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2015年2月9日付 2552号

労働力不足など背景に安定・効率化輸送目指した食品物流プラットフォーム構築へ  味の素など食品メーカー6社

 味の素(伊藤雅俊社長)、カゴメ(寺田直行社長)、Mizkan(結城幸一社長)、日清オイリオグループ(今村隆郎社長)、日清フーズ(岩﨑浩一社長)、ハウス食品グループ本社(浦上博史社長)の食品メーカー6社は2日、労働力不足などを背景に、より効率的で安定した物流力の確保と、食品業界全体の物流インフラの社会的・経済的合理性を追求するため、多くの食品メーカーが参画できる“食品企業物流プラットフォーム”(F―LINE)の構築に合意した。

 6社は、物流体制が企業ごとに個別化していることが多い食品業界の物流諸課題を解決するための戦略として、6社共同配送の検討をF―LINEの主な検討項目の一つとして立案。まず、今まで各社それぞれの物流センターで行っていた保管や配送業務を、6社共同で行う検討を行い“物流拠点の共同利用”や、配送を集約し、トラックの積載効率を高め配送先までの輸送経路を高密度にする“高密度エリア配送”を通じて食品輸送効率の向上を図る。併せて、“中長距離幹線輸送の再構築”“物流システム(受注基準、納品基準等)の標準化”の検討も進める。

 6社は今後、競合として公正に競争しつつ、既存の枠組みを超えた協同体制の下、F―LINEを構築することにより持続可能な社会への貢献を目指すとしている。

情勢見極めながらイスラム圏”第6極”立ち上げ検討へ  日本通運中村副社長が会見で

 日本通運の中村次郎副社長は3日、東京都港区汐留の同本社ビルで開いた国際事業本部の2014年度第3四半期業績発表記者会見の席上、イスラム圏を“第6極”に見据えた組織改正を検討中であることを明らかにし、テロ対策強化への対応に取り組む姿勢を強調した。

 会見で中村副社長は、ハラル認証の申請など、イスラム圏での拡販に向けた取り組みを推進中で、トルコ、UAE、ドバイを主体に、インドの西側の“インド洋経済圏”をターゲットとし、日本、米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニアに次ぐ“第6極”の新たな組織機構を立ち上げる方向性にあることを明かした。しかし、今回のIS(イスラム国)事件で先行き不透明感が一気に深まり、「難しい局面にあるとの認識」と述べ、情勢を見極めながら検討していくと語った。

 業績の推移は、米国経済の回復を基軸に、航空貨物が自動車関連の伸長、米国西海岸港湾ストの影響などにより、スポット貨物が想定以上の伸びを確保できたと述べた上で、今年のトレンドは、グローバル化、国内回帰、セキュリティがキーポイントになるとの考えを示した。

 グローバル化は全世界のコストが均一化されるまで続くとの説もあり、その進展過程でブロック化(地産地消)の傾向が強まると見ており、サンク・コスト(埋没費用)の見直しに伴い、物流面での変革も予想されるとし、国内回帰に関しては、円安だけの影響だけでなく、メーカーでは産業ロボットの活用等省力化・機械化によりコストパフォーマンスを考慮しながら、グレードの高いメイド・イン・ジャパンの高額商品を製造していく意向があると指摘。テロ対策のセキュリティ規制が今後一層強まるとし、その対応に当たるとした。

 一方、同社では2年前に海外現地法人の危機管理マニュアルを刷新し、本社集約による危険情報の取集・共有化、各現地での実情に応じた防犯対策強化に取り組んでいるが、今回の事件を受け、安全第一を念頭に置いた対応の徹底について、あらためて指示を発出したことを説明した。

 国際事業本部第3四半期業績は、売上高ベースで航空事業部465億1100万円の前年同期比6.5%増、海運事業部150億8400万円の0.6%増、海外会社1027億4600万円の8.3%増、合計1643億4200万円の7.0%増。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『2015年末の「ASEAN経済共同体」発足に向けて』
    ☆四文字『フェリー利用「無人航送」』
    ☆道『米ドルとオイルショック、車社会』(20)

  • ☆物流連労働力問題小委が見学会、「パワーアシストスーツ」で高い補助効果体感
    ☆日通、台湾に日系初のILCライセンスを取得した新拠点開設
    ☆日通総研短観、国内向け出荷量は1~3月期さらに悪化
    ☆厚労省の14年労災発生速報、陸運の死亡災害は29%の増加
    ☆建交労中央労使協が中央行動、行政等に対し労働者不足対策など要請
    ☆北海道運輸局が改善基準告示違反の事業者に30日の事業停止処分、処分基準厳格化後初のケースに
    ☆日立物流、インドネシア・東ジャワ州に物流センター開設
    ☆データ・テック、大和物流の全車両にデジタル式運行記録計搭載
    ☆セイノーHD、朝日大学とマーケティング分野での産学連携協定に関する覚書に調印
    ☆東ト協、引越管理者講習会を実施
    ☆厚労省が14年毎勤統計発表、道路貨物運送業の給与総額減少続く
    ☆埼玉ト協交通対策委、本年度は事故撲滅大会と物流セミナーを同時開催
    ☆日通、ラトビア・リガ港経由のロシア・中央アジア向け一貫輸送サービス提供へ
    ☆東ト協、ロジ研・女性部・青年部の合同セミナー開く
    ☆ヤマト運輸が横浜市と連携協定、業界初QRコード付きオリジナル包装資材など活用して観光促進に協力
    ☆テルウェルが引越実務者研修会、NTTグループの異動ピークは7月にシフト
    ☆日通がビジネスフェア開催、「ハラル物流」など紹介
    ☆首都圏キット利用協組、新春講演会開く
    ☆1月のWebKIT、荷物情報昨年下回るも一昨年水準はクリア
    ☆物流各社の第3四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼イスラム国を自称するテロリスト集団が、人質としてとらえていた日本人ジャーナリストを殺害した。この集団は米国人、英国人、ヨルダン人など、すでに多数の人を殺害している。
    ▼そうした際の画像をネット上で公開するなど、その異常性、非人道性、残虐性は際立っており、政府が解放に向けて努力していたものの、とてもまともな交渉相手にはならなかったであろうことがうかがえる。
    ▼殺害か解放かの分かれ道は、単純に“カネ”を払ったかどうかによるのではないかという指摘もあり、諸外国に対する政治的メッセージなどはなく、単なる誘拐ビジネスと断ずる識者もいる。
    ▼どちらであろうと、経済成長をグローバルな視点で求める日本と、それを支える物流業界にとっては、テロ対策の重要性が大きくクローズアップされる結果となった。非業の死を遂げたジャーナリストのご冥福をお祈りするとともに、次を防ぐ手立てを考える必要があるように思う。

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