物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2024年1月15日付 2963号

能登半島地震の被災地へ 支援物資輸送で協力体制を構築 物流各社・団体

国道249号線の被害(国交省資料から)

 1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、プッシュ型の緊急支援物資輸送が実施されており、全国から石川県の物資拠点となっている金沢市の産業展示館までの1次輸送では、国から全日本トラック協会に協力要請が行われ、同協会によるトラック手配の下、食料や飲料水、毛布などが被災地に届けられている。

 その後の支援物資輸送については、石川県産業展示館(金沢市)から市町の物資拠点までの2次輸送で、自衛隊や自治体からの要請に応じた石川県トラック協会による輸送を実施。県の物資拠点の荷捌や荷物管理効率化のため、ヤマト運輸が9日から協力を開始した。市町の物資拠点から各避難所までの3次輸送では主に市町の職員や自衛隊が車や徒歩で輸送を行っているが、西濃運輸、日本通運、ヤマト運輸、佐川急便などの各社が物資拠点における荷捌・荷物管理効率化やラストマイルの着実な配送に向け協力している。

 さらに、JR貨物と全国通運連盟は、企業などが被災地に向けて寄贈する救援物資について、無償で輸送を引き受ける取り扱いを行い、12日朝にJR貨物の高岡貨物駅(富山県高岡市)へ第1号貨物が到着した。

 物流施設の被害発生状況については、12日午前5時現在、次のとおりとなっている。

【石川県内の倉庫業者】◎壁の一部剥落、シャッター変形3事業者5棟(1棟は3月に復旧見込み、残りは復旧未定)◎事務所天井版落下1事業者2棟(復旧未定)◎貨物落下・散乱5事業者7棟(5棟復旧済み、1棟は3月復旧見込み、他は復旧未定)。

【新潟県内の倉庫事業者】◎建物の被害5事業者6棟(復旧未定)◎貨物荷崩れ・破損7事業者11棟(同)。

温室効果ガス排出量オフセットの輸送サービス開始 追加費用なく全ての海上LCL対象に NXHD

 NIPPON EXPRESSホールディングスは9日、全ての海上LCL(コンテナ混載貨物)を対象とした温室効果ガス排出量をオフセットする輸送サービスの提供を開始すると発表した。

 NXグループがB/L(船荷証券)発行する世界各地発着の全ての海上LCL貨物輸送が対象となる。現時点では排出が避けられない海上LCL貨物輸送の温室効果ガス排出量と同量のカーボンクレジットを調達し、排出された温室効果ガス全量を顧客の追加費用なくオフセットする海上LCL貨物輸送を実現する。

 カーボンクレジットは第三者認証機関Verified Carbon Standard(VCS)等の認定を受けたプロジェクトの中から選定し、地球温暖化の緩和だけでなく、地域社会のより良い暮らしに貢献するプロジェクトを調達するとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各界年頭あいさつ
    ☆斉藤鉄夫国土交通大臣新春インタビュー

  • ☆ヤマト運輸、4月から宅急便の届け出運賃など約2%値上げへ
    ☆運輸労連の職場安全点検調査、改正改善基準告示が運行に与える影響を懸念する割合増加
    ☆農水省が坂本大臣を本部長とする物流対策本部を設置、タスクフォースや相談窓口も開設し具体的な物流課題に対処
    ☆WebkiT成約運賃指数、2023年12月は135で30ヵ月連続前年同月上回る
    ☆国交省、安全管理者選任などの義務化で貨物軽自動車運送事業者の安全対策強化へ
    ☆国交省の検討会、過疎地におけるドローン輸送はコストや低い就航率等が課題であること浮き彫りに
    ☆セイノーHD、DNP開発の断熱ボックスを活用した「ドライコールド輸送」の引き合いが好調
    ☆セイノーHD、ラストワンマイル強化でDXベンチャーのウィルポートを持分法適用会社に
    ☆斉藤国交大臣が標準的な運賃の新たな告示案を運輸審議会に諮問、来月13日に公聴会を開催
    ☆JR貨物と同社労組が新春フォーラム、犬飼社長「組合の意見を聞きながら今年もチャレンジを」
    ☆ヤマト運輸、独自のシステム活用し越境EC事業者向けに海上小口輸送サービスを開始
    ☆センコー、兵庫県加東市に「ひょうご東条PDセンター」を開設
    ☆物流業界の新年会

今週のユソー編集室

  • ▼元日の日本列島を大きな災害が襲った。能登半島地震で犠牲になった方々にお悔やみを申し上げるとともに、厳寒の中で避難生活を続けている被災者の方々の1日も早い生活復旧と、余震の続く中でインフラ復旧等に全力を尽くしている方々の安全を、心から祈念する。
    ▼アクセスが限られる半島部の震災であり、当初は救助活動なども困難を極めたようだが、関係者の尽力で道路啓開が進み、現状では支援物資輸送も一定程度確保できていると聞く。大規模災害の際には必ず発生する「物流が被災者の命を支える」状況。引き続きその役割を十分に担っていけるよう、あらためて業界に人を呼ぶ活動の重要性が高まっている。

戻る