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2019年11月11日付 2770号

高速バスで貨客混載、初の効率化計画認定 愛媛~東京間で八幡浜市産品など輸送  国交省

 国土交通省は1日、伊予鉄バス(清水一郎社長)と伊予鉄南予バス(松本真一社長)が計画している、愛媛県八幡浜市~東京都新宿区間の高速バスを利用した貨客混載輸送について、物流総合効率化法に基づく総合効率化計画として認定した。高速バスを利用した貨客混載輸送は、全国初の認定となる。

 八幡浜市で生産しているかんきつ類やジャム、ゼリー、水産加工品などを保冷ボックスに入れ、伊予鉄南予バスが管理する同市内の八幡浜営業所車庫内で、伊予鉄バスが運行する高速バスのトランクルームの空きスペースに積載し、920キロメートル離れた新宿区のバスタ新宿まで14時間をかけて貨客混載輸送するもの。

 バスは保冷ボックスを2個積載し、八幡浜を午後5時20分に出発、バスタ新宿に翌日午前7時40分に到着する。輸送開始は11月末を予定しており、平日のみ週2回運行する計画。新宿区内のバスの車庫で受け渡された荷物は、都内の小売店、飲食店、直売所等に提供する。愛媛県および農業マーケティングなどを手掛けるアップクオリティとの連携事業。

 トラックの特積み貨物を利用した場合と比較して、CO2排出量が約2.6トン削減できるほか、地元産品の販路拡大などの効果も得られるとしている。

 7日に高松市の四国運輸局で行われた認定通知書交付式では、上園政裕四国運輸局長が清水社長に対し認定通知書を手交した。

荒木社長が決算会見、不安要素見られるも中計の目標は堅持  丸運

 丸運の荒木康次社長は6日に都内で会見し、同日発表した2020年3月期第2四半期連結決算について語った。

 荒木社長は増収減益に終わった決算の内容について、価格改定効果や鉄道コンテナ輸送における昨年の西日本豪雨の反動増などで貨物輸送部門が増収増益だったとする一方、国際航空輸送が米中貿易摩擦など中国の景気減速により半導体関連貨物が大幅に減速したこと、潤滑油・化成品部門が需要減少や乗務員・車両不足により減収減益になったこと、石油輸送でも構内作業など石油輸送以外の収入増が見られた反面、労務費の引き上げや車両更新投資により大幅な減益になったことなど、マイナス要因も多かったと説明した。

 その上で、第2次中期経営計画の最終年度となる本年度通期の見通しについて、国際航空輸送の急激な回復が難しいことなど不安要素はあるものの、現段階では当初予想の目標数値を堅持する考えを強調。昨年は暖冬で需要が低迷した石油輸送の反動増や、11月から稼働した栃木第3倉庫がメーカーのアルミ材生産増に伴い年内にもほぼ満床となる見込みであることなど、プラス材料を指摘した。

 このほか今後の方向性として、構造的な需要減少が続く石油輸送部門で、今後予想されるグループ内物流元請け再編の動きにあわせてシェア拡大を狙うことや、中国・ベトナムなど海外事業の拡充にも力を入れていく方針を示した。

 一方で、働き方改革関連については、石油輸送部門で特に乗務員不足が深刻化している現状を明らかにした上で、次期中計で採用戦略の強化やグループ人事制度の見直しによる定着率向上に取り組んでいく考えを明らかにした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日通商事 第1回AQS(アロッズ・クオリティ・スタンダード)コンテスト
     整備・フロント・メカニックの技能・サービスの向上へ、大阪工場で開催
     フロント・メカニックの選抜6チームが競う
     第1回大会優勝は盛岡工場

  • ☆日本通運横浜支店が溝ノ口物流センターD棟竣工、都市型高機能拠点に
    ☆神奈川ト協が交通環境セミナー、エコドライブ実践で事故防止にも効果
    ☆トナミ運輸のお歳暮ギフト、えりすぐり富山・石川・福井の旬の味
    ☆JR貨物がグループ社長会議開催、グループ会社全体で戦略理解し実行を
    ☆国交省、ホワイト物流推進運動の賛同企業数582社に
    ☆東ト協が4部9グループに組織改正し役割明確化、会員サービス向上目指す
    ☆三井不動産がMFLP船橋Ⅲのテナントニーズを考慮し着工を半年前倒し、既に8割埋まる
    ☆カンダグループが第40回カンダ祭り開催、スローガンは「楽しい和!広がる和!カンダ祭り!!」
    ☆物流各社の第2四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼物流上場企業の2020年3月期第2四半期連結決算が出そろいつつある。ここまでは増収増益の企業も多く、おおむね堅調に推移していると言えそうだ。
    ▼反面、先行きへの不安はぬぐえない。米中貿易摩擦の行方はなお不透明であり、消費増税の影響も徐々に出てくるかもしれない。“実感のない景気拡大”が“実感のある景気減退”につながらないか、心配が募る。
    ▼特に気になるのは適正運賃収受の動きだ。近年、荷主の理解の下で一定の進展を見せてきたが、景気が後退局面に入った時、同様の協力が得られるのか。労働環境改善は道半ばにあり、適正運賃への道が閉ざされるようなことがあってはならない。

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