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2021年5月24日付 2840号

新社長に栗和田会長 松本取締役に代表権 SGHDの内定役員人事

 SGホールディングス(荒木秀夫社長)は20日に開催した臨時取締役会で、栗和田榮一代表取締役会長の社長兼務と松本秀一取締役の代表取締役就任を内定した。荒木社長は名誉相談役に回る。いずれも6月25日に開催予定の定時株主総会と取締役会で正式に決定する予定。

 各氏のコメント(抜粋)と栗和田、松本両氏の略歴は、次のとおり。

 【栗和田新社長】

 今後の経済環境は依然先行き不透明な状況が続き、今までの成功体験はこれまで以上に通用しなくなっていきます。このような環境の中、当グループは変化に対応し、さらに成長できるように、事業および組織力の強化に取り組んでまいります。

 荒木氏は本人の意向も踏まえて退任いたしますが、名誉相談役として必要に応じてアドバイスをいただく予定です。また松本氏には、多様な環境変化が続く社会において、ESG(環境、社会、ガバナンス)を意識した経営をリードしていただくとともに、経営全般において、私のサポートをしていただく予定です。この新体制で、これまで以上にグループの経営資源を最大限活用し、株主、顧客、従業員、地域社会、取引先などすべてのステークホルダーから必要とされ信頼される企業グループの形成に取り組んでまいります。

 《略歴》 栗和田榮一(くりわだ・えいいち) 1977年1月東京佐川急便入社、86年11月大阪佐川急便代表取締役、91年7月東京佐川急便代表取締役、92年5月佐川急便代表取締役社長、2002年6月佐川急便代表取締役会長、06年3月SGHD代表取締役社長、06年6月SGHD代表取締役会長兼社長・佐川急便代表取締役社長、09年6月佐川急便会長(現任)、15年3月SGHD代表取締役会長(現任)。1946年10月10日生まれ74歳。新潟県出身。

 【荒木新名誉相談役】

 佐川急便の社長を6年、SGHDの社長を2年、計8年間、当グループ経営の最前線を担ってまいりました。従業員の協力のもと、新たな収益機会の創出、経営効率の改善など事業成長において、一定の成果を残すことができました。

 思い描いていた成長戦略の実現はおおむねめどがたったとの思いから、経営の一線から退き、今後は名誉相談役として、SGHDグループの事業に、必要に応じてアドバイスを行っていきたいと考えております。

 【松本新代表取締役】

 グループ在籍30年以上の経験と、行政機関への出向経験などを生かしSGHDグループが掲げるステークホルダー経営を管理・統制担当取締役として推進してまいりました。新体制においては、これまでに得た経験やノウハウを生かし、グループの安定的な経営基盤の強化と、さらなる事業成長につなげてまいります。

 《略歴》 松本秀一(まつもと・ひでかず)

 1988年7月西埼玉佐川急便入社、2007年1月佐川急便本社CSR環境推進部担当部長、07年9月環境省総合環境政策局環境経済課出向、09年9月佐川急便総務部総務課担当部長、14年3月SGHD社長室ゼネラルマネジャー(GM)、15年3月SGHD総務部GM、16年9月SGHD執行役員総務・秘書担当兼秘書室GM、16年12月佐川林業代表取締役社長(現任)、19年4月SGHD執行役員管理・統制担当兼秘書室GM・ヌーヴェルゴルフ倶楽部代表取締役社長(現任)、19年6月SGHD取締役管理・統制担当兼秘書室GM、21年4月SGHD取締役管理・統制担当(現任)。1966年8月10日生まれ54歳。埼玉県出身。

新中期経営計画を発表 23年3月期の売上高6372億円目指す  セイノーHD

 セイノーホールディングス(田口義隆社長)は20日、2023年3月期の売上高目標6372億円とする中期経営計画(中期計画)を公表。同社は昨年5月に中期的な経営の方向性を「中期経営方針」(中期方針)として数値目標を示さない形で公表したが、今回示された中期計画では、23年3月期の売上高で21年3月期比7.6%増、営業利益で36.8%増の意欲的な目標を掲げている(21年3月期決算の概要は前号4面、セグメント別業績は前号6面、決算会見内容は前号7面参照)。

 「Connecting our values」をスローガンに据えた中期計画では、特積み事業のDX化や社会課題解決型ラストワンマイルの推進、ロジスティクスインフラの拡大などを進め、23年3月期の売上高6372億円、営業利益336億円の目標達成を目指す。

 売上高目標6372億円のうち輸送事業は21年3月期比9.3%増の4820億4千万円まで引き上げ、営業利益についても42.5%増の261億8千万円を確保することとしている。

 輸送事業では、特積みのDX化による幹線輸送の効率性向上や、置き配サービスの展開をはじめとするラストワンマイルの強化、ロジスティクス機能を持つ拠点(ロジ・トランス施設)拡大などを進める。

 ラストワンマイルについては、置き配サービスのほか、ドローンを活用した「Sky Hub」の構築や処方薬即時配送サービス「ARUU」の展開、「スパイダーデリバリー」による買い物弱者対策を加速させる。ロジ・トランス施設については、12拠点に628億7500万円の投資を見込んでいる。

 国内の特積み需要が減少傾向にある中、輸送事業で売上高・営業利益の上積みを見込むことについて、ウェブで中期計画の説明を行った田口社長は、現在の特積みでのシェアが10%未満であり、今後セイノーグループの優位性を出していくことができれば、拡大の余地は十分にあるとの認識を示した。

 ラストワンマイルについては、置き配は不在による持ち戻りがなく、オペレーションはtoB貨物と同様であることから、大きな投資などを行わずにLCC(ローコストキャリア)としての役割や価値を顧客に提供できるとした。

 ロジ・トランス施設については、全国のグループ輸送拠点と組み合わせることで、倉庫事業者に比べて自由度の高い「自在倉庫」を提供できる強みがあるとし、納期や賃料の面でメリットを顧客に提供できる点を強調した。また、事業環境が大きく変化する中、グループのトランスフォーメーションは不可欠であるとし、グループ会社の再編などにも取り組む考えを示した。

 さらに、ESG経営は不可避であるとして、グリーン投資を行う姿勢を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各証券取引所上場物流企業の売上高・営業利益率・時価総額・ROE・ROAランキング

  • ☆日通が第4四半期の国際業績を発表、航空輸出増大等で大幅増収に
    ☆JR貨物が6月に本社組織改正、総合物流部の新設でソリューション営業強化へ
    ☆国交省が「働きやすい職場認証制度」の初の認証事業者2548社を公表、トラックは1718社に
    ☆全ト協が21年1~3月期景況感を公表、前回より24ポイント改善で今後はやや悪化を見込む
    ☆日通が発泡スチロールを使用した新素材のパレット開発
    ☆佐川急便・JR九州が九州新幹線利用し貨客混載輸送開始、福岡~鹿児島間の宅配荷物を即日配達
    ☆日立物流が5月1日付で経済産業省が定めるDX認定取得事業者に
    ☆SBSリコーロジスティクスがグループ初の中部エリア自社センター、23年4月開業
    ☆JR貨物の真貝社長がコメント、4月実績は前年水準と変わらず「非常に厳しい」
    ☆JR貨物がタイ・バンコクに初の駐在員事務所
    ☆JR貨物の犬飼取締役が決算会見「鉄道ロジ部門は改善の余地大きい」
    ☆ハマキョウレックスが新中計を発表、物流センター省人化へDX推進部を新設
    ☆全ト協が「標準的な運賃」の活用法をホームページ上で動画解説
    ☆全流協が定時社員総会開く、労働力の確保など六つの目標掲げる
    ☆物流連が6月15日に新総合物流施策大綱のシンポジウム開催
    ☆増田日本郵政社長が新中計発表、JPビジョン2025
    ☆各社の21年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼5月も下旬に入り決算シーズンも一段落した。本号では例年どおり、各証券取引所上場物流企業の売上高ランキングを掲載している。
    ▼新型コロナの影響をほぼ通年で受けた今期は、ランキングに掲載した74社のうち、実に54社が減収となった。ところが74社の合計売上高を見ると、今期は12兆8413億円余で、前期を0.3%上回った。ちなみに営業利益率の平均は、今期前期とも4.8%で変わらない。
    ▼少なくとも上場物流企業を見る限り、業界全体が大打撃を受けているとは言えない状況だが、ニューノーマル時代の物流ニーズの変化が、各企業の業績にどのように反映されていくのか、今後も注視したい。

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