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2020年1月20日付 2778号

10年後のロジスティクス、ユートピア実現へ コンセプト’30を公表  JILS

会見する遠藤会長(右)と渡邉副会長(左)

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は10日、東京都千代田区の経団連会館で新年記者発表会、新春講演会、賀詞交歓会を開き、10年後のロジスティクスのあるべき姿をまとめた「ロジスティクスコンセプト2030」を披露した。

 「ロジスティクスコンセプト2030」は①ロジスティクスの再定義②サプライチェーンの再構築③標準化の猛烈な推進④適切な投資⑤データ共有型プラットフォーマー育成⑥「ユートピア」への準備―などの提言を柱に構成されており、ロジスティクスの再定義については、これまでのボトムアップ思考からトップダウンへの変革を要求。標準化については、既存の法制度や慣習に基づく規格から多業種多層連携を可能にするオープンプラットフォームの構築を目指すべきとしている。

 「ユートピア」への準備については、現状の延長にある「ディストピア」からの脱却により、良好なロジスティクス環境が「どこにでもある」状況を目指して、高度人材の育成などを進める必要があるとしている。

 記者発表会で遠藤会長は、これまでのロジスティクスの改善は、それぞれの現場での「地に足の着いた改革」であり、一定の成果につながったとの見解を示す一方、物流全体を見渡すとトラックの積載率は平均40%にとどまるなど、改善の余地があると指摘。今後は、全体最適の視点から、ICTやビッグデータ、AIなどを活用することで、平均積載率の60%への向上や働き方改革の実現も不可能ではないとの考えを示すとともに、データなどの標準化や高度人材の育成にも力を入れていく必要があると述べた。

 渡邉健二副会長は、物流の生産性向上には、パレット化による荷役作業の負担軽減やドライバーの手待ち時間削減、共同輸送の推進などが重要であると説明。加えて、サプライチェーン全体でのデータ連携や荷姿の標準化なども不可欠であるとの考えを強調するとともに、今後は物流以外の業界からのロジスティクス分野への参入も見据えた人材育成も必要であるとした。

SD接客応対コンテスト、優勝に藤原SD(東京支社) 全国13人出場  ヤマト運輸

表彰式での記念撮影。左から栗栖社長、奥村SD、藤原SD、高木SD

 ヤマト運輸(栗栖利蔵社長)は16日、東京都大田区の羽田クロノゲートで「第5回全国SD接客応対コンテスト」を開催した。SD一人一人のモチベーション・サービスマインド・応対スキルの向上などを目的に毎年開催しているもの。

 大会の冒頭あいさつした栗栖社長は「ヤマトの強みはSDやゲストオペレーターの対面力。個人個人で高い評価を得ているSDもいるが、そうしたものを次の世代につなげていかなければならない。お客さまごとに異なる要望を、SDがいかにくみ取り、寄り添っていけるかが大事」と語る反面、本年度にクロネコメンバーズ会員などに対して行った調査の結果、SDの応対やコールセンター、ウェブなど顧客との接点において、必ずしも要望に応えきれていない状況があることも指摘し、要望を踏まえた顧客との関係性の強化に力を入れて取り組んでいることを強調した。

 今回の大会では初の試みとして、出場選手を昨年の社内報で募集し、応募があった1507人から、全国12支社と沖縄ヤマト運輸の予選を勝ち抜いた13人が出場。アパレル系の零細EC事業者に、午前中不在荷物の再配達を行うとの想定で、6分間の模擬配達を行い◎顧客に向き合う姿勢◎話し方◎コミュニケーション◎状況・ニーズの把握◎商品・サービスの提案◎ヤマトらしさ―の6項目を競った。このうち商品・サービスの提案では、他社と比較した場合の強みのアピールや、外国人対応窓口の案内などが、ヤマトらしさでは、また来て欲しいと思えるか、などが問われた。

 審査の結果、優勝は東京支社代表・城北主管支店荒川支店町屋センターの藤原大地SDが勝ち取り、準優勝は北信越支社代表・富山主管支店高岡支店高岡内免センターの奥村高志SDが獲得。また、特別審査員賞には四国支社愛媛主管支店宇和島支店宇和島丸ノ内センターの高木佑輔SDが輝いた。

 表彰式では優勝した藤原SDが「日本一(のSD)という賞をいただいたが、これで終わりではない。私たちの接客をどう伝えていくのかが使命だと思っている」とコメント。

 栗栖社長は「コミュニケーションの中でのちょっとした一言の声がけが、お客さまの満足につながっており、その積み重ねがヤマト運輸の支えになっている。今回出場した13人だけでなく、ぜひ現場に戻って皆さんに広めていただき“ヤマトの顔”“地域の顔”として、お客さまにより良いサービスを提供できることを期待している」と語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流業界の新年会
    ☆物流応援歌(22)『「2020東京五輪」と物流・人流(4)=「物流」に関する懸念=』
    ☆日中ビジネスワンポイント(195) 『新年好!(明けましておめでとうございます)』
    ☆ウォッチ(104) 『2020年の中国消費市場と宅配物流の展望』

  • ☆日通、イタリアのグループ会社3社を経営統合
    ☆JR貨物、2月25日竣工の東京レールゲートWESTで約8割の入居決定
    ☆三井倉庫HDが新施設建設資金にグリーンボンドを3月発行、物流業界で初
    ☆帝国データ19年調査、人手不足倒産は道路貨物運送で2桁増
    ☆JR貨物が労使共催で新春フォーラム開催、労使協調で中計目標達成へ
    ☆全流協、トラック予約受け付けシステムのガイドライン策定
    ☆国交省、シベリア鉄道の貨物実証輸送に精密機器輸送を追加
    ☆日通が引越のQRコード決済を14日から全国に拡大
    ☆物流連が2月11日に業界研究セミナー大阪開催、2回目の本年度は35社参加
    ☆YFCがクロネコwebコレクトに不正検知機能を追加、通販事業者向け
    ☆日通が引越キャンペーン、東京ディズニーリゾートのパークチケット300組抽選プレゼント
    ☆物流博物館が「シキ車」さよならミニ展示と関連映画の上映会

今週のユソー編集室

  • ▼今年はオリンピック、25年には大阪万博と、2020年代は国内での大規模イベントが控えており、国民の期待も高まっている。
    ▼一方で20年代は、自然災害による被害がこれまでにも増して激甚化すると指摘する有識者も少なくない。そうなれば暴風雨や大規模な降雪など、トラックの安全運行を阻む自然現象も増える可能性が高い。
    ▼こうした中、異常気象下で安全確保のための行う措置について、国が風速などの具体的な数値を盛り込んだ目安を定めると前号で伝えた。
    ▼トラック事業者だけでなく、荷主もビジネスパートナーの安全を確保するため、定められる措置の目安をわがこととして、知っておく必要がある。

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