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2025年2月3日付 3012号

ヤマトの共配オープンPF「SST便」が本格始動 富士通の出資も受ける SST

記者会見終了後のフォトセッションで 左から長尾社長、髙野社長、時田社長

 ヤマトホールディングス傘下の「Sustainable Shared Transport(SST)」は1日、オープンプラットフォーム(PF)を活用した共同輸配送サービス「SST便」の提供を始めた。宮城~福岡県間で1日16便の運行からスタート。対象地域やダイヤを拡充させながら、貨物鉄道や船舶なども活用したマルチモーダルも推進し、2025年度末目途に80線便までの拡大を目指す。

 SSTは昨年5月、共同輸配送のオープンPFの提供を目的に、ヤマトHDの全額出資により設立された。

 同社が提供するSST便は、幹線輸送をベースに共同輸配送システム上であらゆる荷主企業と物流事業者をマッチングする、オープンPFを活用したサービス。オープンで標準化されたデジタル基盤を用い、発着荷主が持つ受発注などの商流データと、発着荷主の在庫・物流事業者の車両手配など物流データを連携させることで、サプライチェーン効率を飛躍的に向上させることを目指している。

 荷主はシステムの予約画面上で荷物の発送日・発着地・品目・必要パレットスペースなどを入力し、表示された輸配送可能な便から輸送を行う便を選択して予約する。SST側は予約状況をリアルタイムで管理し、安定した輸送を提供する。

 利用運送事業の認可取得までの間、先行的にヤマト運輸の事業として、宮城県から福岡県までの7拠点を1日16便の運行で、標準パレットスペース単位で利用できる定時運行・中継輸送・混載による幹線輸送を提供してきた。SSTは昨年末に第一種貨物利用運送事業の認可を取得。富士通と共同で進めてきたオープンPFの基盤システムも整ったため、SSTとしてサービスの提供を開始した。

 富士通は同日、SSTに5千万円を出資。これにより、SSTの資本金は3億5千万円から4億円に拡大。出資比率はヤマトHD87・5%、富士通12・5%となる。

 今後、複数社から第三者割当増資を受ける予定もある。

 SST便の開始にあたって1月27日、東京都千代田区の丸の内トラストタワーN館で、ヤマトHDの長尾裕社長、富士通の時田隆仁社長、SSTの髙野茂幸社長が出席し、共同記者会見が開かれた。

記事全文は電子版から。

SAF活用促進事業でホンダが荷主として参画 環境取り組みをサポート 日本通運

SAF利用拡大に取り組むNXグループ

 日本通運は1月29日、東京都のSAF活用促進事業でホンダが荷主として参画するための取引基本契約を締結したと発表した。

 日本通運は2024年8月に東京都のSAF活用促進事業の貨物代理店に選定されSAFの活用促進に向けて取り組んでいる。ホンダに第三者機関証明の認証を得たSAF利用相当量のCO2削減証明書を発行し、Scope3におけるCO2排出量削減活動に取り組む。

 ホンダの環境に対する取り組みを航空貨物輸送の面からサポートしていく。

 NXグループは、SAFの利用拡大を、重要課題(マテリアリティ)である「サステナブル・ソリューションの開発・強化」の取り組みの一つと位置付け「NX―GREEN SAF Program」の提供やANAが提供する「SAF Flight Initiative」への参画などを進めている。

 また、気候変動への対応として30年までに13年比でグループ全体のCO2自社排出量(Scope1・2)の50%削減を目指し、23年5月にScience Based Targets initiative(SBTi)の認定取得に向けコミットメントレターを提出。50年までにカーボンニュートラル社会の実現への貢献(Scope1・2・3)を目標として掲げている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆日本通運、群馬県館林市に主に潤滑油を取り扱う「館林危険物3号倉庫」を新設
    ☆日本通運、京都市のNX西京極倉庫に倉庫自動化ソリューション「Skypod」を導入し稼働開始
    ☆NXロジスティクスインド、バンガロール東部に新倉庫を開設し同国最大級の新興クイックコマース企業と業務開始
    ☆国交省の物流拠点の今後のあり方に関する検討会、基幹物流拠点の整備には「国が一定の関与や支援を行う」とする報告書骨子案を提示
    ☆通運連盟、「モーダルシフトトライアル助成制度」を巡り申請件数の低調推移を受け積極的な利用呼び掛け
    ☆物流連が物流革新をテーマにセミナー、真貝会長「関係者全てが協力・連携して物流革新を」と訴える
    ☆国交省、昨年11・12月のトラック・物流Gメンによる集中監視月間で2件の「勧告」を実施
    ☆東京労働局と陸災防東京都支部、板橋区の物流施設の安全衛生パトロールで三井不動産や丸和運輸機関の取り組み視察
    ☆ヤマト運輸、宅急便3商品で国際規格に準拠したカーボンニュートラリティを継続達成
    ☆日本郵便、JR東日本グループの多機能ロッカー「マルチエキューブ」を鎌倉郵便局に設置し「はこぽす」として利用できるサービス開始
    ☆JR貨物の犬飼社長、グループ社長会議で総合物流企業グループへの進化に向けて「今年は勝負の年」と強調
    ☆国交省、物流効率化法と貨物自動車運送事業法の改正法の一部を施行する関係政令を公布
    ☆セイノーHD、食産業戦略パートナーシップ体制の構築に向けてぐるなびなどとともにZEROCOと資本業務提携を締結
    ☆ロジスティード、安全運行管理ソリューション「SSCV-Safety」に遠隔点呼機能を追加
    ☆JIFFA、「国際複合輸送士資格認定講座」認定証授与式で成績優秀者6人を表彰
    ☆北海道運輸局など5者、協業の機運醸成を目的に2月17~21日「北海道物流WEEK2025」を開催
    ☆物流業界の新年会
    ☆物流業界の2025年3月期第3四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省は昨年11・12月のトラック・物流Gメンによる集中監視月間の結果を公表した。
    ▼2ヵ月平均で、「働きかけ」「要請」「勧告」の実施件数が前年の2倍以上となるなど、組織拡充の効果が見て取れる。また、適正化実施機関のGメン調査員から運輸支局への情報も115件寄せられている。
    ▼2019年7月~24年12月の期間で見ると、1378件の働きかけと183件の要請が行われており、残念ながら勧告も4件実施されている。
    ▼働きかけの段階で改善を行えば要請に進むことはなく、勧告に至ることもない。制度の目的は現場の改善にあるということを、荷主や元請け事業者は十分に理解する必要がある。

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