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2019年10月14日付 2766号

生鮮食品など対象とした来年度生産性向上労働時間改善懇談会立ち上げへ、アドバンス事業の対象品目を報告  中央協議会等

 国土交通省等は9日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第11回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会と第10回トラック運送業の生産性向上協議会の合同会議を開催し、本年度各地方協議会で実施する「アドバンス事業」の対象品目などを報告するとともに、来年度は「生鮮食品」と「飲料・酒」について生産性向上・トラックドライバー労働時間改善懇談会を立ち上げ、課題整理や改善策の検討を行うことを決めた。

 会議ではまず、国土交通省・厚生労働省・農林水産省の担当者が、トラック運送業の働き方改革に向けた最近の取り組みなどについて報告を行った。

 国交省は、「ホワイト物流」推進運動で9月末現在、約550社が自主行動宣言を提出していることや、「運転者職場環境良好度認証制度」について本年度中の申請募集開始に向けた準備を進めていることなどを紹介。改正貨物自動車運送事業法に盛り込まれた標準的運賃については、可能な限り早期の告示に向けて、現在作業を進めていることなどを説明した。

 説明に対し委員からは、「標準的運賃は、必要なコストを個別に積み上げて提示する形になるのか」との質問が出されたが、国交省自動車局の伊地知英己貨物課長は、「積み上げた形にするかどうかについては、まだ決まっていない」と回答し、現段階では具体的な提示方法について決定していないことを明らかにした。

 厚生労働省の担当者は、昨年策定した「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」の周知などを目的に、全国で合計50回セミナーを開催する予定であることや、来年度予算概算要求で自動車運転者の長時間労働改善などの関連予算で1億5千万円を要求したことなどを説明。

 農林水産省からは、手荷役作業が発生しやすく、小ロット多頻度輸送が多いことなどから、運送事業者に敬遠される事例が出てきているとされる食品流通について、サプライチェーン全体の最適化などを目的とした「食品流通合理化検討会」を、経産省・国交省・発着荷主関係団体・運送事業関係団体などをメンバーとして設置する計画であることなどが紹介された。

タイに冷凍・冷蔵拠点開設、3温度帯管理の機能は日本と同レベルに  センコーHD

M―SENKOロジスティクスセンター

 センコーグループホールディングス(福田泰久社長)は9日、タイのサムトプラカーン県に3温度帯の「M―SENKOロジスティクスセンター」を竣工させたと発表した。

 グループ傘下で冷凍・冷蔵事業を展開するランテック、タイの外食チェーン企業MKレストランとの合弁会社 M―SENKOが約5万3千平方メートルの敷地に延べ床面積約2万2千平方メートルの施設を建設したもの。バンコク市内から車で約28キロメートル、スワンナプーム国際空港から約23キロメートルに位置し、タイ国内の配送の利便性が高い好立地にある。

 冷凍(マイナス25度)・冷蔵(0~4度、4~8度、6~10度)の自動倉庫や可動ラックを備え、幅広い保管温度帯に対応できる。 また、センコーグループの冷凍・冷蔵物流技術や日本で培った人材教育ノウハウの活用などで、日本国内と同レ ベルの高品質なサービスを提供していく。

 M―SENKOはタイ国内のМKレストラン各店舗への食材供給、顧客開拓を進め、タイ国内ナンバー1のコールドチェーン展開を目指す。

今週掲載トピック一覧

  • ☆聖火が初めてやってきた東京1964(1)『悩みはブッツケ本番 一応の計画は作るものの来てみなければ分からぬ数量(1)』
    ☆トラック運送業における働き方改革のヒント(1)
    ☆ウォッチ(101) 『中国「粤港澳グレーターベイエリア」構築に関する施策』
    ☆四文字 『問題だった「税制制度」』

  • ☆国交省がITツール活用のための中小事業者向けガイドブック作成
    ☆国交省が4社によるダブル連結トラックを活用した宅配貨物等の共同輸送に関する連携省エネルギー計画を認定
    ☆運輸労連がドライバーへのアンケート結果まとめる、過半数が荷主先での契約外附帯作業強いられる
    ☆ヤマト総研が社会課題解決に資する物流の論文とアイディアを募集、賞金総額100万円
    ☆国交省の蒲生総合政策局長が会見、次期社会資本整備重点計画へ新たな視点で準備
    ☆国交省の一見自動車局長が会見、標準的運賃の告示を早期施行に向け準備
    ☆SBSロジコムが20年10月に横浜市金沢区幸浦に大型物流施設を整備へ、延べ床面積3万4千平方メートル超
    ☆ヤマト運輸が安全・安心な社会の実現へ「地域見守り活動」の締結式、警視庁と連携
    ☆ヤマト労連が定期大会開催、小野崎副会長を新任
    ☆物流連が懇談会開催、JR貨物の真貝社長が現状の取り組み説明
    ☆東京交運労協がトラックの日行動、駐車問題など訴える
    ☆建交労東京・埼玉部会がトラックの日行動実施
    ☆全ト協・日貨協連、9月のWebKIT成約運賃指数は131と高水準ながら28ヵ月ぶりの前年割れに

今週のユソー編集室

  • ▼先週末には台風19号が東日本を襲った。この原稿を執筆している段階では被害状況は分からないが、最小限にとどまっていることを強く願う。
    ▼千葉県を中心に停電など大きな被害をもたらした台風15号の教訓を背景に、関東地方は台風襲来の数日前から厳戒態勢の様相を見せた。物流企業も出勤停止などの措置を準備していたようである。
    ▼先の台風では国や県の初動の遅れが批判された。油断もあったのだろうとは思うが、停電等による情報の途絶が復旧の遅れを招き、被災者の負担を大きくした側面は否めない。物流企業のBCP(事業継続計画)から見ても、長期間の停電下の情報収集という難題が加わった。

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