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2020年3月9日付 2785号

標準的運賃の荷主への説明、告示の前でも問題なし 全ト協理事会で見解  国交省自動車局伊地知貨物課長

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は5日、東京都港区の第一ホテル東京で第184回理事会を開き、2月26日付で運輸審議会に諮問されたトラックの標準的運賃の考え方などについて、国土交通省自動車局の伊地知英己貨物課長から説明を受けた。解説した伊地知課長は、標準的な運賃の告示の時期について、「早ければ4月下旬」との見通しを示した上で、告示の前から荷主に対し、標準的な運賃をベースにした運賃・料金の交渉に向けた説明などを行うことは問題ないとの認識を示した。

 冒頭あいさつで坂本会長は、新型コロナウイルスにより国民生活や経済活動に影響が出ている中、地域産業を支えるため輸送に当たっている全国の会員の活動に感謝の言葉を述べた。その上で、運転者の待遇改善には、標準的運賃をいかに業界内や荷主に周知するかが重要であると指摘。併せて、悪質荷主の情報収集に努め適正取引の実現につなげるとともに、協会運営についてもPDCAサイクルを用いることにより資金の有効活用を図っていく姿勢を強調した。

 標準的運賃について説明した伊地知課長は、すでに1回目の審議が行われた運輸審議会では、理解を示した委員がいる一方、「高い」との指摘があったことを報告。これまでのバスや鉄道の運賃などに関する審議を例に、「下がることはあっても上がることはないと聞いているので、示した金額を維持できるよう、丁寧に説明をしたい」と述べるとともに、告示と併せ、各社の原価で運賃が計算できるよう、考え方などに関する通達を発出する計画を明らかにした。

 「告示された運賃はいつから交渉に使うことができるのか」との質問に対しては、「告示されたその日から適用できるが、運輸審議会での審議で内容が大幅に変わることがなければ、今から荷主に話しておくことは構わない」とし、早めに契約交渉に向けた説明を行うことは可能であるとの見解を示した。

異常気象時の輸送強要は意見募集窓口等に通報を、措置の目安等を策定  国交省

 国土交通省は2月28日、台風などの異常気象時に、トラック運送事業者が荷主に輸送を強要され、事故が発生していることを踏まえ、貨物自動車運送事業法と貨物自動車事業輸送安全規則で、異常気象時の輸送に関する措置の目安を定めるとともに、荷主に輸送を強要された場合には同省の「意見募集窓口」などに通報するよう求めている。

 降雨時の措置については、1時間当たり20~30ミリメートル(ワイパーを早くしても見づらい)で「輸送の安全を確保するための措置を講じる必要」、30~50ミリメートル(高速走行時、車輪と路面の間に水膜が生じブレーキが利かなくなる)で「輸送を中止することも検討するべき」、50ミリメートル以上(車の運転は危険)で「輸送することは適切ではない」との目安を示している。降雪時については、1月に示された案では、「おおむね12時間で30センチメートル以上あるとき」としていたが、今回示された目安では「大雪注意報が発表されているとき」に改められている。

 また、運送事業者が気象情報などから輸送を中止する場合には直ちに荷主に報告することや、安全な輸送ができない状況であるにもかかわらず荷主に輸送を強要された場合には同省に設置する「意見募集窓口」に通報するよう求めている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(2)
     各社の施策
      日通海外
      SGムービング
      三八五流通
      福山通運
     全ト協の繁忙期対策実施事項
    ☆四文字『激しく変容する「交通問題」』
    ☆物流応援歌(24)『働き方改革について考える(2)=人手不足環境下での物流企業の対応=』

  • ☆JR貨物が東京レールゲートWEST竣工式、総合物流企業の礎に
    ☆日立物流が4月1日付で日立物流東日本流通サービス設立、日立ライフの流通事業を継承
    ☆改善基準告示見直しの運転者の労働時間等の調査の概要固める、10~12月実施
    ☆NPPがパレットの位置管理システム「フクLOW」を10月から導入、3年間で100万枚目指す
    ☆キュラーズがアンケート、引越難民の解決方法はトランクルームが2年連続1位
    ☆コラボデリバリーが19年度業績まとめる、売上高6億円に迫る
    ☆全ト協青年部会が全国大会を開催し750人が参集、大会テーマは「誇りを形に!!物流の未来へ」
    ☆JR貨物が第1回C&C活動発表会、現場の気づき共有を
    ☆日本郵便がロボットによる社内便配送を試行、エレベーター連動で自律配送を

今週のユソー編集室

  • ▼ここ数ヵ月、トラック運送業界が待ちわびていた「標準的な運賃」が、2月26日に運輸審議会に諮問された。
    ▼新運賃表の関東運輸局・貸切・距離制の金額を、1999年の運賃表の金額と比較すると、小型車短距離で2倍弱高くなった部分がある反面、大型車長距離では逆に安くなっている部分もある。
    ▼いずれも実勢運賃からは相当高額に設定されていると思われるが、社会の理解を得られるのかといった点について、今後予定されている国土交通省の通達や、公聴会の行方も含めて見守りたい。
    ▼持続可能なトラック運送業界の確立のため、適正運賃の収受と労働条件の改善に向けて、少しずつでも歩みを進めたい。

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