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2023年8月23日付 2945号

輸送原価上昇分の一部転嫁などで景況感が小幅改善 今後も改善の見込み 全ト協

 全日本トラック協会は10日、2023年4~6月期の景況感(第122回速報)を公表した。


 運賃・料金の水準が改善し、輸送原価の上昇分の一部が価格転嫁できるようになったことを反映し、業界の景況感はマイナス32・1となり、1~3月期の前回調査より2・7ポイント改善した。今後の見通しも3・3ポイント改善した改善の見込み。


 実働率はマイナス23・2と前回調査に比べ5・5ポイント悪化。実車率はマイナス23・2で6・3ポイント悪化し、輸送効率は悪化した。


 採用状況は、マイナス19・9で5・7ポイント低下、雇用状況(労働力の不足感)は74・5で7・0ポイント低下し、不足感は緩和した。


 所定外労働時間は、マイナス36・2で8・5ポイント減少、貨物の再委託(下請け運送会社への委託割合)は、マイナス17・3で5・4ポイント減少した。


 経常損益は、マイナス33・2で1・0ポイント改善。


 一般貨物の運賃・料金の水準は22・2で4・3ポイント改善したものの、輸送数量はマイナス37・0で12・2ポイント悪化したことから、売上高はマイナス28・4で7・3ポイント悪化した。


 営業利益もマイナス41・6で11・5ポイント悪化している。


 宅配貨物の運賃・料金の水準は15・6で21・5ポイント改善したものの、輸送数量はマイナス20・3で14・4ポイント悪化したことから、売上高はマイナス46・9で29・3ポイント悪化し、営業利益もマイナス40・6で17・1ポイント悪化した。


 宅配以外の特積み貨物は、輸送数量がマイナス65・2で1・5ポイント改善、運賃・料金の水準も15・9で19・6ポイント改善したことから、売上高はマイナス52・2と14・5ポイント改善、営業利益はマイナス60・9と24・3ポイント改善している。


 今後の見通しについては、輸送数量、営業収入、営業損益が改善する見込みを反映して業界の景況感はマイナス28・8と3・3ポイントの改善を見込んでいる。

新京都支店が営業開始 ロジ・トランス機能の強化へ 西濃運輸

 西濃運輸はきょう21日、京都市に新たな京都支店をオープンさせる。


 新京都支店は、東京建物が西濃運輸専用物流施設として開発した「T―LOGI京都伏見」内にあり、第二京阪道路伏見インターチェンジまで約1・5キロメートル、国道1号利用で京都駅まで約8・5キロメートルの京都府京都市伏見区横大路菅本2の3に所在し、敷地面積は1万1429平方メートル。


 建物は、地上4階建てRCS造で延べ床面積は2万5671平方メートル。延べ床面積約1万7500平方メートルの倉庫には空調が完備され、従業員にやさしい環境を整備している。


 また、トラックターミナルはプラットフォームの面積がこれまでの西濃運輸京都支店の約4倍となることで、さらなる顧客満足度の向上と収益拡大につなげる。


 西濃運輸では、ロジスティクス機能と輸送をワンストップで提供する「ロジ・トランス機能」の強化を進めており、新京都支店ではトラックターミナルから入出荷を行うことで、倉庫への輸送、倉庫からの集荷という輸送工程がなくなり、輸送コスト削減や、輸送距離短縮によるCO2削減による環境配慮にも貢献する。


 さらに、更衣室、パウダールーム、娯楽室、仮眠室、バス・シャワールーム、洗濯コーナーなどの設備も設け、ターミナル拠点として就業者に快適な就業空間を提供できる設計とする予定。


 周辺には、工場や倉庫などが集積しており、24時間稼働を前提としたオペレーションが可能。


 伏見区は京都市内で最も人口の多い行政区で、大規模な住宅地が広がる向日市・長岡京市などにも近接していることから、雇用確保の面でも優れた立地となっている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆NXHD、2025年1月目途に日本通運の特積み事業とNXトランスポートを名鉄運輸に統合
    ☆SBSHDの鎌田社長が2023年12月期第2四半期決算概要を説明、不動産流動化で売上高、利益ともに過去最高を更新
    ☆ロジスティード、オランダ物流会社の全株式を取得し低温混載輸送サービスに参入
    ☆消費者庁の「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会、荷主3団体からの意見聴取で根拠求める声相次ぐ
    ☆国土交通省官民物流標準化懇の「モーダルシフト推進・標準化分科会」、トラックの輸送分担率削減目標の設定巡り議論
    ☆運輸労連が記者懇談会、成田委員長「何よりも人を大切に、泥臭く変革へ挑戦」との方針示す
    ☆全ト協の2022年度賃金実態調査、一般トラック男性運転者の平均賃金額は前年比1・5%増加
    ☆国交省が総合物流施策大綱の第2回フォローアップ会議、物効法の計画認定件数は「ほぼ目標どおり達成できる」との見通し示す
    ☆国交省の石原交流審が就任会見、物流の自動車局への移管は「円滑に進んでいる」との見方示す
    ☆国交省、自動点呼機器などの導入補助に対する事故防止対策支援推進事業の申請受け付け開始
    ☆NHHDの2023年12月期第2四半期決算、物流の回復遅れで日本・海外ともに減収減益に
    ☆NXアイルランド、ダブリン市にコントラクトロジセンターを開設
    ☆NXCLとNXWA、輸配送一元化と金融機関向け新サービス開発で協業
    ☆YLCインド、インド国内3ヵ所にグループ初のロジスティクスセンターを開設
    ☆セイノーHDの田口社長が決算説明会、購買減少による物量低下から2024年3月期通期業績を下方修正
    ☆セイノーHD、ラストワンマイルの課題解決に向けクラウドサービス手掛ける「ウフル」と業務提携
    ☆山九が三重県菰野町に危険物倉庫4棟を建設、2024年8月開設を予定
    ☆住友ゴムが決算説明会、山本社長「構造改革を進め、中計の目標数値を前倒しで達成」との方針示す
    ☆JR東日本とJR東日本物流、新幹線荷物輸送「はこビュン」による車両基地間輸送のトライアル実施へ
    ☆NASVAが国交省認定第1号のリスク感受性向上セミナー開く、中間管理層の力量向上へ
    ☆物流業界の2023年12月期第2四半期と24年3月期第1四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼「物流革新に向けた政策パッケージ」の具体化に向けた動きが加速している。
    ▼6月の初会合後、8月9~10日に矢継ぎ早に3回開催され、今週も2回開かれる予定の「送料無料」見直しに関する意見交換会や、7月に設置され9月の取りまとめが予定されている官民物流標準化懇談会モーダルシフト推進・標準化分科会での議論は、「スピード感」の裏側に「拙速」の気配と不安が見え隠れする。
    ▼岸田首相から「1年以内に具体的成果が得られる」よう指示を受けて取りまとめられたパッケージだけに、具体化に向けた検討を急ぐ背景は理解するが、発言力の大きな関係者の意見ばかりが目立つ議論になってはならない。

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