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2021年9月27日付 2857号

東京タ~東福山間で3本目となるブロックトレイン運転開始 西濃運輸

 西濃運輸(小寺康久社長)、日本フレートライナー(FL、麦谷泰秀社長)、JR貨物(真貝康一社長)は10月5日、東京タ~東福山駅間(約779キロメートル)で、西濃運輸3本目となるブロックトレイン「カンガルーライナーTF60」の運転を開始する。西濃運輸と協力会社、FLのトラックで貨物駅に持ち込まれた積合せ貨物は、FLが受託人となって貨物列車に積載し、貨物駅間をJR貨物により直行輸送する。

 発着時刻は、下りが東京タ午前6時58分発・東福山午後9時22分着、上りが東福山午前4時14分発・東京タ午後8時19分着。

 20 両編成のうち西濃運輸が15 両を利用し、1列車当たり31フィートコンテナ30 個で積合せ貨物を輸送する。

 西濃運輸は、セイノーホールディングスの中期経営計画の中で「価値創造型 SDGs」の展開として「運び方改革」を進めており、JR貨物グループは「JR貨物グループ長期ビジョン2030」で「物流生産性の向上」や「グリーン社会の実現」の価値を社会に提供することとしており、今回のブロックトレイン新設により、トラックドライバー不足緩和とCO2排出量削減によるカーボンニュートラル実現に貢献していく。この列車によるCO2排出削減量は、年間8083トン。

AI自動運転フォークとトラック運行を連携させる共同実証事業を開始 日立物流など5社

AI搭載の自動運転フォークリフト

 日立物流(中谷康夫社長)、大和ハウス工業(芳井敬一社長)、イオングローバルSCM(野澤知広社長)、花王(長谷部佳宏社長)、豊田自動織機(大西朗社長)の5社は17日、経済産業省資源エネルギー庁の公募事業である2021年度「AI・IoT等を活用した更なる輸送効率化推進事業」で、物流施設でAI搭載自動運転フォークリフトなどを活用し、トラック運行と連携させることで荷役効率化・物流効率化・省エネ化に取り組む共同事業の提案が採択・交付決定されたと発表した。

 5社は、サプライチェーンの結節点で発生するトラックの積卸を自動化するため、AIを搭載した自動運転フォークリフトの実用化を目指すとともに、荷主間の計画的かつ効率的なトラック運行を実現することで、サプライチェーン全体の効率化・省エネ化に取り組む実証事業を今月スタートさせる。事業期間は24 年3月までの複数年度で計画され、本年度は核となるトラック積卸の自動化技術確立を目指す。22年度には、共通システムとの連携・積卸におけるスワップボディコンテナの有効活用、AIを搭載した自動運転フォークリフトの前後工程にパレタイジングロボットを活用して自動化の範囲を広げることで、さらなる効率化を図る。

 23年度には、AIを搭載した自動運転フォークリフトを活用した効率化、省エネ技術が広く普及するよう実証や検討を進める。

 現在、物流業界ではトラックドライバーやフォークリフト運転者などの労働力不足が課題となっており、物流施設内での省人化と発着荷主間で連携した輸送の効率化が必要となっている。

 また、物流施設間の輸配送では、物流施設の「入荷」と「出荷」のタイミングにトラック運行を連携させることによる待機時間の削減など、さらなる効率化が求められている。

 一方で、物流施設内の業務では、荷物のピッキングや無人搬送車など、一部の自動化は進んでいるものの、物流施設の「入荷」と「出荷」は作業が複雑なため、未だに大半が人手作業で行われている。

 こうした状況の中、サプライチェーン全体の効率化・省エネ化に取り組む実証事業の公募が行われ、共同提案された同事業の提案が採択されたことは、物流業界の課題解決に向け大きな意義を持つとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(23)『トラック運賃の足元の動向と見通し(その1)』
    ☆日通が陸・海・空の機能集約したNXグループ統合拠点を竣工、ワンストップ体制を推進へ
    ☆日本気象協会のロジスティクス大賞受賞案件、「GoStopマネジメントシステム」でドライバーを守る

  • ☆JR貨物が南福井駅をE&S化し10月に一部使用開始、全国31番目
    ☆交通労連トラック部会が中央委を書面開催、組織強化し人員数の3万人回復を目指す
    ☆ヤマト総研が第3回懸賞論文の募集開始、テーマは「2030年の物流―ニューノーマルに対応した―」
    ☆佐川急便・ローソン、長崎県で不在荷物受け取りの実証実験
    ☆LEVOが低炭素型ディーゼルトラックの申請台数を1事業者3台まで引き上げ
    ☆国交省が日本・フィリピン物流政策対話とコールドチェーン物流ワークショップ開催
    ☆全日通商事労組が定期大会、グループ経営の最適化等を日通労連と連携し対応
    ☆国交省が8月末時点の新型コロナ影響調査、運送収入20%以上減少は9%で初の1桁台に改善
    ☆小瀬関運局長が就任会見、標準的な運賃の届け出促進は協会未加入事業者への周知重要
    ☆埼玉ト協が県警が主催する幼稚園等への反射材付きエコバッグ贈呈式に参加、交通安全活動で連携
    ☆三井倉庫ロジスティクスがGMOクラウドECパッケージECのバリューセット開始、EC物流・販促をサポート

今週のユソー編集室

  • ▼本紙2854号で報じたとおり、これまで運送事業者の安全性向上に効果を挙げてきた国土交通省の運輸安全マネジメントの枠組みに、防災に向けた取り組みが加えられ、セミナーや日本物流団体連合会のオンライン講演会などを通じた普及・啓発が進められている。
    ▼昨年7月に策定された運輸防災マネジメント指針を踏まえたもので、今年の8月には災害対応の視点を評価に反映する措置に「防災マネジメントセミナー」を位置付けることなどを盛り込んだ通達が国交省本省から地方運輸局に発出されている。
    ▼安全の確保でトラック経営の足元をしっかりと固めながら、激甚化するさまざまな災害への対応を加速させたい。

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