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2022年1月24日付 2871号

貨物専用機を導入し2024年から運行開始 ヤマトHD・JAL

機体のイメージ

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)と日本航空(JAL、赤坂祐二社長)は21日、羽田・成田から新千歳・北九州・那覇への貨物専用機の運航を、2024年4月から開始すると発表した。

 新たな需要や労働力不足対応、災害など緊急時の輸送チャネル確保等による持続的な物流ネットワークの構築が目的で、ヤマトグループが機体をリース導入し、JALグループのジェットスター・ジャパンが運航する。ヤマトグループは、貨物専用機を導入することで、輸送手段拡大や輸送スピード向上を図り、環境負荷低減に向けた輸送ネットワーク全体の効率化も実現できるとしている。

 導入機材は、エアバス「A321ceo P2F」型機で、機数は3機。最大搭載重量は1機当たり28トンで、中古旅客機を改修する。搭載コンテナはメインデッキにAAYコンテナ14台、ロワーデッキにAKHコンテナ10台。昼間帯は成田発、夜間帯は羽田発を計画している。

 同日会見したヤマト運輸の梅津克彦執行役員は「輸送ポートフォリオの強靭化を目指していく。当社が機体を導入し、JALグループに運航を委託することで、空と陸の“掛け算”を目指していく」として、貨物専用機導入の目的と今後の抱負を述べた。

 また、当面の荷物として「宅急便を想定している。ドライバー不足などの環境下でも、サービスレベルをしっかりと守っていく」と話し、将来的には新たな商品開発の可能性も示唆した。

パレットの推奨サイズを6月めどに公表へ 国交省物流標準化懇談会

 国土交通省は18日、ウェブ会議形式で官民物流標準化懇談会第2回パレット標準化推進分科会を開き、現在手荷役によるばら積み・ばら卸を行っている物流事業者などへのパレット導入促進に向け、パレットの推奨サイズなどを示した中間とりまとめを6月にも公表する方針を固めた。

 分科会では、「規格」と「運用」の二つの観点からパレット標準化推進に向けた方策の検討を進めることとしており、議論のたたき台とするため実態把握をはじめとする各種調査を、2月以降に実施する。

 「規格」については、2024年の自動車運転者への時間外労働上限規制適用猶予解除を見据え、手荷役の解消が喫緊の課題となっていることから、パレット導入を図ろうとする事業者に向けて、推奨されるパレットの規格を6月をめどに提示する。

 推奨サイズの中身や数については、3月の次回分科会で議論を深める予定だが、JIS規格である「T11」など限られた規格に絞り込むことで、パレット導入段階から標準化を促すものとみられる。

 「運用」については、積付高さをはじめとするパレットの利用方法や保有形態、管理方法など物流上の運用のほか、パレット利用を前提とした受発注など商流上の運用についても議論するとともに、発着荷主・物流事業者それぞれに求められる役割についても明確化して発信する。

 実態把握調査は、日本ロジスティクスシステム協会が1992~2000年度に実施した「一貫パレチゼーション普及調査」で対象とした25業種をベースに、業種分野をあらためて検討した上で対象を決定。業種別のパレット化率やサイズ・仕様、保有枚数、既存規格の普及が進まない理由や問題点などについて明らかにする。

 2月以降にアンケート調査とヒアリングを行い、6月ごろまでに取りまとめる。

 調査はこのほか、ウェブ・文献による事例調査や国内外のヒアリング、シミュレーション・効果算出などを予定している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆22春闘展望
    ◎難波淳介運輸労連委員長「物流コストを自分事に」
    ◎園田龍一交通労連委員長「状況を把握し要求を」
    ☆ウォッチ(128) 『2022年グローバル物流―国際海運を展望』
    ☆2024年問題への対応(5)『シーネット』

  • ☆日本通運北陸支店が金沢市内に高柳物流センター新設
    ☆国交省が20年度末のトラック事業者数発表、コロナ禍も2年連続の増加に
    ☆センコーGHDが専用ロゴデザインの電気自動車をグループ4社で導入
    ☆JR貨物と日本山村硝子の合弁会社、福井県に植物工場新設へ
    ☆JR貨物が労使共催で新春フォーラム
    ☆交通労連トラック部会が2022春闘方針固める、賃上げ1万1千円中心
    ☆JPR、納品伝票電子化に向けた標準手順など公表
    ☆JIFFAが国際複合輸送士認定講座の成績優秀者5人を表彰、全体で97人を認定
    ☆国交省が3~4月を避けた分散引越呼びかけ、トラブル窓口設置も

今週のユソー編集室

  • ▼先週から今週にかけて、運輸・交通の両労連が相次いで春闘方針を決定し、トラック運輸産業も春闘に突入しようとしている。本号では、両労連の委員長による今春闘の展望を掲載した。
    ▼格差是正を掲げる岸田総理は、17日に開会した通常国会の施政方針演説で、賃上げに対する期待や最低賃金の見直しに取り組む姿勢を示した。総理が言及する格差に、産業間格差まで含まれていることを期待したい。
    ▼持続可能な社会を目指すSDGsの時代にあって、適正な商取引環境の確立は、一丁目一番地の取り組みであるはずだ。産業間格差の放置は、そのまま持続不可能な社会を招きかねないことを、広く知ってもらう必要がある。

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