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2019年7月8日付 2755号

荷待ち時間改善に向け、ガイドライン策定へ 懇談会ごとに年度内めど  国交省

 国土交通省は昨年度から、トラックドライバーの荷待ち時間が長い貨物の上位3分野について、改善策などの検討を進めてきたが、本年度も検討や実証実験を継続して年度内に「ホワイト物流推進ガイドライン」(仮称)を策定する。

 国交省では、アンケート結果から荷待ち時間が長い「加工食品」「紙・パルプ」「建設資材」について、昨年度分野ごとに懇談会を設け、荷主と運送事業者の協力による生産性向上やドライバーの労働時間改善に向けた対応策の検討などを行ってきた。

 本年度は、これまでの議論を踏まえ、荷待ち時間の長いドライバーの置かれている現状・課題の整理を行うとともに、実証実験や実態調査の深堀りを進めた上で、年度内に「ホワイト物流推進ガイドライン」を策定することとし、「加工食品」と「紙・パルプ」については、本年度第1回の会合を開いた。

 3日に開かれた「第4回加工食品物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」では、昨年度の議論を踏まえ①受発注条件の見直し②荷待ち時間削減③荷役時間削減④検品時間削減―について、調査・検討を進めることを決めた。

 受発注条件の見直しについては、リードタイムを1日前から2日前に前倒しすることで車両の回転率や配車、荷卸に与える効果や影響などを分かりやすく整理するとともに、週末や月末月初などに物量が増加する「波動」の平準化に向けた定量的分析や解決策について検討を進める。

 荷待ち時間削減については、30分以上の荷待ちを対象とした要因分析や、改善手法の検討などを行った上で、KPI(重要業績評価指標)による改善とPDCAサイクルによる継続実施のあり方を探る。

 6月25日に開かれた「第3回紙・パルプの物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」では、輸送特性の異なる「洋紙・板紙」と「家庭紙」に分けて、議論を行った。

 洋紙・板紙では、発注期限が守られない一方で納品時間指定が厳しいなどリードタイムの確保に課題があるほか、雑誌販売日などの影響で特定日・曜日に物量が集中することによる繁閑差の増大などの課題が明らかになっている。

 あす9日には、「第2回建設資材物流における生産性向上及びトラックドライバーの労働時間改善に関する懇談会」を開き、建設資材物流の改善に向けた本年度の取り組みの方向性などについて話し合う。

 各懇談会ごとに、年度内にガイドラインを取りまとめ、「ホワイト物流推進運動」の枠組みを活用しながら、荷主を中心とした関係者に荷待ち時間改善の必要性について意識の浸透を図るとともに、物流事業者と連携した取り組みを促す。

G20大阪サミットの警備資材を一元管理 グループ3社が完遂  SGHD

資機材の保管スペース

 佐川急便(本村正秀社長)、佐川グローバルロジスティクス(SGL、森下琴康社長)、SGムービング(SGMV、別所規至社長)の3社は、先月末に開催されたG20大阪サミットに関連して、大阪市内を中心に6月27~30日の4日間行われた大規模な警備用の資機材の一元管理について、大阪府警察本部から受託、各種作業を完遂した。

 SGHDグループの組織横断型ロジスティクスプロジェクトチーム「GOAL」が中心となって受託。大阪市此花区にあるSGL舞洲SCRを保管拠点とし、重量や大きさの異なる100種類のアイテム、約10万点におよぶ資機材の保管・ピッキング・配送(警備拠点への配送と終了後の引き上げまで)と、終了後の各メーカーへの返送作業までを手掛けた。

 SGLは警備資器材の保管・管理を担い、大阪府警装備隊と共同で頻繁に行われる細かい発注に対して迅速・確実な入出庫業務を実施。SGMVは車両阻止柵や照明機器など100キログラムを超える重量物の搬送を担当。佐川急便はこれら全ての工程を管理統括する物流設計業務を担当した。

 SGHDは今回の業務受託に関して「一連の管理プロセスにかかる時間や人手が大幅に削減され、大阪府警の主業務である警備業務に集中していただくことが可能となり、大変好評をいただいた」とコメントしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(127) 『「日本は財政危機」論の真偽(その2)』
    ☆四文字 『戦後の出発「復興第一」』
    ☆物流応援歌(16)『東京オリパラ対策 TDM評価(1)=東京港海コン輸送事業者の視点から』
    ☆ウォッチ(98) 『米中貿易戦争から見る「国際分業の再構築」』
    ☆人物ウィークリー、ヤマト運輸(株)・栗栖利蔵代表取締役社長

  • ☆国交省、新事務次官に藤田国交審
    ☆全ト協・日貨協連、6月のWebKIT成約運賃指数は最高値更新で25カ月連続連続前年同月比増
    ☆運輸労連定期大会で難波委員長があいさつ、高齢者・女性採用へ就労環境の整備を
    ☆国交省、重要物流道路における海コンの特車許可不要を7月31日から運用開始
    ☆国交省・エネ庁、デジタコ車載器や予約受け付けシステム導入への助成申請を7月24日から受け付け開始
    ☆日通、医薬品用の新設4拠点のうち2拠点目の「西日本医薬品センター」着工
    ☆フランス日通、モロッコに2ヵ所目の拠点整備
    ☆住友倉庫、創業120周年記念しキーコンセプト「時代をつなぐ。世界を結ぶ。」策定
    ☆国交省、運行管理や安全経営のためのICT活用ガイドブック公表
    ☆国交省、過疎地等におけるドローン物流検討会で中間とりまとめを公表
    ☆故原島望泰カンダホールディングス元取締役のお別れの会、帝国ホテルでしめやかに

今週のユソー編集室

  • ▼G20大阪サミットが終わった。たった2日間とはいえ、やはり主要国の首脳が一堂に会する光景は壮観の一語に尽きる。ホスト国の責任を無事に果たした関係者の労苦を思う。
    ▼驚いたのは、物流において一部で発生した配達遅延などを除き、事前に心配されたような大きな混乱が見られなかったことだ。ある物流関係者は、事前周知や荷受中止などの対策が効果を発揮したのだろうと語ってくれた。
    ▼さて、来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックがやってくる。今回とは比較にならないほどの長期間にわたる交通規制を、われわれは混乱もなく乗り越えられるのか。何らかの知見が得られたものと思いたい。

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