物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2024年4月1日付 2974号

2024年を課題解決「元年」に 業界内だけではない社会問題と認識を インタビュー 
神奈川県トラック協会・吉田 修一会長

 ――政府の2024年問題に対応する各種施策をどう評価しますか。

 一言でいえばありがたい話です。今までわれわれトラック運送業界に国がこうした形で目を向けてくれたことはあまりなかったのではないか。悪しき商慣習の見直しなど業界の待遇改善を後押しする内容になっています。

 特に今回は国土交通省だけではなく、厚生労働省や経済産業省、農林水産業、さらには公正取引委員会など関係省庁が横断的に取り組んでいるところを高く評価しています。

 この24年問題はトラック運送業界だけの問題ではなく、物が届かなくなるということは本来、社会問題なわけです。ところが現在も世間では業界内の問題としてしか扱われていない。大変だ大変だと騒いでいるが、実際にはスーパーに物が並んでいるし、新鮮な魚も野菜も届いていて、コンビニに物が無くなっているということもない。実態としてまだ社会問題にはなってはいません。国はこの辺りを早めに察知して、社会問題になる前に何とかしようとしているのが今の段階だと思います。

 ――政府は標準的な運賃の引き上げ等で10%前後の賃上げが期待できるとしています。

 ここで問題なのが標準的な運賃の実効性です。標準的な運賃の引き上げに加え、荷役作業や下請け手数料などの加算により、計算上は10%程度上昇するでしょう。神奈川ト協の会員の標準的な運賃の届け出率は約90%に達していますが、標準的な運賃を収受できているわけではありません。標準的な運賃がもらえていない状況の中でプラス10%と言われても、実態的に実質運賃がそこまで上がるのか、というのが非常に大きな問題だと思っています。

記事全文は電子版から。

幹線輸送の共同運行 トライアルを実施 日本郵便・セイノーグループ

 日本郵便は3月28日、同社グループとセイノーグループとの幹線輸送の共同運行トライアルを実施したと発表した。

 2024年問題や少子高齢化による一層の人手不足など、物流課題の解決に向けて企業の垣根を超えた取り組みが重要との共通認識の下に行ったもので、トライアル共同運行の結果、既存の届け日数を変更することなく、トラック台数を削減するなどの効果が期待できることを確認できたとしている。

 日本郵便グループは日本郵便輸送、JPロジスティクス、セイノーグループはセイノーホールディングス、西濃運輸およびセイノーの輸送ネットワークを担うグループ会社が参画。

 両グループは、長距離幹線輸送の輸送効率を高めることを主眼に◎隣接拠点を活用した荷物の積合せ◎自社内で積載調整を行っていた荷物の融通◎積載率の下がる土日の荷物の集約など―を実施。

 2月から3月にかけて次の区間で行った。◎東京~大阪・滋賀(西濃運輸、JPロジスティクス)◎東京~名古屋(西濃運輸、JPロジスティクス)◎神奈川~栃木(西濃運輸、日本郵便輸送)◎埼玉~福島・宮城(西濃運輸、日本郵便輸送)◎大阪~徳島(四国西濃運輸、日本郵便輸送)。

記事全文は電子版から。

今週掲載トピック一覧

  • ☆インタビュー―神奈川県トラック協会・吉田修一会長
    ☆主要物流企業の2024年度新卒新入社員数調査

  • ☆日本通運、列車編成の一部を貸し切る「NXトレイン」サービスで東京~大阪間の運行開始
    ☆センコーGHD、関西地区での子育て支援事業拡大に向けSERIOホールディングスを完全子会社化
    ☆センコーGHD、茨城PDセンターで積水化学工業のフィルム型太陽電池の設置方法確立に向けての共同実証実験始める
    ☆国交省の自動車運送事業安全対策検討会、業務前自動点呼を巡り2024年度中に先行実施を行うことなど確認
    ☆国交省物流・自動車局の鶴田局長、外国人ドライバーの特定技能への追加巡り「試験実施に向けた準備進める」と表明
    ☆物流連、2024年度事業計画にモーダルシフト大賞の表彰規程見直しなど盛り込む
    ☆日本通運・JR貨物・キリンGロジの3社、トラック輸送分8万4千トンを鉄道メインにモーダルシフト
    ☆NX台湾、桃園市にあるNEXT3倉庫が「化粧品GMP認証」を取得
    ☆センコーGHD、傘下のアクロストランスポートがグループ初の燃料電池トラック導入
    ☆国交省物流・自動車局安全政策課の永井課長、安全管理者選任の義務化などを通じ「軽トラックの事故を削減させていく」と強調
    ☆関東運輸局の勝山局長、同局管内のトラックGメンの活動実績について73件の「働きかけ」を実施したことを報告
    ☆三井倉庫HD、グループ報「三井倉宛」が経団連の社内報審査で総合賞を受賞
    ☆全国通運の永田社長、2024年度営業方針について「大型コンテナの輸送拡大等で23年度比10%増の実績目指す」と表明
    ☆埼玉ト協、2024年度の助成事業申請に当たっては標準的な運賃の届け出条件に
    ☆千葉ト協、2024年度事業計画で「テールゲートリフターの特別教育講師養成講座費助成」を新設
    ☆三菱倉庫、サステナビリティ経営と気候変動への取り組みを一層推進するためネーミングとロゴを作成
    ☆NTTロジスコ、物流料金適正化サポート「ロジビュー」の提供開始
    ☆国交省、北海道新幹線の札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方巡り関係団体からヒアリング
    ☆埼玉県改善協議会、紙・パルプ輸送の労働時間等に関する調査結果の報告受ける
    ☆佐川急便、青森県や熊本県水俣市など4自治体と包括連携協定を締結

今週のユソー編集室

  • ▼きょうから新年度。新たな仲間を迎え入れる職場も多いことだろう。物流業界では、2024年問題への本格的な対応が求められる転換点の初日に当たる。
    ▼改善基準告示をはじめとする新たなルールの施行に加え、今国会で審議される貨物自動車運送事業法や物流効率化法の改正法案が成立すれば、荷主や元請け事業者の責務がさらに明確化され、重要なポジションを担うプレイヤーとして、荷主も物流というフィールドに仲間入りすることになる。
    ▼すでに、行政からイエローカードを突き付けられた荷主や元請け事業者もいるが、試合開始のホイッスルを機に、世間に恥じぬプレイヤーとしてフィールドに立ってほしい。

戻る