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2020年6月1日付 2795号

株主総会や通常総会が縮小や書面開催も、各社・団体が対応に追われる

 新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が全面的に解除されたものの、再び感染者が増加傾向を見せる自治体が出るなど、収束にはほど遠い事態が続いている。そうした中で各企業・団体は、例年5月から7月に決算説明会・会見、株主総会、通常総会、定期大会などの集会を行っているが、これらはいずれも“三密”に陥りやすいことから、“前例のない事態”への対応を迫られている。

 決算については5月29日現在、大手のうち鴻池運輸が未発表となっており、すでに発表している企業でも、次期業績予想を未定とする企業が続出した。これらに関する説明会や記者会見についても中止とする企業があったほか、ウェブ会議ツールや電話会議システムを利用して行う企業も見られ、各社とも試行錯誤しながら取り組みを進めている状況がうかがえる。

 6月には各企業とも相次いで株主総会が予定されているが、12月期決算のSBSホールディングスは、すでに3月26日に開催、社内株主へは出席自粛を要請し、出席株主にはマスクの着用や消毒の励行を呼び掛けるなどの対策をとった。関係者によれば、参加した株主の数は例年より少なかったという。

 6月24日に定時株主総会の開催を予定しているSGホールディングスは、ホームページ上で対策を公表。株主に対して健康状態にかかわらず可能な限り来場を控えるよう検討し、書面またはインターネットによる議決権行使を要請しており、併せてマスクの着用と消毒の励行を呼び掛けている。座席間隔の確保により座席数が減少することや、発熱状態が確認された株主に対しては、入場制限が行われる可能性があることも案内した。

 その他の各社についても、ほぼ同様の感染予防措置をとりながら予定どおり開催すると見られており、日立物流のように議事に要する時間を短縮するため、報告事項や議案の詳細な説明を省略する企業も多いようだ。一方で、ヤマトホールディングスは会場規模を大幅に縮小し、出席株主を50人に制限している。各社・団体・労働組合のイベント・総会・大会等に関する現段階の開催予定は左表のとおり。

 多くのイベントが中止となっているほか、総会や大会もほとんどが書面開催や縮小開催される見込みで、縮小開催される場合は、総会後に例年行っている懇親会を中止するケースが多い。

 現在検討中の大会等でも、縮小開催などの影響が出る可能性が高いとみられている。

先端テクノロジー活用で貿易業務をサポート、ロジ・ラボを発足  山九

 山九(中村公大社長)は、貿易物流業界の先端テクノロジーを活用するための研究・開発を目的とした合同研究機構「ロジスティクス・ラボ」を発足させ、1日から運営を開始した。

 ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル貿易決済プラットフォームを提供する「STANDAGE」、物流トレーサビリティをスマートフォンで可視化できるスマートバーコードを提供する「LOZI」との3社共同で取り組む。

 第1弾として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けている中小企業を対象に、「出荷納品」「物流追跡」「国際決済」等の貿易業務をワンストップでサポートしていく。すでに3社のサービスを融合し「日本⇒ナイジェリア」間での貿易実証実験を行い、各種業務や物流の一部機能が円滑に進行できることを確認したとしている。

 今後、運営事務局を設置し、同じビジョンを共有する企業の参加を募り、定期的な協議および研究・開発を加速化させ、業界への貢献を目指していく方針。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(148) 『新型コロナの感染拡大が駄目押し(その6)』
    ☆物流応援歌(27)『「送料無料」表現の撲滅に向けて=物流事業者の立場からの考察=』

  • ☆日貨協連が理事会開催、4~7月分の4ヵ月分の賦課金を免除に
    ☆SBSHDが東芝ロジを子会社化、物流サプライチェーン強化狙う
    ☆全ト協、会員への支援強化で5ヵ月分の会費免除
    ☆日通、米国の医薬品産業向け物流会社を子会社化
    ☆物流連が「物流部門のBCP作成に関する調査小委員会」開催、ガイドライン更新
    ☆物流連がテレワークのガイドラインをHPで一般公開
    ☆全ト協、加藤厚生労働大臣に対し雇用調整助成金の特例措置延長を要望
    ☆佐川急便がSDGsの取組で貨客混載や女性活躍促進等掲げる
    ☆JR貨物が6月19日付で本社の組織改正、関連業務を集約してコンテナ部を新設
    ☆SGL、Xフロンティア内に開設したECのプラットフォームセンターのオンライン内覧会
    ☆アイオイシステムがLIVEショールーム開始、三密避け見学可能に
    ☆英国日通が医薬品WDA・GDP認証を取得、ロンドンヒースロー空港で
    ☆各社の20年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼先週、首都圏1都3県と北海道の緊急事態宣言が解除され、日本における新型コロナウイルス対策に伴う同宣言は、全面的に解除された。
    ▼とは言うものの、各自治体の首長は警戒を継続するよう呼び掛け、いまだ多くの店舗が営業時間の短縮などを続けている。米中の政治的な確執も激化し、今後の貿易に与える影響も懸念される。
    ▼なかなか明るい展望は描けないが、観光や外食など大きな影響を受けている産業に、個人でも行える経済的支援を続けたい。「景気は気から」という言葉も聞くが、経済をこれ以上落ち込ませないために、心の緊急事態宣言解除も進めたい。もちろん、密閉・密集・密接の“三密”を避けながら。

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