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2021年1月18日付 2824号

中計目標達成に向けDX戦略を策定、新事業創出見据え  日立物流

 日立物流(中谷康夫社長)は13日、2021年度を最終年度とする中期経営計画「LOGISTEED2021」に盛り込まれたデジタルプラットフォームを通じた多様なパートナーとのオープンイノベーション実現に向け、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重点施策などをまとめた「DX戦略~『LOGISTEED2021』実現に向けて」を策定した。

 DX戦略では、「CPS(Cyber Physical System)と協創による価値創造」を基本方針に、現場(フィジカル空間)にある多様なデータをセンサーネットワークやシステムで収集し、サイバー空間でそれらのビッグデータをAIなどにより分析。そこで蓄えた情報や価値を現場に投入し、さらなる現場力の強化を図るとともに、さまざまな協創パートナーとのオープンイノベーションの活性化により、新事業・ビジネスモデルの創出につなげる。

 重点施策として①協創によりデータを価値に変えるエクスターナル(社外向け)DX②業務を効率化しデータを集約するインターナル(社内向け)DX③DXを実現する組織づくり・人財④ITガバナンスの強化―などを行うとし、社外向けDXでは、サプライチェーン上の情報を一元管理・可視化し、課題解決をサポートするSCDOS(Supply Chain Design & Optimization Services)や、自動化・省人化のノウハウとデジタル技術を組み合わせて業界ごとに標準化して提供するスマートウエアハウスを提供するとともに、IoTテクノロジーを駆使して輸送事業者の業務効率化、事故ゼロ化を支援するサービスプラットフォーム(SSCV・Smart & Safety Connected Vehicle)を拡大。

 社内向けDXでは、社内業務データや顧客のSCMデータを集約するデジタル事業基盤構築や、複数拠点の最適運営を実現する倉庫内デジタルプラットフォーム推進、基幹システムを集約・統合して基幹業務の効率向上とガバナンス強化などを図る。

 また、全社ボトムアップにより業務改善を進めるVC21活動(Value Change & Creation 2021年度)の一環としてRPA(Robotic Process Automation)の導入を推進する。

ブロックトレインや定温列車を新設、長期ビジョン発表 30年までに4千億円投資  JR貨物

 JR貨物(真貝康一社長)は8日、JR貨物グループ長期ビジョン2030を発表した。鉄道を基軸とした総合物流企業グループとして、最適なソリューション提供による社会価値向上への貢献を大目標に掲げ、鉄道ネットワークの強靭化や貨物駅の物流結節点機能の向上、鉄道とのシナジーを生かせる不動産開発を通じて、物流の生産性向上やグリーン社会の実現、地域の活性化に貢献する内容。多少の自然災害があっても常時100億円を超える経常利益を確保し、完全民営化も目指していく。

 鉄道事業については、レールゲートや積替ステーション、駅施設の更新など、これまでの取り組みを継続しながら、鉄道利用運送(通運)との連携強化やグループ会社の資源を活用した物流ソリューションのワンストップ提供を展開。列車の一部または全部の貸切や複数荷主のコンテナを混載する列車(ブロックトレイン)の新設、需要の高い定温列車の新設を計画するとともに、貨物新幹線の検討なども進めていく。

 不動産事業でも、自社開発用地生み出しや外部物件の取得による新規開発等を行い、安定的な収益の維持と地域への貢献、総合物流事業とのシナジーを追求していく。

 2021~30年度の設備投資額は、維持・更新に約2250億円、成長・戦略投資に約1770億円、合計約4020億円を計画している。

 同日記者会見した真貝社長は、ビジョンの内容について「現在の中期経営計画の方向性を踏まえながら、10年後のあるべき姿を明確化したもの」とコメントし、物流ソリューションのワンストップ提供や貨物新幹線に関する具体的なイメージについては、今後検討していくとした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(116) 『脱炭素社会に向けた中国物流の環境施策を考察』
    ☆四文字 『労働力不足と「経営課題」』

  • ☆運輸労連の賃金実態調査、労働時間さらに減少し賃金は再び減額へ
    ☆警視庁が年度内に貨物スペースを新たに50ヵ所設置
    ☆JILSが2020年度物流コスト調査報告書を公表、売上高物流コスト比率は01年度以来の高水準
    ☆西濃運輸が22年2月竣工予定の名古屋支店の地鎮祭執り行う、ロジ機能強化図る
    ☆日通が海外引越の作業に専用タブレット導入
    ☆ヤマト運輸労組が春闘討論集会、森下委員長が年末繁忙期の遅延で早急な対応訴える

今週のユソー編集室

  • ▼再度の緊急事態宣言で右往左往する日本列島を大規模な豪雪が襲った。日本海側の広範囲で、多くのトラックが長時間の立ち往生を余儀なくされた。
    ▼国土交通省が昨年2月に発表した異常気象時の輸送に関する措置では、大雪注意報発令時には必要な措置を講じるべきとしている。今回は早い段階で気象庁が注意を喚起していたが、結果としてこうした事態が発生してしまった。
    ▼豪雪時の長時間の車両内待機は命の危険すらある。冬タイヤの点検といった車両側の対策は無論だが、輸送の可否を検討する際の参考となるよう、高速・一般道路の予防的通行止めといった道路側の事前対策も、並行して進めてもらいたい。

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