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2021年7月19日付 2848号

寺田交流審が就任会見 物流大綱の実効性確保にKPIを積極活用 国交省

会見する寺田交流審

 1日に就任した国土交通省の寺田吉道公共交通・物流政策審議官(交流審)は16日、東京都千代田区の同省で就任会見を開き、総合物流施策大綱(2021~25年度)に盛り込まれたメニューの実現に向けてKPIを活用した取り組みを進めるとの方針を示すとともに、交通・物流関連行政の“フロンティア”を受け持つセクションとして、DXやドローンなど新技術の導入・普及に前向きに取り組む姿勢を強調した。

 寺田交流審は会見の冒頭、「交流審部門は、自動車・鉄道・海運・航空などの複数の関係部局を横断的に受け持つセクションである」との認識を示した上で、仕事を進める上では、「現代的な視点で“フロンティア的な部分”を進める役割であることを意識したい」と抱負を述べた。

 総合物流施策大綱の実効性確保については、政策メニューごとに達成度などの数値目標が盛り込まれたKPIを活用して進捗状況を確認しつつ、関係者のモチベーションアップにつなげていく方針を強調。併せて、物流の重要性や役割などについて広くPRを行い、消費者を巻き込んだ物流効率化などの取り組みにつなげていく考えを示した。また、東京オリンピック・パラリンピックは、国民の関心が物流にも寄せられる機会になる可能性があるとの認識を示し、荷主とも協力しながら、「物流の重要性について広く打ち出していきたい」とした。

 DXやドローン、自動配送ロボットをはじめとする新技術については、実現・普及に高い期待を示す一方で、現段階では規制や技術の面で一部に障壁があるとの認識を示し、「やってみないとわからない部分もあると思うが、可能性を追求していきたい」と、今後も課題抽出や解決方策の検討に前向きに取り組んでいく姿勢を示した。

 物流効率化法に基づく総合効率化計画の認定対象となるメニューが十分に認知されていないのではないかとの指摘については、「正確に伝わっていないのであれば申し訳ないと思う。物効法は、大きな予算が付くわけではないが、業界関係者の意識を高める上で有効な施策だ」とし、制度のさらなる周知に努める考えを示した。

 【寺田吉道(てらだ・よしみち)公共交通・物流政策審議官略歴】1965年12月生まれの55歳。89年東大法学部卒、運輸省入省。自動車局旅客課長、大臣官房審議官(総合政策局、鉄道局、観光庁担当)などを経て、2019年7月に前職の鉄道局次長、今年7月1日付で現職。

 趣味は、映画・ドラマ鑑賞。

 岐阜県出身。岐阜高校時代は、歴史研究会に所属。

医療と小売りテーマに新CM放映開始 ヤマト運輸

「医療」編の一コマ

 ヤマト運輸(長尾裕社長)は14日から、新テレビCM「治療を待つ方々のために」編と「いつでも買える日常へ」編の放映を開始した。

 昨年11月に放映を開始した「未来より先に動け。」シリーズの第2弾となる今回は、法人領域をテーマに取り上げ、医療や小売りにおける「次の運び方」を描いた内容としている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(19)『2021年度の経済見通し(その3)』

  • ☆西濃運輸、千葉・印西市で同社過去最大となる外部倉庫「印西物流倉庫」の引き渡し完了
    ☆日通、電子印鑑GMOサインとグループ会社ワンビシアーカイブズのワン―サインが連携
    ☆日立物流が12日からSSCV―Safetyの提供開始、AIで事故未然防止
    ☆JR貨物・真貝社長、コロナ禍の経済回復遅れで経常利益予想半減へ計画修正
    ☆国交省が特殊車両の新たな通行制度の運用開始を来年4月に、運用の詳細を公表
    ☆ヤマト運輸が29日からJR西日本岡山支社などと伯備線で貨客混載
    ☆MFTBCが配送計画ソフトウェア開発会社の米ワイズ社と業務提携契約締結、21年第4四半期から
    ☆JMTが22年夏にアスクル専用で稼働する葛西A棟の竣工式、再開発の一歩築く
    ☆安田倉庫がアートバンライン等と共同でスワップボディコンテナ車両活用し実証実験を実施
    ☆浅輪国交省港湾局長が抱負、「集貨」さらなる促進へ国際フィーダー支援拡充
    ☆運輸労連の政策課題への取り組み、貨物自動車運送事業法や物流DX等へ対応
    ☆埼玉ト協、協会のワクチン職域接種支援は早ければ今月下旬から
    ☆日本パレットプール、“NPPの森”が誕生
    ☆JR貨物がSDGsの取り組みを動画や広告で紹介
    ☆国交政策研が「物流分野における高度人材の育成・確保に関する調査研究」で「分野横断型での学び」が必要と指摘
    ☆五輪駐車場協議会が東京圏の競技会場で活動する事業者などを対象に予約制駐車場専用サイト開設
    ☆東ト協が21年度「東京都貨物輸送評価制度」認定セレモニー開催、過去最高の評価取得事業者数

今週のユソー編集室

  • ▼東京都などに4度目の緊急事態宣言が発出されている。度重なる宣言に世間では気の緩みも指摘され、新規感染者数は増加傾向を示しているとして、専門家は警鐘を鳴らしている。
    ▼反面、都の重症者数はピークだった1月下旬の約160人と比較しても3分の1程度に抑えられており、今週末に開幕する東京五輪の安全のためという要素もあろうが、宣言を発出するほどの緊急事態なのかという疑問はぬぐえない。
    ▼今後も新規感染者だけに注目するならば、宣言の発出と解除が延々と繰り返されるおそれがある。ワクチンの接種も進む中、欧米のように重症者に注目した「ウィズコロナ」の出口戦略を示してほしい。

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