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2020年2月10日付 2781号

特車通行で新制度 事前車両登録により許可手続き不要に 道路法等改正案が閣議決定

 物流生産性向上のための特殊車両の新たな通行制度の創設などを盛り込んだ「道路法等の一部を改正する法律案」が4日、閣議決定された。同日付で衆議院で議案受理され、今後通常国会で審議される。

 新たな通行制度は、需要増大に伴う特殊車両の通行許可手続きの長期化などにより事業者の負担が増大し、生産性が低下していることなどを踏まえ創設されるもので、事業者はあらかじめ特殊車両を登録することで、手続きなく通行可能道路を走行することが可能となり、物流の生産性向上につながるものと期待される。

 通行に当たって事業者は、発着地や貨物重量を入力してウェブ上で通行可能経路を確認。国土交通大臣は、ETC2.0を通じて、実際に通行した経路等を確認する。

 また、「民間と連携した新たな交通結節点づくりの推進」として、トラックなどの自動車運送事業者専用の停留施設を道路付属物として位置付ける道路法・道路特措法の一部改正案も盛り込まれている。停留施設は、「特定車両停留施設」として、貨物の積卸などを行う事業用自動車を同時に2台以上停留させる施設として整備される見込みで、施設の運営については、民間によるコンセッション(公共施設等運営権)制度の活用を可能としている。

 さらに、自動運転を補助するための磁気マーカーなどを道路附属物として位置づけ、磁気マーカーなどの整備に対する国・地方自治体による無利子貸し付けについても関連法の改正案も閣議決定している。

中谷社長、「SGHDとの統合にはもう少し時間が必要」  日立物流

SGHDとの統合についての考えを述べる中谷社長

 日立物流の中谷康夫社長は、5日に東京都中央区の同本社で開いた記者懇談会で、SGホールディングス(荒木秀夫社長)との「協創効果」について、1月31日に発表した2019年第3四半期連結決算では、協創による営業利益が通期計画に対して139%に達するなど、新規案件の積み上げが順調に進んでいると説明する一方、両社の統合については、「その前にやるべきことがある。2つを足した規模になるだけの統合に終わらせたくない」とし、早期の統合には踏み切らない考えを示した。中谷社長はSGHDとの協創について、「非常に活発に盛り上がっており、トップ同士の会合も定期的に開いている」と述べる一方、「統合の議論には、もう少し時間がかかる」とし、シナジー最大化につながる取り組みを両社がそれぞれに必要な時間をかけて進める必要があるとの考えを強調した。

 海外事業については「売り上げを求めるM&Aはやらない」とし、利益重視の運営体制にシフトしていることを説明。国内の物流センターについては、デパレタイズロボットなどの自動化技術を、東日本エリアを中心に既存施設にも導入していく計画を明らかにした。

 また、9月に本社内に人材育成を目的とした「LOGISTEEDカフェ(仮称)」を開設する予定であることを発表。協創パートナーの拡大やオープンイノベーションを牽引できる人材を育成する場として、映像・パネル展示やセミナーなどを通じて、グループ従業員、社外ステークホルダー、協創パートナーなどの関係者と日立物流の掲げる「LOGISTEED」の理念や情報などを共有するとともに、「知の領域」を広げることで協創活動を活性化させる。

 安全運行を支援するSSCVについては、年度内にグループ車両1257台に搭載する予定で、1月28日までに816台への搭載が完了。バンテックでは、3拠点でドライバーへの指導やフォロー会議などの活動が始まっており、このうち栃木営業所では独自に件数管理を開始したところ、わき見運転が30%減少、一時不停止については、ほぼ発生しないようになるなど、効果を上げている。

 SSCVを担当する佐藤清輝専務は、今後はグループでの運用にとどまらず、幅広いユーザーへの拡大を図ることで膨大なデータを蓄積することができるとし、データの活用により街づくりや作業労働者のデータヘルス事業、損保・保険企業の新補償制度など、新たなビジネスの創出につながる可能性があると述べた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字『近代化の試み「協組実現」』

  • ☆SGHDのXフロンティア内覧会詳報、三つの価値提供へ
    ☆全日通が春闘方針等を決定、成果の公正配分求める
    ☆通運連盟が全国大会開催、モーダルシフトの一層促進・定着へ取り組み強化
    ☆国交省、トラック中継輸送の取り組み事例集公表
    ☆佐川急便、宅配便の不在荷物をローソンで受け取り開始 7月まで栃木で試行
    ☆首都圏キット利用協同組合が新春講演会、首藤立教大教授「物流業界では労働ルールが公然と破られている」
    ☆日新、神戸市摩耶埠頭に新冷蔵倉庫竣工
    ☆国交省が愛知県内のトラック事故で報告書公表、運転者の体調異変時に申告しやすい職場環境を
    ☆JR貨物が全国荷役作業競技会開催、1位に日本通運の渡辺選手
    ☆全ト協・日貨協連、1月のWebKIT成約運賃指数は126と高水準も求車登録は大幅減
    ☆ブリヂストン。3月に大型車用低燃費タイヤ「ECOPIA M801Ⅱ」など3製品発売へ
    ☆テルウェル東日本アメニティフォーラムが引越実務者研修会、NTTグループ社員の運賃・料金2割アップへ
    ☆日本通運、西武ライオンズの辻監督が本社を訪問
    ☆日倉協広報委が記者説明会、倉庫業の周知活動など紹介
    ☆物流各社の第3四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼中国・武漢市を発端とする新型コロナウィルス感染症の拡大がとまらない。全世界で感染者は3万人に迫り、すでに500人超が犠牲となった。
    ▼中国の死者はもっと大きいはずといった伝聞や、欧米諸国でアジア人差別が起こっているといった報道、さらに日本国内の中国人観光客の激減やマスクの買い占めと高額転売など、混乱した状況は世界中に広まっている。
    ▼物流業界でも、日本通運や近鉄エクスプレスなど各社が中国向けサービスの中止を告知するなど、影響は大きい。荷動きの鈍化に神経をとがらせている今、感染症の拡大が物流事業者にとって“泣き面に蜂”とならぬよう、祈るばかりだ。

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