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2019年11月4日付 2769号

事前登録で許可不要の新制度の創設検討、特車の通行許可に関する今後の方向性承認  社整審道路分科会物流小委

 社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会物流小委員会は10月29日、東京都千代田区の国土交通省で第20回会合を開き、特車通行許可の審議日数短縮に向けた新たな制度の確立など、今後の方向性を固めた。

 特車通行許可は、2020年までに平均審査日数を10日程度とする目標を掲げている。一方でドライバー不足による車両の大型化などにより、近年は申請・許可件数ともに増加傾向にあり、審査日数も自動審査システムで完結し国が一括審査を行えるものは8.5日となっている反面、地方公共団体との協議が発生する(自動審査システムで完結しない)ものは35.7日を要しており、全体でも28.5日と目標達成は厳しい状況だ。このため国土交通省は、事前審査を重視する従来のやり方から、ICTを活用した走行確認を重視するスタイルへ転換させ、目標達成を目指す方向性を示した。

 具体的には①自動審査の拡大・機能向上②新たな制度の創設による手続きの簡素化・国への一元化③事業者による重量確認の取り組み等の後押し④取り締まりの強化等による過積載の抑止―の四つの施策を用意。

 ①では申請件数が多い地方道について国が代行して電子データ化を進めるとともに、21年度から新たな申請・審査システムを稼働させ、全ての通行可能経路の一括表示や過去の許可実績のデータベース化などによる実質的な通行可能経路の拡大を実現。

 これを踏まえ②として、道路法の改正や外部機関との連携も視野に入れ、現行の制度と併存する形で、事前登録した車両が許可を受けることなく通行可能経路を通行できる制度の創設を検討する。登録はETC2.0の搭載や、OBW(車載型重量計)による重量報告等を要件とするイメージ。併せてOBWの開発・普及促進などを進める。

 委員からは、外部機関や過積載情報の共有化について質問があがり、このうち外部機関については、事務局が委託する業務内容まで含めて今後検討していくと回答。これらの質疑を踏まえ、小委員会として今後の方向性を承認した。

日立物流との協創は海外で効果拡大へ 宅配個数見込みを上方修正  SGHD

 SGホールディングス(荒木秀夫社長)の川中子勝浩取締役経営企画担当は10月31日、東京都千代田区の国土交通省で決算会見を開き、2019年3月期第2四半期連結決算の内容等を説明した。

 川中子取締役は増収増益の理由として、高付加価値サービスやEC貨物が好調だったこと、適正運賃収受の進展などを挙げた。

 日立物流との協創では「海外における両社のポジショニングにより、当初の想定ほどの効果が出ていないとの共通認識はある。両社で話し合って検討していきたい。他の事業者と連携して取り組むやり方もあるが、具体的な話はない」と語り、協議を続けながらシナジーの拡大を模索していく考えを示した。

 第2四半期末の宅配便単価は636円で前年同期比29円増、期末時点では641円を見込み、通期の宅配便実績は当初予想を2千万個上回る13億3千万個を見込む。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(134) 『駆け込み需要の規模は予想外に小さかった(その4)』
    ☆物流応援歌(20)『「2020東京五輪」と物流・人流(2)=ロンドン・リオ五輪のケース=』
    ☆四文字 『事業の焦点「問題把握」』
    ☆聖火が初めてやってきた東京1964(4)『事故皆無を目標に 誤記・損傷に厳重注意』
    ☆トラック運送業における働き方改革のヒント(2)
    ☆ウォッチ(102) 『中国「交通強国」建設に関する考察』

  • ☆物流連がモーダルシフト優良事業者表彰発表、大賞に全国通運ら
    ☆全ト協が第51回トラックドライバー・コンテスト開催、内閣総理大臣賞に日立物流西日本の大原選手
    ☆日通の竹津副社長が決算会見、超過勤務削減効果は35億円で適正運賃収受効果は158億円見込む
    ☆ヤマトHDの芝﨑副社長が決算会見でアマゾン荷物の値下げ報道を否定
    ☆日立物流の中谷社長が決算説明会、SGHとの経営統合は海外強化が大前提
    ☆日立物流、5G活用の物流センター構築へKDDIと実証実験
    ☆日通が国内引越サービスを毎週水曜日定休に
    ☆センコーHD、健康・くらしを支援する事業拡大
    ☆JR貨物、台風19号で貨物列車運転中止の全区間で運転を再開
    ☆日通総研短観、10~12月見通しは国内向け出荷量減少し運賃は高止まり状態
    日立物流が埼玉県春日部市に小規模EC事業者向けプラットフォームセンター稼働
    ☆日通が九経連・上海集団と業務提携、日本産品の中国への輸出促進など
    ☆センコーHDが囲碁フェス2019開催
    ☆物流各社の第2四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼台風19号の影響により、中央線や東北線の一部区間で貨物列車の運転ができない状態が続いていたが、10月29日にすべての区間で運転が再開された。
    ▼通勤途中に見かけていた貨物列車の姿がない日々が続いていたが、久々にコンテナを満載した列車が荷物を待つ地域に向けて走っていく様子を目にして、いつもに増して頼もしさを感じた。
    ▼普段は意識されることの少ない「運ぶ・届ける」という使命は、その役割が途絶えたとき、そしてまた旧に復したときに、人々の心に存在感を持って浮かび上がる。
    ▼つつがない日常が何よりだが、平穏な日々の中にこそ、「運ぶ・届ける」で支えられている生活に感謝したい。

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