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2020年3月30日付 2787号

ヤマト・佐川・日本郵便の宅配3社で貨客混載、宮崎県西米良村で開始

 宮崎県西米良村(黒木定藏村長)、佐川急便(本村正秀社長)、日本郵便(衣川和秀社長)、ヤマト運輸(栗栖利蔵社長)と日本工営(有元隆一社長)は23日、西米良村の小川地区で運行している村営の白ナンバーコミュニティバスによる貨客混載を経由した配送事業「カリコボーズのホイホイ便」の本格運行を開始した。

 西米良村では既に、西都市~西米良村(村所)間で宮崎交通と日本郵便、ヤマト運輸による貨客混載が実施されており、ホイホイ便の運行開始によって西米良村は複数の貨客混載を運行する地域となる。佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸の3社が共同で貨客混載輸送を行うのは全国初となり、村営の白ナンバーコミュニティバスによる貨客混載は、極めて画期的な取り組みとしている。

 ホイホイ便の運行区間は、西米良村の中心部である村所地区から越野尾地区を経由して小川地区までの約21キロメートルで、旅客と宅配荷物を村営バスに載せた貨客混載として運行した後、小川地区の集落拠点施設「おがわ作小屋村」で村の委託配達員が村営バスから宅配荷物を受け取り、各戸へ配達する。

 小川地区へ配達する宅配荷物の積み込み場所は、佐川急便とヤマト運輸が越野尾地区の湖の駅、日本郵便が村所地区の村所郵便局、村内便が村所地区の村所驛。

 小川地区から村所地区への輸送では、委託配達員が小川地区の郵便ポストから収集した郵便物や地区住民から集荷した宅配荷物を、おがわ作小屋村で村営バスの村所行き上り便に積み込み、村所地区まで貨客混載する。

 関係者は今回の取り組みにより、人口減少や高齢化が進展する地域での効率的な配達モデルの確立、村営バスの維持、村内の物流サービスの円滑化、CO2排出量の抑制による環境負荷低減、委託配達員による高齢者の見守りなど、総合的な住民サービスを展開していくとしている。

ヤフー・PayPayのストア向け新サービス、長尾社長が会見  ヤマトHD

会見後の記念撮影、右が長尾社長

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)は24日、Zホールディングス(川邊健太郎社長)と業務提携し、物流・配送の強化に向けた新たなEコマース戦略について、インターネットライブ中継による記者会見を開催した。

 6月30日からZHDの子会社ヤフーが提供するオンラインショッピングモール「Yahoo!ショッピング」と「PayPayモール」の出店ストア向けに、受注から出荷・配送業務までの全体を代行する「フルフィルメントサービス」と一部機能を代行する「ピック&デリバリーサービス」を全国で提供する。同日から受け付けを開始した。

 フルフィルメントサービスは受注・データダウンロード・トータルピック・帳票発行・シングルピック・梱包・出荷までの全ての業務をヤマトグループが提供するサービス。

 ピック&デリバリーサービスは、ストアの倉庫で当日発送の対象商品をトータルピックしてもらい、その後ヤマトグループのネットワーク上で、ピッキング、梱包、出荷、配送を行うサービス。

 データ連携を含む物流機能をパッケージ化したこの二つの物流サービスの提供で、商品の注文から受け取りまでのリードタイム短縮を実現すると同時に、ストアでの物流に関わる業務負荷を軽減し、ストアにとっての物流コストの最適化、購入者の利便性のさらなる向上を目指す。

 また、Yahoo!JAPANの運用に沿った形でのデータ連携・物流設計が可能になり、従来、個社ごとに物流事業者とやり取りをしていた手間が大幅に削減され、スムーズなサービス導入と運用が可能になる。

 さらに、将来的には蓄積されたデータを活用・分析し、需要予測を行うことで、最適な消費地への事前の在庫移動によるリードタイムの短縮やコスト削減を実現していく。

 会見冒頭にあいさつしたZHDの川邊社長は、Eコマースナンバーワンを目指すには「ほしいものが、ほしい時に手に入る世界を実現する」物流・配送の強化が最も重要なテーマとの認識を示し、ヤマトHDとの提携により、翌日配達率アップによる『物流品質の大幅改善』、出荷作業にかかる手間・人件費等の『ストアの負担削減』を提供していきたいと語った。

 さらに、ヤマトHDの二つの新サービスを利用するストアの購入者を対象に、送料相当額のPayPayボーナスライトを付与し、実質送料を無料とするストア負担なしのキャンペーンを6月30日から年内まで実施することを明らかにした。続いて、登壇した長尾社長は、新サービスで出展ストアに◎物流に関わる業務軽減◎配送レベルの向上―の二つの価値を提供し、「EC物流が迎える次のステージへ、総力を挙げてお手伝いしていきたい」と述べた。

 提供を開始するフルフィルメントサービスについては、物流にかかわる業務を「何もしなくてもOK」なサービスと説明した上で、クロネコメンバーズ・ヤマトビジネスメンバーズのデジタルネットワークに新たな価値が生み出されることが期待されると語り「共に成長するサスティナブルなシステムとしていきたい」と述べた。

 ピック&デリバリーサービスについては、同社ネットワークを活用することでリードタイムの短縮、受付・締切時間の繰り上げ・繰り下げ等のメリットが提供できると解説。

 そして最後に、連携を強固なものとして「共に未来を創る」ことに努力していきたいと語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆主な物流企業の2020年度新卒新入社員数
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(143) 『新型コロナの感染拡大が駄目押し(その1)』
    ☆四文字『国内貨物輸送の「中心存在」』
    ☆トラック運送業における働き方改革のヒント(5)
    ☆トピック、北王流通が福利厚生の一環で花粉症に悩むドライバーの薬代等をサポート

  • ☆日通がNEX-NETSeaラインに苫小牧寄港を追加、貨客混載を拡充
    ☆全ト協が新型コロナウィルスの影響に対する融資推薦の公募開始、5千万円を限度に
    ☆通運連盟が20年度の新規事業にフォールドデッキへの助成など、お試し輸送は減額
    ☆SBSフレックが4月から食品物流の技能実習生に初のベトナム人受け入れ
    ☆国交省が港湾運送事業者など対象に遠隔操作タイヤ式門型クレーン導入の補助の公募開始、AIターミナル実現へ
    ☆アサヒロジスティクスが女性専用トラック「クローバー」の納車式開催、働きやすい職場作りを推進
    ☆日野自動車がトヨタ自動車と燃料電池大型トラックを共同開発、航続600キロメートル目指す
    ☆SGLが大阪市内で三つ目の拠点「南港営業所」を開業、4月1日住之江区に
    ☆三井倉庫HD、ライフサイエンス分野など幅広い領域で岡山大学と協定

今週のユソー編集室

  • ▼安倍総理の提案が国際オリンピック委員会に承認され、東京オリンピック・パラリンピックの1年以内の開催延期が正式に決まった。出場選手や準備に奔走していた関係者の今後の労苦を思う。
    ▼新型コロナウィルスが世界を席巻し、問題とされる点が「日本で安全に開催できるか」から、「日本に選手を送り込めるのか」に移った時点で、すでに開催延期に向けた外堀は埋まっていたとも感じられる。
    ▼ともあれ、延期期間を有効に活用し、開催期間中の物流を含めた円滑な市民生活を可能とするため、さらに万全な体制を構築したい。ウィルス禍が終息し、世界中の人々を笑って迎えられる大会となるよう、心の底から望む。

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