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2023年9月11日付 2948号

山陽線不通時のバックアップでトラック代替輸送 JR貨物と新たな輸送スキーム 日本通運

NX大竹での作業の様子

 日本通運は5日、JR貨物と協力し、豪雨災害が頻発している山陽線区間のバックアップ輸送体制として、広島県大竹市に中継拠点「NX大竹」(日本通運広島支店大竹営業課)を設定し、岡山貨物ターミナル駅から北九州エリアの各駅をトラックで代替輸送する、新たな輸送スキームを構築したと発表した。
 中国地方では2018年の西日本豪雨や21年の秋雨前線停滞による大雨災害、本年7月に発生した豪雨災害など、人々の生命・暮らしに甚大な被害をもたらす大規模な災害が頻発し、鉄道輸送においても、本州と九州を結ぶ山陽線が長期間にわたり遮断されたことから、その対策が急がれている。
 新たなスキームの特徴は次のとおり。
 ◎広島県大竹市に中継拠点を設置することで、岡山県と北九州エリア間の山陽線・鹿児島線をカバーし、災害による鉄道不通が発生しても、速やかなバックアップ輸送が可能◎岡山貨物ターミナル駅と北九州エリアの3駅(福岡・鳥栖・北九州の各貨物ターミナル駅)から出発したコンテナ専用トラックがNX大竹でそれぞれのコンテナを載せ替え、輸送◎トラックの日帰り輸送が可能となり「物流の2024年問題」に対応◎ドライバーの宿泊手配やトラックの駐車スペースの確保などが不要なため、バックアップ輸送の初動を迅速化。
 同社では、本年7月の豪雨災害時における山陽線の不通(7月8日から20日までの期間、厚狭駅から小野田駅間)において、初めてバックアップ輸送スキームを用いて、7月12日から21日までの間に、鉄道コンテナ74個を輸送している。
 今後、岡山県から北九州エリアの区間に続いて、関東から関西の区間においても、中継拠点を設定したバックアップ輸送スキームの構築を計画している。
 両社は、地球環境の保護と持続可能な物流の推進を共通理念として、鉄道輸送におけるバックアップ体制を強化し、顧客のサプライチェーンの維持と安定に貢献していくとしている。

ネスレ日本とパートナーシップ契約 中距離帯を拡大へ JR貨物ほか2社

(左から)永田社長、深谷社長、 犬飼社長、柏井社長

 JR貨物、全国通運、日本運輸倉庫、ネスレ日本の4社は1日、神戸市のネスレ日本本社で持続可能な物流構築へのパートナーシップ調印式を開催し、これまで500キロメートル以上の長距離輸送中心だった貨物鉄道による輸送について、2024年2月から、より貨物量の多い中距離輸送(200~350キロメートル)にも段階的に拡大していくことで合意した。
 具体的には、24年2月に静岡県島田市のネスレ日本島田工場から大阪市東住吉区のJR貨物百済貨物ターミナル駅を経由し、関西方面への輸送を開始する予定。その後、茨城県稲敷市のネスレ日本 霞ヶ浦工場から東京都荒川区のJR貨物隅田川駅を経由した、東北方面への輸送にも拡大させていく計画としている。
 調印式には、JR貨物の犬飼新社長、全国通運の永田浩一社長、日本運輸倉庫の柏井省吾社長、ネスレ日本の深谷龍彦社長らが出席した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集「国際物流総合展2023」出展社紹介 
     ・データテック
     ・オカムラ
     ・ユーピーアール
     ・ウイングアーク1st
     ・寺岡精工
    ☆ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(BTSJ)、北九州市で「技能グランプリ全国大会」と第1回「ソリューションエンジニアコンテスト」を開催

  • ☆日本通運がNEC、ENEOSと共同でEVトラック普及拡大に向け経路重点の実証実験始める
    ☆センコー、積水ハウス向け住宅部材配送に三菱ふそうトラック・バスと共同製作のEVトラックを導入
    ☆センコーが千葉県野田市に「野田第3PDセンター」を開設、既存施設と合わせグループ最大級の規模に
    ☆BTSJ、北九州市で「技能グランプリ全国大会」と「ソリューションエンジニアコンテスト」を開催
    ☆鴻池運輸、2024年2月に千葉県習志野市に業務用空調機改装のサービス拠点「テクノロジス幕張」を開設へ
    ☆JILS調べ、2022年度物流システム機器の総売上高が初めて6千億円を突破
    ☆NXHD、グループの企業メッセージを体現した新たな「ブランドムービー」を公開
    ☆NX国際物流(中国)、海外赴任の引越サービスで「NX東アジアワンストップ」を開始
    ☆佐川急便、ユーグレナと共同で取り組む「サステナブル配送プロジェクト」が初期目標の300口を達成
    ☆トナミ運輸、伊藤忠エネクスなど6社と共同で東京都の「バイオ燃料活用における事業化促進事業」に応募し採択される
    ☆セイノーHDなど4者、和歌山県日高川町でドローンを活用したスマート物流通じ暮らしのDX実現を目指す取り組み開始
    ☆日新、横浜市神奈川区に危険物を扱う「神奈川埠頭倉庫営業所」を竣工し営業始める
    ☆センコー、30年ぶりに制服をリニューアルし10月から一斉着用へ
    ☆国交省の10月1日付組織改正、物流・自動車局の下に「物流政策課」「貨物流通事業課」を設置
    ☆埼玉ト協、さいたま市で交通安全大会を開催し「目指せ!事故撲滅」を宣言
    ☆埼玉ト協が埼玉県と災害時における広域支援拠点の確保で協定、瀬山会長と大野知事が協定書に署名

今週のユソー編集室

  • ▼先日開かれた千葉県トラック協会の理事会前に、トラックGメンの活動について、千葉運輸支局の担当者が説明した。
    ▼担当者は、現在、プッシュ型の情報収集活動を行っていること、荷主との関係性から情報提供に抵抗感を示す事業者がいることを説明した上で、「事業者に不安を与える活動ではない」と述べ、再三にわたり積極的な情報提供を要請した。
    ▼国の政策パッケージが象徴するように、ここ数年で物流を取り巻く社会環境は劇的に変わっている。一方で、荷主との関係性を保ちつつ商慣行是正も進めたい、事業者側の意向も痛いほど理解できる。担当者も語るように「粘り強く」取り組み続けることが必要だ。

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