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2021年7月5日付 2846号

新物流大綱の報告会 期末にフォローアップ会議 国交省

 国土交通省は6月28日、総合物流施策大綱(2021~25年度)に関する報告会をオンライン形式で開催、大綱の策定に関与した検討会のメンバーらが参加した。

 冒頭あいさつした国交省大臣官房の久保田雅晴公共交通・物流政策審議官は、新大綱と旧大綱の違いとして①経済産業省・農林水産省と連携を図ったこと②定期的に政策評価を行うなど決定後の推進体制を構築したこと③大綱としては初めて数値目標を設定したこと―の3点を挙げ、すでに官民物流標準化懇談会の設置や高度物流人材シンポジウムの開催など、具体的な動きが始まっていることも指摘した上で「関係者の関心が高まっているこの機を逃さず、しっかりと推進していきたい」と意欲を示した。

 引き続き国交省総合政策局の阿部竜矢物流政策課長が、検討会最終報告から追加した数値目標などについて解説。現状では物流のDXや機械化に関する統計データは存在しないことから、DXに関するKPIについては、トラックや倉庫等の業界団体の協力を得て事業者にアンケートを実施し、定点観測を行うこととした。広報に関するKPIでは、国交省が約千人に対して行っているインターネットモニターアンケートを活用し、本年夏以降に実施するとした(これらの具体的な数値目標は左上表参照)。

 推進体制では、検討会メンバーらで構成されるフォローアップ会議を年1回年度末に近い時期に開催することとし、行政から関連施策と展開状況等の報告を受け、その評価や今後の課題について意見交換した上で、次年度の取り組みの方向性を決める方針とした。

 これらに対しメンバーからは次のような声が挙がった。

 「DXの数値目標は、オペレーションの改善や働き方改革の土台。数値目標の達成が物流DXの完遂を意味しているのではないことに注意したい」「高度物流人材の具体的イメージが欲しい」「高度物流人材を育成するためにはカリキュラムの開発が必要」「標準化では国際的な視点も必要。国際的な物流の標準化機関であるGS1の動向を注視しながら進めるべき」「トラックドライバーの所得目標が示されたのは非常にありがたい」「大綱の内容を物流関係者以外にも広く発信したい」。

富士通と共同開発した美術館・博物館の収蔵品デジタルアーカイブ一括サポートサービス発売 日通

 日本通運(齋藤充社長)は1日、富士通(時田隆仁社長)と共同開発した美術館・博物館の収蔵品デジタルアーカイブ一括サポートサービス「SmartMuse(スマートミューズ)」を発売した。

 日通の美術品梱包の強みと富士通のデジタル技術で全国の美術館や博物館の収蔵品管理業務のデジタル化を支援していく。

 スマートミューズは、収蔵品を五つの要素(データ管理、収蔵庫整理、輸送・保管、データ入力代行、デジタル化)で支援する統合サービス。日通が従来から提供していた美術品の梱包・輸送・保管業務サービスに人的支援サービスを追加し、富士通Japanの収蔵品管理・公開システム「FUJITSU文教ソリューションMusethequeデジタルアーカイブクラウド」を組み合わせ、収蔵品や収蔵品データの一括管理を実現し、整理から管理までをワンストップで提供する。

 収蔵品管理に関するこれらの業務を日通が代行することで、学芸員が日々行っている管理業務の負荷軽減に貢献することを目指す。加えて、日通のノウハウと富士通のデジタル技術により、美術館や博物館のDX化を推進し、新たな鑑賞方法の充実など、美術館や博物館の可能性を広げていくとしている。

 まず首都圏エリアで販売を開始し、段階的に全国展開する予定。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・物流業界の安全環境対策
     各団体の助成措置
      国土交通省
      全日本トラック協会
      東京都トラック協会
      埼玉県トラック協会
      神奈川県トラック協会
      千葉県トラック協会
      環境優良車普及機構(LEVO)
     各社注目の安全機器
      ユピテル
      矢崎エナジーシステム
      データ・テック

  • ☆中国日通がバイオ系医薬品輸送を展開する生生物流と業務提携
    ☆国交省が9月に乗務後ロボット点呼などの実証実験実施
    ☆物流連が通常総会で池田新会長を選任、若年層へアピールを
    ☆センコーがパートタイマー向け財産形成支援制度を導入、物流業界大手初
    ☆日通商事が使用済みオフィス什器の本格的海外寄付を実施へ、日本初のケース
    ☆日本郵便と楽天がJP楽天ロジスティクスを1日設立
    ☆全ト協・関ト協青年部会が研修会開く、標準的な運賃の届け出など重点4項目挙げる
    ☆日通が積合せ輸送サービス「プロテクトBOXビジネスレギュラー」のエリア拡大し沖縄発着を追加

今週のユソー編集室

  • ▼千葉県八街市で6月28日、トラック運転手の飲酒による児童5人の死傷事故が発生した。亡くなられた方のご冥福と、重傷の方の一日も早い回復をお祈りする。
    ▼近年こうした事故に対する社会の処罰感情は極めて強く、事故が大きく取り上げられたこともあって、ネット上では「飲酒運転は殺人未遂、事故を起こせば殺人」との書き込みも見られた。
    ▼ドライバーは、同市の建設工事会社の運送子会社従業員だった。会社側の管理責任もあろうが、個人の意思で完全に防げる飲酒運転事故については、どんな言い訳も通用しない。全ての自動車運転者は等しく「飲酒運転は殺人未遂」の言葉を胸に刻まなければならない。

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