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2022年10月3日付 2905号

改善基準告示見直しで荷主対策などを明記した分科会への報告書まとまる 12月に告示改正へ 労政審自動車運転者労働時間等専門委員会

第9回専門委員会の模様

 労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会は9月27日、東京都千代田区の厚生労働省で第9回会合を開き、自動車運転者の改善基準告示改正に当たっては荷主への周知や改正後の実態調査を行うことなどを求める内容を盛り込んだ報告書を取りまとめた。

 会合ではまず、9月8日に行われたトラック作業部会の取りまとめの内容(2902号1面参照)を報告。続いて、バス、ハイヤー・タクシーを含めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について」と題する取りまとめ案について審議した。

 取りまとめ案では、脳・心臓疾患による労働災害の支給決定件数は運輸業・郵便業が最も多く、自動車運転者の過重労働を防ぐことは労働者のみならず、国民の安全確保の観点からも重要であるが、改善基準告示は1997年以降実質的な改正が行われていないと説明。

 その上で、各作業部会で取りまとめられた改善基準告示見直しに向けた報告書の内容を示すとともに、「その他」として、荷主等の関係者に対する周知や運用状況の把握等についても取り組むべき内容を示している。

記事全文は電子版から。

オランダ国際フォワーディング会社の全株式取得し子会社化へ 医薬品事業を拡大 日立物流

 日立物流は9月29日に開いた取締役会で、オランダの国際フォワーディング会社Cyber Freight Internationalの全株式を取得する株式譲渡契約を締結することを決議した。

 CyberFreight社はオランダのスキポール空港近郊に本社、倉庫、航空フォワーディング事務所、ロッテルダム港近郊に海上フォワーディング事務所を持ち、医薬・食品関連を中心に製造業・流通業の幅広い顧客に対して①航空フォワーディング②海上フォワーディング③倉庫・配送④プロジェクトカーゴ⑤三国間輸送⑥通関業務、⑦EU域内輸送⑧中国発着鉄道輸送―のサービスメニューによるワンストップ・サービスを提供している。

 GDP(医薬品流通過程の品質を保証する物流基準)、CEIV Pharma(世界各国・各地域で異なるGDPを包括的に網羅する医薬品温度管理航空輸送の品質保証として策定されたグローバルでの統一基準)などの認証・ライセンスを取得し、3温度帯(15~25度、2~8度、マイナス80度)での温度管理が可能な設備や、医薬品の開封検査を実施できるクリーンルーム等を設置して、医薬品業界向けに事業領域を拡大してきた。

 厳格なトレーニングを受けたスタッフによる医薬品の取り扱いにより、高度な品質レベルを維持しており、現在、世界各国の医薬品顧客から多くの業務と高い信頼および評価を得ている。

 日立物流グループは、メディカル事業を注力分野に位置づけ、東日本第二メディカル物流センターをはじめとするGDPに準拠した国内拠点を整備し、関西・成田空港でCEIV Pharma認証を取得するなど、医薬品温度管理輸送における高品質なサプライチェーン構築に向けた取り組みを推進。また、中期経営計画(LOGISTEED2024)では、「海外事業強化・拡大」を重点施策の一つとして掲げ、欧州成長エリア・市場での事業拡大を進めている。

 今回の株式取得により、CyberFreight社の持つ医薬品のオペレーションノウハウやフォワーディングネットワークを活用し、日系・外資系の医薬品顧客へ共同で営業展開を図ることで、グローバルにおける医薬品事業の拡大が期待できるとしている。

 株式譲渡実行日は12月中旬を予定。

 なお、株式取得が日立物流の連結業績に与える影響は軽微としている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(46)『政府・日銀が円買いの為替介入を実施(その1)

  • ☆ヤマト運輸、東京九州フェリー利用の関東~九州間モーダルシフトの輸送規模が開始当初の6倍に
    ☆通運連盟の鉄道コンテナお試しキャンペーンが旺盛、区間拡大の申請個数は前年比約2倍で総個数も39%増
    ☆トナミ運輸労組が第77回定期大会、金作委員長が好循環サイクルの維持で労働条件の維持向上が必要と訴える
    ☆国交省が運行管理高度化検討会、遠隔点呼の実施事業者数100に拡大
    ☆経産省、日本提案のトラック隊列システムが国際標準として発行
    ☆TAKAIDOクールフローが100周年記念式典、創業の精神心に刻む
    ☆日立物流、包装技術協主催のパッケージングコンテストで二つの案件が受賞
    ☆佐川急便が熱海市・能代市と相次いで包括連携協定を締結
    ☆全新潟運輸労組が定期大会、運動方針でジェンダー推進など掲げる
    ☆JILS、23年度のロジスティクス大賞応募受け付け開始
    ☆JILS食品ロジスティクス研究会が本年度実施したSCM概要アンケート結果公表、食品物流の課題は複雑化し危機的状況は継続
    ☆堀内国交省自動車局長が定例会見、トラックの標準的な運賃は効果出るも道半ばで延長議論は時期尚早との認識示す
    ☆新田関運局長が定例会見、荷主に標準的な運賃への理解求め届け出促進に努める姿勢を強調
    ☆日本通運相撲部、全日本実業団大会団体戦で4年ぶり8度目の優勝
    ☆ヤマト運輸、カーボンニュートラルテーマに新テレビCMの放映開始
    ☆日本通運が「プロテクトBOX」にパレット分離型の新バージョン「ライト」追加
    ☆NX中国がグローバル医薬品サミットに参加、楊副社長が講演で自社サービスなど紹介
    ☆佐川グローバルロジスティクス、加須市に新営業所開設
    ☆帝国データが価格転嫁動向アンケート結果公表、運輸・倉庫は転嫁率低水準に

今週のユソー編集室

  • ▼上欄に記載のとおり、9月27日に開催された労働政策審議会の専門委員会で、改善基準告示改正の内容が固まった。
    ▼トラックのドライバー不足がいよいよ正念場を迎えようとしている今、全ての関係者に改正告示の内容をいかに守らせるかが重要になってくる。議論の過程では、再三にわたり商慣行是正の必要性が強調されてもいる。
    ▼今後も社会がトラックドライバーに過酷な労働環境を強いる現状を追認するようでは、日本の物流はいずれ止まるか破綻する。
    ▼ヤマト運輸労組の森下明利委員長が話しているとおり、問われているのは「日本の社会にこの改革をやり抜く覚悟があるのか」という点なのだと思う。

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