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2025年1月27日付 3011号

価格交渉促進月間で発注側の評価公表 9月調査のフォローアップ 中小企業庁

 中小企業庁は21日、昨年9月に実施した価格交渉促進月間フォローアップ調査結果の第2弾として、発注側企業ごとの受注側中小企業からの回答状況を整理した「企業リスト」を公表した。

 経済産業省では、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁しやすい環境を作るため、毎年9月と3月を価格交渉促進月間に設定している。

 促進月間中は価格転嫁の広報や講習会、業界団体を通じた要請などを行っているほか、終了後には中小企業に対して、アンケートやヒアリングによるフォローアップ調査を行い、業界ごとの価格転嫁率や順位等の結果を取りまとめるとともに、状況の芳しくない親事業者に対しては、下請中小企業振興法に基づき大臣名での指導・助言を実施。

 発注側企業リストを公表するほか、独占禁止法や下請代金法の違反が疑われる事案については、公正取引委員会と中小企業庁が連携して対処することとしている。

 昨年9月については、中企庁が11月29日に第1弾として業種別の価格転嫁状況を公表。トラック運送業は昨年3月の前回調査と同様、依然として受注側(価格転嫁を要請する側)、発注側(価格転嫁の要請に応じる側)ともに全30業種中で最下位レベルとなった上、受注側・発注側ともにトラック運送業の価格転嫁率は全体平均を大きく下回るなど、価格転嫁が進んでいない状況も明らかになっていた。

 第2弾となる今回は、10社以上の中小企業から主要な取引先とされた発注側企業211社に対して、価格交渉と価格転嫁への協力度について、評価の高い順に「ア」から「エ」の4段階で評価し、リスト化した。

 このうち物流関連企業の評価と、交渉・転嫁のどちらかで「エ」評価となった企業は、表のとおりとなっている。

DBJ健康格付けを取得 東北の物流事業者で初 第一貨物

左から米田総一郎第一貨物社長と
岡井覚一郎DBJ東北支店長

 第一貨物とその持ち株会社DTホールディングスは23日、日本政策投資銀行(DBJ)が行う「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」融資制度で、東北地方に本社を置く物流事業者として初の格付けを取得し、制度に基づきDTHを通じて第一貨物が融資を受けたと発表した。

 同融資は、独自の評価システムにより、従業員への健康配慮の取り組みが優れた企業を評価・選定するという「健康経営格付」の専門手法を導入した、世界初の融資メニュー。

 今回の審査では、第一貨物の次の取り組みが高く評価されたとしている。

 ①健康経営宣言として「安全で適正な輸送をするには、社員が第一」を掲げ、人事部を中心に各事業所に配置する健康経営担当者と連携した社内横断的な健康経営推進体制のもとで、健康的な食事の提供や腰痛予防体操を実施するなど、事業の継続・発展に不可欠なものとして全社的に健康経営に取り組んでいる。

 ②重要な健康課題に位置付ける「特定保健指導の利用率向上」に向けて、従業員アンケートの結果を踏まえオンライン面談等を導入しているほか、長時間労働削減に向けて「1人1日5分の残業時間削減」という具体的な目標を設定。社内業務効率化だけでなく、取引先との出荷最終締め時間の前倒し調整や、提携会社との共同配送の実施など、社内外の関係者を巻き込みながら、実効的な施策を展開している。

 ③「根本的存在理由」「根底に据える哲学」「基本的価値観」の三つの理念を制定し、動画を活用したトップマネジメントからのメッセージ発信等を通じて従業員への理念の浸透を図るとともに、新たにエンゲージメント調査に着手するなど、従業員の働きがい向上に注力している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆2025春闘展望-運輸・交通労連両委員長に聞く
     運輸労連・成田幸隆委員長「二つの改革セットに」
     交通労連・織田正弘委員長「運賃適正化に尽きる」

  • ☆ヤマトHD・双日など4者、北九州空港を拠点に日本初となる電動航空機を使った貨物輸送の共同検証を実施
    ☆セイノーHD、「ひんやり海上混載サービス」にアメリカ向けを追加し第1便がロサンゼルス港に到着
    ☆セイノーHDが愛知県と「包括連携協定」を締結、防災・減災などで相互に連携・協力
    ☆センコー、新東名高速道浜松SA近くのトラック中継輸送専用大型施設が2月から本格稼働へ
    ☆運輸労連が2025春闘方針を決定、成田委員長「注目が集まる今こそ大きな変化を目指す」と強調
    ☆国交省、「中小トラック事業者向けテールゲートリフター等導入等支援事業」の2023年度補正予算分2次公募を開始
    ☆ヤマト運輸、トッパントラベルと共同で海外引越や海外赴任者の人事手続きをワンストップで支援するサービス提供を開始
    ☆鴻池運輸、インド国営の鉄鋼スラグ処理事業会社の株式100%取得が完了し完全子会社に
    ☆経団連など経済3団体、価格転嫁の商習慣の定着に向けては「経営者自ら先頭に」などとする提言まとめる
    ☆建交労首都圏労使協、茨城県つくば市で第48回セミナーを開催し2025年事業計画などを承認
    ☆札幌運輸支局が自衛隊札幌地本と共催し自衛官向けバス・トラック運転体験会、退官予定の自衛官35人が参加
    ☆運輸労連の年末一時金妥結状況(2024年12月25日最終集約)、妥結額単純平均は前年比1万2千円増
    ☆物流業界の新年会

今週のユソー編集室

  • ▼運輸・交通両労連の2025春闘方針が固まった。本号では両委員長による春闘展望を掲載している。
    ▼要求額は両労連とも1万5千円を超え、数年前なら「高すぎる」との意見が出る水準だ。だが、どちらの中央委でもこうした意見はなく、運輸労連では「もっと高い要求にすべき」との声すら上がった。
    ▼人手不足が深刻さを増す中で、日々の業務に追われる現場の感覚では「このままではもたない」という危機感があるのだろう。
    ▼両委員長は適正運賃収受による労働条件改善の重要性を指摘し、輸送力を提供し続ける責任感も示している。労務費を中心とした価格転嫁の必要性は、かつてないほどに高まっている。

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