている区間については瞬間的に受信が途切れるため、「3Dライダー」と呼ばれる車載装置による制御が行われた。
走行速度は、70キロメートルで車間10メートルだったが、来年度は80キロメートルでの実験を行う計画。また、今年度は荷台に積載の無い状態で実験を行ったが、今後はさまざまな積載パターンでの走行実験を行う。
コストについては、現行の車両プラス1千万円程度に収まれば商業ベースでの運用が可能になると見込まれているが、幹線輸送で一定程度のボリュームがあり、投資余力のある大手事業者に限られる可能性が高い。
検討会ではこのほか、日本自動車工業会によるトラック運送事業者へのヒアリング調査の中間報告が行われ、後続有人での隊列走行については、「後続車ドライバーの負担軽減により『みなし休憩』となれば運用上のメリットが大きい」などの意見が紹介された。
また、後続無人での隊列走行には、インフラ整備などで時間を要すると見ている事業者が多いことや、隊列走行の技術を活用した物流センター内でのバースへの自動発着実現に期待を示す事業者の意見などが報告された。
取りまとめに向けては①物流を取り巻く課題②高速道路を取り巻く課題③新しい物流システム④高速道路インフラの整備・活用の方向性⑤今後の課題―からなる骨子の「たたき台案」が事務局から示され、委員からは、隊列走行の先を見据えた内容を盛り込むべきとの指摘やビジネスの視点を反映させるべきなどの意見が出された。
取りまとめは、年度内に行われる予定だったが、たたき台案に対する委員の意見などを反映させた上で、6月ごろまでに公表する。