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2019年5月13日付 2747号

今後の施策素案で、リードタイム延長も物効法認定対象に 荷主の物流配慮後押し  国交省

 国土交通省は8日、東京都千代田区の同省で「共同物流等の促進に向けた研究会」の第4回会合を開き、荷主企業2社からヒアリングを行うとともに、6月にも取りまとめを行う予定となっている今後の施策の方向性に関する素案を審議。「ホワイト物流推進運動」参加への後押しや、共同物流等に先進的に取り組む企業への制度的・財政的支援の必要性などを盛り込んだ事務局素案は、おおむね了承された。

 ヒアリングでは、製菓メーカーのブルボンとファストフードのマクドナルドから、物流負荷低減の取り組みなどに関して説明を受けた。

 ブルボンの担当者は、同社では共同物流に長い歴史を持つが、ドライバー不足などで共同物流の必要性がより高まっていると指摘した上で、今後さらなる効率化を目指すには、着荷主での待機時間の短縮などが重要であるとして、発着荷主と物流事業者の三位一体の取り組みが重要であると説明した。

 マクドナルドでは、物量が増える週末の負荷を減らすため、平日にも分散して週末分の荷物を店舗に運び込み物量平準化を進めるとともに、週1日「納品休日」を設けドライバーの負担軽減を図るなど各種の取り組みを行った結果、コストについても若干低減するなどの副次的効果が表れた。

 施策の方向性の素案では①ヨコの連携②タテの連携③モードの多様化等幹線輸送の改善④地域における持続可能な物流の確保―の必要性に対応した取り組みについて、発着荷主や物流事業者の役割を例示している。

 ヨコの連携では、物量平準化に向け、波動が逆になる貨物の共同配送を進めることや、異業種間連携の推進などが必要であると説明。タテの連携では、翌日配送見直しや検品レスなど、商習慣の見直しが必要であることなどについて触れている。

 その上で、行政の今後の施策の方向性を「意識の変革の支援」「標準化の支援」「制度的・財政的支援」に整理。

 意識の変革の支援では、リードタイム延長や検品簡素化などの取り組みについて物流効率化法認定の対象とすることや、荷主企業・物流事業者の連携相手のマッチング支援についての検討などを盛り込み、標準化の支援については、現在再公募に向けた調整が進められているSIPスマート物流の開発・運用を想定したサプライチェーン全体にわたる最適化などが盛り込まれている。

 制度的・財政的支援については、「ホワイト物流推進運動」の推奨項目について、積極的に物流効率化法認定を行うなど、荷主企業の内外調整にも貢献するために制度的な後押しを進めていくとしている。

 次回の研究会は、6月に開催し、取りまとめを行う予定。

働き方改革が着実に進み残業時間が大幅減、社員満足度向上も  ヤマトHD

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)はこのほど公表した資料で、中期経営計画で経営の中心と位置付けている働き方改革について、着実に進捗しているとの認識を示し、今後も引き続き社員が働きやすく、働きがいのある会社とするために、労働環境の整備に取り組んでいく考えを強調した。

 資料によれば、残業(時間外労働時間)が月間80時間を超えた社員数は、改革実施前の2016年度を100とした場合、17年度35.1、18年度0.3と劇的に改善。1人当たりの残業時間も16年度を100とした場合、17年度92.6、18年度65.3となり、3割を超える減少率を実現した。

 一方でワークライフバランスの推進として取り組んだ、年次有給休暇の取得促進については、取得率(取得日数を付与日数で除したもの)が16年度52.5%、17年度60.7%、18年度81.5%と年々上昇するなど、着実に成果を上げていることを明らかにした。

 国内グループ会社のフルタイマー・パートタイマー社員を対象に定期的に行っている意識調査では、「働きやすさ」「働きがい」「働き続けたい」のいずれの項目も改革前と比較して改善。特に「働きやすさ」は16年度の47.6%が17年度に68.4%と大きく改善、18年度はやや減少したものの67.1%を記録するなど、社員満足度は向上しているとしており、今後は局所的に見られる平均値を下回るエリアでの改善に取り組んでいく方針を示している。

 このほか、退職者比率(自己都合退職者数を、年度末の在籍社員数と定年等を含む退職者数を加えた数字で除したもの)についても、働き方改革の効果から16年度3.3%、17年度3.2%、18年度3.0%と減少傾向を示しているとした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(96) 『日中AEOの開始からみる中国のAEO制度への取り組み』
    ☆四文字 『発展途上の「星雲時代」』
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会・内宮昌利副会長

  • ☆YSDが業務自動化のためのRPA導入企業に新サービス提供開始へ、国内初の重量課金制
    ☆エコモ財団が「2019年度エコドライブ活動コンクール」の募集開始、HPで受付中
    ☆SBSゼンツウが「第7回生活物流部門ドライバーコンテスト」を開催し56人が腕前を競う、優勝は入間営業所の小澤選手
    ☆引越事業者の18年度売上高規模は専業者が伸長、サカイ引越センター1位
    ☆ボックスチャーターが本年10月からJITBOXチャーター便の積載量など見直し
    ☆全ト協、7年前の調査に比べ男性運転者の平均年齢が3.0歳上昇
    ☆SGHDの18年度のデリバリー事業実績は取扱個数2%増、単価は63円改善
    ☆丸和運輸機関が中計でプラットフォームビジネス展開、EC配送網強化も
    ☆日通がアジア・シームレス物流とオフィスセキュリティーの展示会に出展
    ☆日通が北京物資学院の学生の日本での研修受け入れ実施、「日通物流ゼミ」のプログラムの一環で
    ☆各社の19年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼昨今騒がれている物流の自動化、すでに自動倉庫は普及段階に進みつつあり、自動運転も鋭意研究が進められている。
    ▼そうした中、最後まで人手が残る部分はどこかと考えると、配達を除けば荷役になるのではないかと思う。ばら積みであれパレット積みであれ、誰かが何らかの機材に積み付けなければならない。
    ▼荷姿も中身も事前に予測可能な生産現場からの出荷ならともかく、企業間物流での荷受や特積み輸送など、荷役において自動化が難しい場面は多い。
    ▼いっそのこと、人間型の二足歩行ロボットで荷役できないものかと夢想する。そうなると、物流を構成するほとんどの作業が無人化されてしまうかもしないが。

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