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2024年3月25日付 2973号

荷主との交渉通じ前へ 業界の現状を周知し会員の交渉を支援 インタビュー 
東京都トラック協会・浅井隆会長

 ――会員各社の2024年問題への対応状況は。

 2月に開かれた3組織(青年部会・女性部会・ロジスティクス研究会)合同の新年会で、対応状況に関する簡易的なアンケートを行ったところ、「対応が取れている」との回答が半数を超えており、「勇ましい」と心強く感じました。

 ――半数以上で対応が進んでいる背景は。

 回答事業者の多くが長距離運送を手掛けていないことも要因としてあったと思います。一方で、新たな改善基準告示の影響を受けやすい長距離輸送を行っている事業者は、24年問題を前にして荷主との交渉に出向き、トラックドライバーの労働時間短縮に向けたお願いを進めているものとみています。

 究極的には、ドライバーの待遇改善に直結する運賃アップが重要なので、国土交通大臣が告示している標準的な運賃などを積極的に活用してほしいと思います。

 ――東京運輸支局管内での標準的な運賃の届け出率が低い理由は。

 東京都内のトラック事業者は、トラック協会に入っていない「非会員」の割合が高く、それらの事業者の多くが届け出を行っていないことが背景にあります。

 東ト協の会員だけで見ると届け出の割合は半数を超えており、一定程度標準的な運賃の活用が進んでいると考えています。

 ――協会による会員への支援策は。

 まずは、荷主や一般消費者などにトラック運送業界の現状や、新たな改善基準告示による影響、必要な協力などについて理解してもらうため、広く周知に努めています。

 ――具体的には。

 厚生労働省の働き方改革推進支援金を活用して、日本経済新聞に広告を3回、週刊東洋経済に記事広告を1回掲出し、荷主サイドに向けた強いアピールを行ったほか、今月には一般紙の東京都内版にも広告を2回、経済誌に記事広告を1回出すなどして、会員が荷主と交渉しやすいよう環境整備を進めています。

記事全文は電子版から。

航空輸送スキーム構築などエープレミアムの進化に向け新たに連携協定締結 ヤマト運輸・青森県

(左から)長尾社長と宮下知事

 ヤマト運輸と青森県は21日、新たに「新青森県総合流通プラットフォーム構築に係る連携協定」を締結した。両者は2014年7月に連携協定を締結し、高品質な青森県産農水産品などの国内外への物流や商流の拡大に向けて、青森県総合流通プラットフォーム「A!Premium(エープレミアム)」のサービスを開始していたが、2024年問題など物流の環境変化に対応して、サービスのさらなる進化・発展を目指していく。

 新たに取り組む内容は①小型航空機を活用した輸送②輸送品目や配達先に応じた最適な輸送手段の選択③青森空港から海外へのダイレクト輸送―の3点。

 ①では専用の保冷資材を開発し、青森空港↓伊丹空港間を航空輸送することで、関西の配達先に翌日午前中に配達可能なスキームを構築。今後トライアルを重ね、25年4月の実用化を目指す。
 ②では、航空輸送を軸としながらトラックや船舶などあらゆる輸送手段を組み合わせた最適な輸送を提供。
 ③では青森空港での通関体制の確立や羽田空港・成田空港を経由した迅速・安定的な海外輸送スキームを構築し、海外での物流・商流拡大に寄与していく。

 同日、青森県庁で行われた締結式にはヤマト運輸の長尾裕社長と青森県の宮下宗一郎知事らが出席した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆インタビュー―東京都トラック協会・浅井隆会長

  • ☆日本通運、名門大洋フェリーと連携し海上輸送と鉄道輸送のモーダルコンビネーションサービスに北九州ルートを追加
    ☆トナミHD、金沢の食品関連物流会社アペックスとスポンサー契約を締結し民事再生支援へ
    ☆国交省、新たな標準的な運賃を22日付で告示・施行
    ☆ロジスティード、4月1日付でCIBOの設置など機構改革実施
    ☆公取委、協議を経ない価格据え置き等が確認されたとして物流業界4社の社名を公表
    ☆澁澤倉庫、千葉市花見川区に飲料物流特化型の新拠点開設
    ☆JR貨物ほか、半導体材料ガスの輸送で三重~岩手間の貨物鉄道を利用したモーダルコンビネーションを開始
    ☆全日通労組の春闘妥結判断、賃金引き上げ8540円を確保
    ☆ヤマト運輸労組の春闘妥結判断、夏季一時金は業界トップ水準を維持
    ☆佐川急便、地域社会への貢献目指しALSOKと包括連携協定を締結
    ☆セイノーHD、地域活性化など目指し岐阜県と包括連携協定を締結
    ☆NX商事、自社バンカーでバイオディーゼル燃料を使用した試験運航を開始
    ☆建交労首都圏、都内でトラックパレードを実施し魅力ある産業実現に向けた労働環境改善などをアピール
    ☆AZ-COM丸和HD、C&FロジスティクスHDの株式公開買い付けを実施し完全子会社化目指すと発表
    ☆2024年春闘妥結状況(3月21日現在)

今週のユソー編集室

  • ▼2024年春闘が最初のヤマ場を迎え、各産業とも大手を中心に妥結が出始めている。
    ▼例年どおり総理大臣が賃上げを求める『官製春闘』の流れもあって、他産業では要求満額やそれに近い妥結が相次いでおり、要求を上回る増額妥結なども見られている。
    ▼一方でトラック運輸産業では、前年を上回る妥結額の企業が多いものの、いずれも満額には届いておらず、厳しく推移する業績をにらみながら、人材確保のためギリギリの交渉を重ねたことがうかがえる。
    ▼ここまでの流れを見る限り、他産業との賃金格差が解消に向かっているとは言い難い。適正運賃収受に向けた価格交渉の重要性が、より一層際立っている。

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