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2019年5月6日付 2746号

男性運転者の平均賃金は7年前より5%以上増加 18年度実態調査結果  全ト協

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は4月23日、2018年度版のトラック運送事業の賃金・労働時間等の実態を公表。18年5~7月の男性運転者(牽引・大型・中型・準中型・普通)の1人当たりの1ヵ月平均賃金は、33万9500円で、7年前の前回調査を5.9%上回っている。

 調査は、トラック運送事業に携わる従業員の賃金や労働時間、福利厚生などの実態を把握して、労働環境改善に役立てるための基礎資料とすることを目的に行われ、今回の調査は2011年以来7年ぶりに実施された。

 調査対象の一般事業者2298社、特積み事業者195社の合計2493社に対し全ト協から事業者に調査票を郵送。

 このうち一般619社(回答率26.9%)、特積み46社(23.6%)の合計665社(26.7%)から有効回答を得た。

 調査対象期間となった18年5~7月に支給された全職種の1人当たり1ヵ月平均賃金は、特積みが32万8400円で前回調査より4.4%増加、一般が32万8900円で6.0%増加している。年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額は特積みが37万3700円で5.6%増加、一般が36万9200円で6.9%の増加となっている。

 男性運転者の賃金は、特積みでは34万2200円で5.5%増加、一般では33万8500円で6.2%増加している=左上表。

 年間賞与の1ヵ月平均額を加えた月額は特積みが38万6600円で8.0%増加、一般が36万9700円で5.8%の増加となっている。

新中期経営計画を発表 施設とIT投資に注力し経営基盤の強化へ  SGHD

 SGホールディングス(荒木秀夫社長)は4月26日、2019~21年度を期間とする新中期経営計画「Second Stage 2021」を発表した。ソリューション提案チーム「GOAL」を進化させながら、働き方改革と適正運賃収受に継続して取り組み、東京都江東区で20年度下半期から稼働する大型中継センター(Xフロンティアプロジェクト=XFPJ)でネットワークも強化するなど、持続的成長に向けて経営基盤の強化を図る内容。

 重点項目は①物流ソリューション進化②経営資源の価値最大化③デジタル化の推進と最新技術導入④グローバル事業拡大⑤組織・人材の高度化⑥ガバナンス強化―の六つ。

 ①ではGOALの対象顧客層・市場の拡大、日立物流との協創プロジェクト強化によってソリューション提案力を進化させる。②では評価制度の見直しなど人的資源の価値最大化やXFPJによるグループ機能の有機的結合による、新たな価値創出を目指す。③では配達業務への国土地理協会11桁コードの利用による仕分効率化や伝票のフルデジタル化を検討していく。最終年度の目標数値は左上表のとおり。

 計画発表に伴い会見に臨んだ荒木社長は、XFPJなど設備投資と、顧客サービス強化を目的としたIT投資に力を入れていく考えを示すとともに、当面は輸送品質の維持改善に注力し、XFPJの稼働後に取扱個数の拡大を目指していく方針を強調した。

 日立物流との協創については、引き続き協創案件の拡大を図りながら、経営統合など次のステージに向けた協議を行っていくと述べ、具体的なスケジュールなどについては言及を避けた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(123)『足元の日本経済は堅調なのか(その4)』
    ☆物流応援歌(14)『労働力不足は入管法改正で救えるか=物流業界の可能性を考える前に(その2)=』
    ☆日本通運、顔写真入り4月15日付役員一覧表

  • ☆全ト協、星野前会長の叙勲を祝う会
    ☆日通・竹津副社長が決算会見、過去最高の業績で初の売上高2兆円達成
    ☆ヤマトHD・芝﨑副社長が決算会見、19年度宅急便は個数4%増を想定
    ☆日立物流・中谷社長が決算会見、SGHDとの経営統合で前提となる目標は未達に終わる
    ☆エコモ財団、17年グリーン経営認証取得効果はトラック燃費3%向上など
    ☆JR貨物・全国通運等、日曜の鉄道輸送余力を活用したF-LINE号の出発式開催
    ☆日通の18年度取扱実績、内航が前年上回る
    ☆センコー、千葉県印西市に5万1千平方メートルの大型拠点開設
    ☆日立物流、熱核融合実験炉への一貫輸送で契約締結
    ☆日通総研短観、4~6月見通しはトラック運賃の上昇圧力高まる
    ☆西久大運輸倉庫、彌永会長・伊東社長の就任披露式
    ☆ヤマトスタッフサプライ、適性診断をメインとしたカスタマイズ研修が好評に
    ☆東京納品代行、イタリアの高級ファッションブランドと提携し物流事業強化へ
    ☆日通、鉄道・内航を利用し東京港を回避するBCP対応用の輸入貨物配達ソリューションを発売
    ☆国交省がドローン輸送ビジネスモデル検討会、ヤマトの無人航空機はビルへの配送を想定
    ☆JILS、18年度の物流コストは売上高の4.95%で17年度比0.29ポイント増加
    ☆国交省・山腰安全政策課長、健康起因事故対策を強化の意向示す
    ☆各社の19年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼令和スタート。振り返ると、トラック関係者にとって、平成は物流2法による規制緩和で幕を開けた競争の時代だった。
    ▼規制緩和の主眼であった多様なサービスによる利便性向上よりも、行き過ぎた競争による弊害が多かったという総括は言い過ぎではないだろう。
    ▼30年間で疲弊し、限界を迎えていたトラック業界。その状況を正すため、平成最後の年末に改正貨物自動車運送事業法が成立した。
    ▼改正事業法の具体的な施策の展開は、時間外労働の上限規制に関する自動車運転者への猶予期間である5年間と深くリンクし、それは、令和のスタートの5年間と重なる。平成の失敗を繰り返さぬためにも、この5年間は重要だ。

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