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2020年12月21日付 2821号

スワップボディ活用など優良事例6件表彰、グリーン物流パートナーシップ会議  国交省・経産省等

赤羽国交大臣(左から2人目)と大臣表彰受賞企業の代表者

 国土交通省・経済産業省等は16日、東京都千代田区の日経カンファレンスルームで2020年度のグリーン物流パートナーシップ会議を開催。国土交通大臣表彰にはホームロジスティクス(柳川弘之社長)ほか2社による「スワップボディを活用した共同輸送事業」、経済産業大臣表彰には江崎グリコ(江崎勝久社長)ほか9社による「VMIセンター導入による調達物流の最適化」が選ばれた。

 会議の冒頭あいさつした代表世話人の杉山武彦一橋大名誉教授は、16年目19回目を迎えた本年の会議は新型コロナウイルス対策で、これまでと異なったスタイルでの開催となったが、会場で表彰受賞者と対面できたことに感謝すると述べた上で、表彰された事例に代表される荷主と物流事業者の連携による物流効率化の取り組みは、政府が掲げるカーボンニュートラルの目標達成にも意義があるとの考えを強調。取り組み内容のさらなる発信を進め、新型コロナを契機に高まる社会の物流に対する重要性の認識を追い風に、業界の垣根を越えた取り組みの輪をさらに広げることが重要であるとした。

 続いてあいさつした赤羽一嘉国土交通大臣は、コロナ禍の中、国民生活や経済活動を支えるエッセンシャルサービスを提供している物流関係者に感謝の意を示した上で、表彰事例は関係者が相互に課題を認識し、環境負荷低減や生産性向上につなげた顕著な取り組みであるとして、全国への広がりに期待すると述べた。

 江島潔経済産業副大臣は、トラックドライバー不足に加え、新型コロナによる新たな課題が加わり、「物流クライシス」が現実味を帯びてきたと指摘。こうした状況に対して、経産省では自動配送ロボットの実証実験やホワイト物流の推進などの対応を進めていることを説明した。

 あいさつの後、表彰と記念撮影が行われた。各表彰の取り組み内容・企業名(順序は配布資料に基づく)は次のとおり。

 【国土交通大臣表彰】◎「スワップボディを活用した共同輸送事業」=ホームロジスティクス、ユニ・チャームプロダクツ、トランコム。

 【経済産業大臣表彰】◎「VMIセンター導入による調達物流の最適化」=江崎グリコ、川西倉庫、グリコ栄養食品、国分グループ本社、塩野香料、長岡香料、新田ゼラチン、不二製油、松谷化学工業、ヤマエ久野。

 【国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官表彰】◎「RORO船を用いた本州内紙製品バラ積輸送(愛知~埼玉間)」=栗林商船、王子物流、東海協和、栗林運輸。

 【経済産業省商務・サービス審議官表彰】◎「異業種メーカー3社の共同連携輸送による環境負荷低減~高積載スワップボディを活用したラウンド輸送~」=ライオン、モンデリーズ・ジャパン、J―オイルミルズ、鈴与。

 【グリーン物流パートナーシップ会議特別賞】◎「アクティブRFIDタグ搭載スマートパレットの活用による物流の生産性向上」=東レ、ユーピーアール◎「ゴルフ用品業界における共同配送事業」=日本ゴルフ用品協会、Opex、ダンロップスポーツマーケティング、アクシネットジャパンインク、テーラーメイドゴルフ、大沢商会、ライト、セントラル工商、マジェスティゴルフ、ピンゴルフジャパン、ゴルフパートナー。

武漢に新拠点開設、アパレル等ターゲットに 中国で消費財物流を強化  日通

武漢に開設した新拠点

 日本通運(齋藤充社長)は17日、現地法人の日通国際儲運(王寒健社長)が中国湖北省武漢市に拠点を新設し、11月からアパレルの国内物流拠点として本格稼働させたと発表した。

 新拠点は鉄骨造、平屋建て、延べ床面積2万4千平方メートルの規模で、フォークリフト12台、RFID読み取り機11台、24時間守衛、監視・防犯カメラなどを備える。

 現在、中国では内陸部の購買力が上昇し、アパレルをはじめとした消費財の流通量が大きく増えており、武漢市は中国主要都市の中心に位置する内陸部交通の要所であることから、その地理的重要性が高くなっている。武漢市に拠点を新設し、同種のアパレルを扱う沿岸部の広東省東莞市の拠点から、熟練スタッフを派遣、高品質を保持しつつ業務を開始した。

 今後は、この武漢地区拠点を中心に、日用雑貨・アパレル等の消費財をターゲットとして、中国国内トラック輸送網、店舗向けルート配送網を構築していく方針。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流界のトップトピック『ゆく年2020』
    ☆四文字 『近代化と「物的流通」』

  • ☆全ト協が2020年度Gマークに9296事業所を認定、全体は2万7065事業所
    ☆全ト協、2020年度引越安心マークに256事業者・1467事業所認定
    ☆関運局、標準的な運賃の届け出は管内事業者の3%
    ☆政府が20年度3次補正予算を閣議決定、高速料金の大口・多頻度割引最大50%への拡充延長
    ☆国交省、10月の宅配便再配達率は前年同月比3.6ポイント減
    ☆西濃運輸が全社員約1万3千人に対し総額10億円の「新型コロナ対応特別一時金」支給
    ☆山九がサウジアラビアで石油化学プラント保全作業を新規受注
    ☆日立物流、国際環境団体CDPが「Aマイナス」評価

今週のユソー編集室

  • ▼「コロナに明け、コロナに暮れる」。そんな1年が間もなく終わる。本号が、本紙2020年の最終号となる。
    ▼「原因不明の肺炎患者が27人いる」と中国・武漢市当局が発表したのは昨年の12月31日。それから1年が経過したいま、全世界の感染者数は7400万人を超え、死者数は160万人に達している。まさしく世界の様相は一変した。
    ▼パンデミック下の世界で、物流は再度その重要性を際立たせた。先週にはフェデックスとDHLがワクチンの輸送を開始したと発表。経済と生活に加え、文字どおり命を支える産業となっている。
    ▼ワクチンが所期の効果を発揮し、迎える新年がコロナ収束の年となるよう、切に願う。

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