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2020年3月23日付 2786号

荷主・物流企業に新型コロナ感染拡大の物流への影響について緊急アンケート実施、統一マニュアルを求める声  JILS

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は18日、「新型コロナウイルス感染拡大による物流への影響」について、会員企業を対象に実施した緊急アンケートの結果を公表した。

 荷主による入手困難なマスク着用の義務付けや、休校による人員調整、入荷の大幅な遅れと急な出荷対応など、物流現場で生じている課題等が挙げられ、国や行政府に対しては、正確な情報の提供や無期限での貸し付けなど支援の拡充、医療をはじめとする「止めない物流」の明確化などを求める声が寄せられている。

 11~13日に荷主・物流企業の会員登録者へウェブ回答方式で調査したもので、有効回答社数は182社。

 感染拡大で課題が生じたとの回答は荷主企業で「全社」19%、「一部」38%。具体的事例として「急激な販売増による車両確保、出荷調整業務の発生」「中国からの輸入制限、代替ルート確保」「航空減便に伴うスペース確保難・運賃高騰」「トイレットペーパーパニックに伴う四国発トラックの一時的不足」など。

 物流企業は「全社」14%、「一部」43%で、具体的事例として「入手困難なマスク着用の義務付け」「感染者が出た施設へのドライバーの配達拒絶」「航空便運休による代替ルート計画に苦慮」など。

 荷主から求められている対応について物流企業は63%が「ある」と回答。具体的事例としては、入場時の検温・マスク着用をはじめ、対応マニュアル・ガイドラインの作成と対応連絡に関するものが多く挙げられ、顧客ごとにマニュアル等が異なることに苦慮しているなどの意見がみられる。

 BCP(事業継続計画)の策定状況は、荷主企業では「策定済み」31%、「今回策定」13%、物流企業では「策定済み」16%、「今回策定」24%。

 取引先への意見・要望としては、製造業では「マスク着用を義務化する場合、できるだけ支給してほしい」「時間指定の緩和、待機時間の削減、翌々日配送の協力」など。運輸業では「取引先ごとに異なるマニュアルの全国的統一化」「大量受注増商品の出荷制限」など。倉庫業では「変動要素の強い出来高契約の一部を固定的な契約に変更」など。物流子会社では「倉庫・トラック・人材などの業界内でのシェアリングなどの検討」など。

 国や行政府等に対しては、製造業では「中小輸送会社・物流事業者に対してのバックアップ政策」「物流業界全体で共通の対応ガイドライン」など。流通業では「防疫以外にも国が介入する一部指令経済的ルール」など。運輸業では「感染者特定から業務再開に至る工程の明確化」「有料道路料金の助成」「燃料の税制改定」「時間指定の枠のルール緩和の推奨」など。倉庫業では「専門家の意見を元にした国としての統一情報・方針と情報源の一本化」など。利用運送・物流管理業では「無期限での貸し付け」「直接・間接的に生じるさまざまなリスクを、物流業者が一方的に負わされないよう企業への指導」「医療にかかわる物流への特別な指示の発令。食品・医薬品・医療機器に限定」など。

ブランド向上へバドミントン部の選手をデザインしたラッピングトラック披露  トナミ運輸

 トナミ運輸(綿貫勝介社長)は10日、富山県高岡市の同本社で、同社バドミントン部の選手をデザインしたラッピングトラックの披露式を行った。

 トナミ運輸のバドミントン部には日本トップクラスの選手が数多く所属しており、世界選手権準優勝の園田啓悟・嘉村健士ペアなど、東京オリンピックの出場も期待されている。このため同社では、ステークホルダーからの期待値向上や優秀な人材獲得のためのブランドイメージ向上を目的に、企業姿勢とバドミントン選手の姿勢を重ねたメッセージ「GO NEXT! 次のスピードに挑む。次の精度に挑む。」を決め、選手とともにラッピングトラックにデザインすることで、トナミブランドを強力にアピールしていく考え。

 トラックは三菱ふそうトラック・バスの「スーパーグレート」で、最大積載量は13.9トン。バドミントン部のユニフォームに使われているトナミ・イエローを全面に配色し、プレー中の躍動感ある選手のビジュアルを配するなど「とにかく目立つ」を意識したデザイン。さいたま市のトナミ運輸浦和支店に配備され、3月から関東~関西間の昼間便で運用している。

 披露式であいさつした髙田和夫専務取締役経営企画本部長は「このトラックが、お客さまの大事な荷物を載せて走行する姿を想像すると、私自身わくわくしてくる。選手のモチベーションアップとともに、トナミ運輸のメッセージ『GO NEXT!』を伝えていきたい」と述べ、ウェブムービー=動画参照=やポスターなど、トラック以外でもバドミントン部と連携したブランド強化の取り組みを進めていることを紹介した。


今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(106) 『経済活動の再開を急ぐ中国の現状と課題』
    ☆日中ビジネスワンポイント(197) 『山川異域、風月同天』

  • ☆日通の杉山東アジアブロック地域総括が新型コロナのへの対応で会見、顧客の事業継続支援へ
    ☆ヤマト運輸ほかグループ2社、ダブル連結トラック・スーパーフルトレーラ23が九州まで区間伸長
    ☆運輸労連大手の20春闘妥結状況、賃上げ額の単純平均が前年比で784円減少
    ☆トナミ運輸がバドミントン部の選手をデザインしたラッピングトラックを披露、ブランド向上の一環で
    ☆国交省、高速道路からの一時退出実験で退出可能時間を3時間に拡大
    ☆首都高都心環状線の検討会が大型車交通に関して中間とりまとめ、日本橋地下化工事に併せ八重洲線と都心環状線を別線で結ぶ方針示す
    ☆JR貨物が2月実績発表、真貝社長はコロナの影響軽微も今後の拡大を懸念
    ☆SBSHD、情報システム部門の強化狙い4月1日付で組織改編
    ☆澁澤倉庫、横浜市に研究開発施設併設のABCビル2号館完成
    ☆日通、マレーシアに海外自社最大規模の多機能倉庫竣工
    ☆福山通運、愛知県に一宮支店オープン
    ☆日通総研、SIPスマート物流調査・研究業務を受託
    ☆物流連が20年度事業計画承認、外国人材の活用や物流の標準化へ
    ☆JADMAが配送満足度調査の結果発表、再配達は減少傾向も進まぬコンビニ受け取り
    ☆全日通労組の春闘妥結判断
    ☆ヤマト運輸労組の春闘妥結判断

今週のユソー編集室

  • ▼上欄記事のとおり日本ロジスティクスシステム協会が、新型コロナウイルスの感染拡大による物流への影響に関するアンケートを実施した。
    ▼従業員をウイルスから守るため各種の対策を講じる中、荷主から納品時にマスク着用を求められているものの入手できず困っているという切実な訴えや、トイレットペーパーの物量急増への対処など、物流企業が多くの対応に追われている様子が伝わってくる。
    ▼そのほかにも多数の自由回答が寄せられているが「パンデミック時に輸送の線が断裂し、トラッキングも困難になるのではないか」との意見は、物流のプロによる指摘だけに、真摯に受け止め、対応を検討する必要がある。

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