物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2021年6月28日付 2845号

坂本体制が3期目に 難局に立ち向かう 全ト協が総会・理事会

総会・理事会の模様

 全日本トラック協会(坂本克己会長)は24日、東京都港区の第一ホテル東京で第98回通常総会・第191回理事会を開き、任期満了に伴う役員改選で、坂本会長を再任した。新型コロナウイルスの影響などにより厳しい経営を強いられているトラック運送業界は、3期目を迎えた坂本体制のもと、標準的な運賃の届け出推進などを通じて難局に立ち向かう。

 冒頭あいさつで坂本会長は、標準的な運賃について、「新型コロナの影響で届け出率が思うように上がっていないが、ドライバーにしっかりとした労働条件を提供するために届け出は必要。時限措置なので、期限が来ても届け出割合が低い状況なら、議員立法で貨物自動車運送事業法を改正した国会議員も耳を貸してくれなくなる」と述べ、届け出を行うよう促した。
 
 5月末現在、全国での届け出割合は約25%にとどまっているが、6割を超える地域もあり、全ト協ではこうした地域での取り組み事例を水平展開するなど、届け出率向上につながる取り組みを進めるとともに、今後もさまざまツールを活用しながら各都道府県トラック協会や会員をサポートしていく。

 議事では、2020年度事業報告や計算書類案などを承認。

 第26回事業者大会は、10月14日に名古屋市内で開催し、来年は札幌市内で開催の予定。

 役員改選では、坂本会長のほか、工藤修二・庄子清一・浅井隆・小林和男・寺岡洋一・小丸成洋・眞鍋博俊・秋田進の8副会長と、桝野龍二理事長を再任。退任した辻卓史副会長の後任に中川才助理事を新任した。

 なお、同じく退任した小林幹愛副会長の後任は、7月の理事会で会長指名により決定する。

NECと業務提携しDXによる価値共創 IoT・AI活用 日通

 日本通運(齋藤充社長)は17日、日本電気(NEC、森田隆之社長)とDXによる価値共創に向けた業務提携契約を締結したと発表した。

 提携内容は、短期的な取り組みとして、IoTを活用した倉庫オペレーションの効率化・省力化・無人化、中長期的な取り組みとしてデジタル技術を活用した両社の新たな事業の発掘と創造。

 短期的な取り組みでは、IoTを用いて倉庫現場の人や物の動きなどを高速かつ適切にデータ化し、AIによりタイムリーに分析することで、作業員のノウハウや暗黙知をデジタル化。これにより、倉庫のパフォーマンスを最大化し、労働力不足の解決に寄与するとともに、作業員が安全・安心に働ける環境を実現する。

 将来的には、輸配送現場も含めた物流現場全体での事故ゼロや人員配置最適化にもつなげていく。

 また、産業軸では重点領域である電機・電子から始め、半導体、自動車のサプライチェーンへの展開も検討していく。

 中長期的な取り組みでは、距離を超えて人が人を支える社会づくりの可能性を探索していく。

 働き手が減少している産業、労働環境の悪い場所、危険な地域、地球の裏側など、これまで人力による作業の提供が困難であった場所で、AIや遠隔操作ロボットなどを用いて作業を提供することを想定している。

 日通の倉庫作業の遠隔操作で実証を開始し、ロボット操作人材の育成や動作プログラムの構築などを通じて知見を蓄積していく。世代、国境、産業の垣根を越え、社会の発展を支えるとともに、サステナブルな社会実現に向け、物流プロセスにおけるCO2排出量の可視化と削減をテーマに掲げ、取り組む。自社の改善に留まることなく、パートナーや顧客などサプライチェーン全体に拡大することで、社会の環境負荷低減に向けて活動していく方針。

 両社は2013年にグローバルな物流サービス事業の強化に向けた業務提携契約を締結し、日通NECロジスティクス社を運営するなど、これまでも物流の高度化・効率化に取り組んでいる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(17)『2021年度の経済見通し(その1)』
    ☆四文字 『燃料の不安「価格高騰」』

  • ☆JILSが2021年度物流合理化賞を発表、物流業務部門は日通・NPロジが受賞
    ☆取引環境・労働時間改善中央協議会、中継輸送の普及に向けガイドライン策定へ
    ☆中国日通が日系物流企業初となる済南市に事務所新設、開所式でシンポジウム開催
    ☆三井倉庫が日本ベクトン・ディッキンソン用施設の関東P&Mセンター同一敷地内にⅡ期施設(B棟)を竣工
    ☆東ト協連が通常総会で石川会長らを理事再任、今後の理事会で役職を決定
    ☆東ト協が通常総会開催、会員の適正な運賃・料金収受へ積極的に取り組む
    ☆ドイツ日通、スロバキアのブラチスラバに支店
    ☆佐川急便がLISUTOから「AIタッガー」のOEM供給を受けてEC事業者向けに販売を開始、年内に全国展開
    ☆運輸労連が新型コロナの関連で全ト協へ要請行動、労連が独自に実施した調査結果を元に
    ☆物流連が本年8月から9月にかけて東京・大阪・オンライン開催する業界インターンシップの概要を発表
    ☆日通が引越の「リモート見積もり(リモミ)キャンペーン」を展開
    ☆トナミ運輸が富山・石川・福井の旬の食材を取りそろえた「ほくりく産品」中元ギフト販売中
    ☆21年度版国土交通白書、競争力ある社会経済構築へ総合的・一般的な物流施策推進
    ☆日通商事が2021年カタログ『鮮』夏号取り扱い開始、ネット購入で5%割引
    ☆厚労省が国民と企業が一丸となって物流生産性向上とトラック運転者の長時間労働改善に向けた意見交換を行う「アイデアソン」を7~9月に開催

今週のユソー編集室

  • ▼今年も台風や大雨の季節がやってきた。年々激甚化する自然災害だが、こうした環境の変化を無視するように、悪天候下でトラック事業者に対して輸送を強要する荷主が存在することは残念でならない。
    ▼国土交通省は昨年、台風等の異常気象時における輸送の目安を策定し、荷主団体に対しては、輸送の安全確保が困難な状況下での輸送依頼を抑制するよう、傘下会員に周知することを求めている。
    ▼国交省が荷主企業に行った配慮依頼の原因となった違反行為のうち、5.1%が異常気象時の運行強要に関連するものだった。ドライバーの命に関わる異常気象時の運行強要に対して、関係機関は厳しい態度で臨んでほしい。

戻る