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2020年9月7日付 2807号

自走ロボットで配送、12社の実証を選定 技術開発を促進  NEDO

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、石塚博昭理事長)は2日、「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」について、佐川急便や日本郵便を含む12社・10ヵ所での実証実験を選定した。

 新型コロナウイルスの影響で宅配需要が急増しており、ラストワンマイル物流における遠隔・非対面・非接触配送ニーズや配達員不足への対応策として、自動走行ロボットを活用した新たな配送サービスの早期実現が求められている。これらを受けてNEDOでは、自動走行ロボットの早期実用化によるサプライチェーンの強靭化と関連市場の活性化を目指し、自動走行ロボットの技術開発促進を進めている。

 この事業では、自動走行ロボットを用いて、集合住宅や市街地、商業施設、工業地帯などで走行させる実証を11月以降順次実施し、一部では公道での実証を行うとともに、自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現の観点から、社会受容性の向上に向けた取り組みのあり方などの分析・検討も実施していく。

 ◎事業化に向けて核となるユースケースの明確化◎自動走行ロボットの仕様に関する安全性評価や自動走行ロボットの安全な運用体制の構築◎自動走行ロボット活用に関する制度・法令などの検討・整備―など、この事業で得られた知見は、経済産業省が主導する「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」に提供される。

 選定された12事業者は次のとおり(順不同)。NTTドコモ、日本郵便、TIS、パナソニック、本田技術研究所、楽天、QBIT Robotics、ソフトバンク、佐川急便、アイシン精機、東芝、京セラコミュニケーションシステム。

専用車両を52台導入し医薬品サプライチェーンを来年2月にスタート  日通

 医薬品サプライチェーンネットワークを構築中の日本通運(齋藤充社長)は8月31日、サービス開始時期を来年2月とし、厳しい品質基準をクリアするため、同社独自開発の医薬品専用車両52台を導入すると発表した。

 同社ではGDP(医薬品の適正流通基準)の要求事項をハード・ソフト両面で実現し、より安心・安全な医薬品供給が可能な医薬品サプライチェーンネットワークを構築するため、従来からの原材料・製品の輸出入拠点である「メディカルハブ」の成田国際空港、関西国際空港に加え、現在、国内の核となる4拠点(東日本・西日本・九州・富山)を建設中。

 新設倉庫の特長は◎入荷・保管・出荷エリアを明確に区分し、安全・確実なオペレーションを確保(東日本・西日本)◎トラックドック、前室、シートシャッター、エアシャワー、エアカーテンを配置し、入出荷作業の際の防虫管理とセキュリティを確保◎定温、保冷の温度管理に加え、輸出入用の保税・特殊医薬品エリアなどサプライチェーンのあらゆるニーズに対応◎保管エリアは、温度を24時間総合監視◎災害等に備えた免震構造(一部除く)および非常用発電設備の設置◎自動化設備導入による庫内オペレーションの高度化―など。

 独自開発の専用車両は◎各種セキュリティシステムによる安全・確実なオペレーションの担保◎複数温度帯に対応した空調設備を完備し、夏季・冬季の厳しい環境下でのバリデーション実施済車両◎温度管理に加え、輸送中の動態管理を含めた温度監視システム―などの特長を持つ。サービス展開に応じて順次増車する計画。

 同時に、医薬品サプライチェーンのグローバル化を踏まえ、世界の主要マーケットにGDPに準拠した拠点を展開し、グローバルレベルでのサプライネットワークを拡充している。

 さらに、IoTやブロックチェーンといったデジタル技術を取り入れ、物流上の情報を一気通貫でとらえることにより、トレーサビリティや業務効率化をはじめ、収集したデータを分析し、意思決定や企画の立案に役立てていくデータドリブンでの業界全体のサプライチェーン最適化に貢献することを目指す方針。

 具体的には、海外の医薬品主要拠点にGDPに準拠したCFS(コンテナ・フレイト・ステーション)の建設を推進し、新薬メーカーが集積する欧州ではロンドン、ミラノで、また、ジェネリックを中心として高い市場成長を示しているインドでGDP認証済みCFSを開設。世界最大のマーケットである米国も、シカゴでGDP認証を取得した。さらに欧米、アジア各国でGDP認証取得を計画しており、M&Aを含めネットワークを拡充していくとしている。

 同社は4月にデジタルプラットフォーム戦略室を新設し、医薬品産業に向けては、温度管理をはじめとした物流情報をつなぐ、IoTデバイスとブロックチェーンを活用したデジタルプラットフォームを構築中。物流情報を活用して、商流のサービスの展開、オープン化についても検討を進めている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(153) 『今後の日本経済 荷動きの行方は?(その2)』
    ☆物流応援歌(30)『テレワーク環境における課題を考える=「FACE to FACE」関係の必要性=』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省自動車局・酒井雅彦審査・リコール課長

  • ☆センコーがUACJ物流を12月に子会社化へ、重量物輸送を強化
    ☆日通がハイファッション向け倉庫オペレーションの運用開始、RFIDとWMS連携
    ☆セイノーHDが置き配強化を目的にリビングプロシードをグループ化、LCC宅配体制構築
    ☆JILSがロジスティクス大賞で受賞3事例を発表、知能ピッキングロボ活用など
    ☆日貨協連が取り扱うAIロボット点呼機器「ユニボ」が経産省のIT導入補助機器に登録
    ☆三井倉庫ビジネスパートナーズがテレワークの推進へ中堅中小企業向け支援サービス
    ☆村田機械がアルペングループと工事契約、3Dロボット倉庫システム
    ☆JR貨物・通運連盟が「鉄道コンテナ利用キャンペーン2020」として4イベントに出展
    ☆秡川国交省自動車局長が会見、タクシーの貨物運送は「恒久化」ではない
    ☆国交省が電気トラックやハイブリッド・天然ガストラックなどの導入補助の公募開始
    ☆ヤマトHD、本年の音楽宅急便は初のオンライン開催
    ☆日通が「WEB限定!単身パックキャンペーン~単身パックS・Lご利用でもれなく選べるeギフト1000円分プレゼント!」を実施
    ☆物流連がインターンシップの東京地区の初日合同説明会開催、学生約140人が参加
    ☆運輸労連東京が定期大会、反町委員長が「東京都の最低賃金増額0円について次年度の英断待つ」とあいさつ
    ☆ヤマト総研がフィジカルインターネット普及へパリ国立鉱業学校と覚書
    ☆東ト協経営教育委がウェブ会議等促進へ支部に機器導入助成、1支部30万円上限
    ☆佐川急便が大型複合施設「Otemachi One」全館の管内物流管理業務を開始
    ☆全ト協・日貨協連、8月のWebKIT成約運賃指数の前年同期比は12か月連続下回る
    ☆センコーGHDがプロケアの全株式取得、子育て事業に参入
    ☆日通、医薬品ロジの米国物流会社MD社の出資持分取得が完了
    ☆国交省、モーダルシフト等推進事業で外装サイズの標準化や伝票電子化など多様な取り組み支援

今週のユソー編集室

  • ▼安倍晋三総理は8月28日に会見し、健康問題を理由にその職を辞すると発表した。2012年12月の再就任以来、7年9ヵ月に及ぼうとする2回目の安倍政権が終焉の時を迎えた。
    ▼この期間、物流業界では、使命の重さに反して低位にある労働環境について社会的認知が進み、働き方改革関連法や改正貨物自動車運送事業法の成立という形で、改善に向けた方向性が示された。
    ▼在職日数が歴代最長となった安倍政権は、さまざまな批判にもさらされた。功罪はあろうが、長期安定政権が政策推進を後押しした側面もあるのではないだろうか。まずはその労をねぎらうとともに、健康回復に努めていただきたい。

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