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2013年8月26日付 2486号

中型免許問題で新たな展開、免許制度改正に向けて懇談会開検討へ  古屋国家公安委員長が発言

トラック運送業界の一つの大きな懸案事項となっている中型運転免許問題が、新たな展開を見せる状況となってきた。若年労働者の雇用機会改善の観点から、18歳以上の高校新卒後すぐにも中型車が運転できるよう、運転免許制度改正(法律改正)ができないかどうかを検討していくとの動向が明らかとなった。

これは、21日に全ト協の星野良三会長が古屋圭司国家公安委員長から、「制度改正に向けて有識者からなる懇談会を開催する。トラック運送業界と全国高等学校長協会からもヒアリングして要望も聞き、懇談会の中で検討していく」と伝えられたもの。懇談会開催となると、それなりの時間はかかるものの、制度改正に向けて着実に取り組み、実施していきたいといった趣旨の発言ともいえる。警察庁は運転免許制度を見直し改正する際には有識者からなる懇談会を開催して、何らかの結論を得ているのが通例。

全ト協ではこれまで、中型運転免許見直し(普通自動車免許に係る要件緩和―車両総重量の緩和)という内閣府令の改正に向けた要望を行ってきた。しかし今回、古屋国家公安委員長から示されたのは、単なる普通免許の要件拡大というものではなく、中型車を運転できる年齢そのものを見直そうというもので、若年労働者雇用の障害ともなっている現行の制度の年齢そのものを大局的な見地から検討するという本質的な問題解決を目指すものといえる。 懇談会の検討には早くても1年はかかるものとみられるが、古屋国家公安委員長は、スピード感を持って法律改正をしていくとの意向を示しているようだ。

全ト協では22日、東京駅の東京ステーションホテルで開催した常任理事会で、星野会長がこの件について報告。同ト協ではヒアリングにあたっては現状をよく説明し、要望・提案をしっかりとしていきたいとしている。

欧州で54%の増収を記録  日通の7月国際輸送事業部実績

日本通運はこのほど、7月の国際事業本部実績を発表、2桁増収と好調に推移している。海外会社のうち、欧州地域では買収したイタリアの物流会社の売り上げが貢献し、53.7%増の大幅増収となったほか、東アジア地域も落ち込んでいた航空輸出が香港・台湾で増収に転じるとともに、倉庫配送業務が増加し16・9%増と2桁の伸長をみせている。

売上高ベースで航空事業部は138億5100万円の2.6%減、海運事業部は77億2700万円の9.4%増、海外会社は280億7300万円の17.1%増、合計は496億5千万円の9.7%増。

国際航空は6.6%減と減収で推移しているが、国内航空は3.1%増と堅調。OA機器関連貨物や金融機関からの帳票関連が増加した。海運は輸出入ともに4ヵ月連続で増収を記録。内航も新造船投入効果により3ヵ月連続で増加した。

海外会社を地域別にみると、米州はメキシコでの自動車関連工場向け設備輸送が好調で、3.9%増と堅調に推移。欧州は5月から高級ファッションブランドを扱うイタリア大手物流会社Franco Vago社が加わり、航空輸出の自動車関連スポット出荷等もあって大きく伸長した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か④
    ☆四文字『共同配送にも「不協和音」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑮』
    ☆日中ビジネスワンポイント「江南水郷『古鎮』巡り①」
    ☆図解、ヤマトHDの厚木ゲートウェイ
    ☆人物ウィークリー、日本貨物鉄道総括執行役員ロジスティクス本部営業統括部長・真貝康一氏

  • ☆7月のWebKIT確報、電気製品等一部減少も荷物情報34%増加 
    ☆全ト協の14年度税制・予算要望、燃料高騰への補助制度など
    ☆SBSHD鎌田社長が会見、物流不動産事業で施設の流動化推進へ
    ☆自動車運輸事業者の安全への取り組み点数低い傾向に、国土交通政策研究所が調査結果とりまとめ
    ☆公取委のセンターフィー調査、物流事業者等への運営委託9割近くに
    ☆全ト協の4~6月景況感、中・小規模は悪化
    ☆振興センター、トラックステーションのテナント各社が出血サービスのとくとくキャンペーン
    ☆ヤマトマルチメンテナンスソリューションズ、ネット通販家電製品購入後も延長保証
    ☆ブリヂストン、社内技能五輪の全国大会を開催-メンテナンス品質向上へ
    ☆国交省、社内安全教育支援の申請受け付け終了-3日で予算枠に達する
    ☆全ト協、事業用トラックに特化したドラレコの手引を作成

今週のユソー編集室

  • ▼物流業界のかたわらに長く身を置いていると、時折、自身の認識が世間一般の人々と異なっていることに、気付かされる場合がある。
    ▼先日テレビの取材を受け、前振りの形でJR貨物の吹田貨物ターミナル駅を紹介したが、その時ディレクターからは、「貨物駅」であることを隠して紹介してほしいと依頼された。「輸送新聞」の人間が「吹田貨物ターミナル駅」を紹介するのにもかかわらず、である。
    ▼演出上の効果を狙っての依頼であることは理解できたが、あらためて世間一般にとって「輸送」という言葉は、「物的輸送」を意味するものではなく、むしろ「人的輸送」のイメージが強いのだということを思い知らされた。
    ▼ここ数年、さまざまな団体で、物流の等身大の評価の獲得を目指した取り組みが進められているが、「輸送」という言葉の認識そのものにも、等身大に評価されていない、物流の現在位置が示されているような気もするのだ。

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