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2015年2月23日付 2554号

「グローバル・トップ5目指す」豪大手物流企業トール・ホールディングス買収  西室日本郵政社長が会見

会見する西室社長

 「グローバルトップ5の国際物流企業に」。
 日本郵便(髙橋亨社長)は18日、豪州証券取引所に上場する豪州物流大手トール・ホールディング社を完全子会社化すると発表。同日記者会見した日本郵政の西室泰三社長は「世界55ヵ国で実行部隊が活動し、収益をあげているトール社は最適な相手。日本に閉じこもって成り立つ時代は終わりつつあり、グローバル企業への第一歩が始まる」と国際物流への本格的進出に向けた戦略について語った。買収額は郵政グループ過去最大となる6200億円。6月上旬に取引を完了させる計画。

 子会社化の狙いを西室社長は、フォワーディング・3PL事業のノウハウを習得する「時間を買った」と語り、トール社をグローバル展開のプラットフォームと位置付ける方針と説明した。現経営陣は続投させる考えを表明するとともに、日本法人のトールエクスプレスジャパン(旧フックワーク)についても現時点では現体制を維持し、「重量分野を得意とすると聞いており、事業のすみわけ、ノウハウの共有化などを検討したい」と語った。

 記者団からの航空機運航を含めたインテグレーターとの競争戦略についての質問に対し、西室社長は「今まさに検討しなければならない課題」と回答。国際物流リーディングプレーヤーへのファーストステップに立った今回の買収により、中長期計画戦略でアジア、欧州等でのM&Aを加速させる考えをにじませた。

 このほか人事面で、国際物流という新たな事業展開に入ることを踏まえ、日本郵便の髙橋社長をサポートする上級副社長職を新設し、ゆうちょ銀行の米澤友宏副社長を充てる考えを明かした。

東名大の中堅物流企業が全国物流ネット構築目指し包括的業務提携  カンダ、髙末、東部ネットワーク、ヒガシトゥエンティワン

左から勝又、芦原、加藤、金森の各社長

 カンダホールディングスの勝又一俊社長、髙末の加藤博巳社長、東部ネットワークの芦原一義社長、ヒガシトゥエンティワンの金森滋美社長は16日、東京都千代田区のKKRホテル東京で共同記者会見を行い、4社による包括的業務提携について発表した。同日の各社取締役会でそれぞれ決議したもので、東京、横浜、名古屋、大阪に主要拠点を置く中堅物流4社が、国内外を問わず相互の営業エリア・得意分野・物流拠点を補完し、営業情報の共有やシステムの共同開発を進め、各社の自主性、独立性を生かした形での全国ネットワークの構築を目指していく。

 国内物流は、高度で均質な物流サービスを全国規模で展開することが求められることから、地域特化型の中堅物流企業は大手のネットワークを活用し、荷主要望に対応している。また複雑・高度な物流システムが求められるなか、システムインフラの整備・構築も急務となっている。こうしたことから、大手物流企業に対抗しうるグループ創設に向けて、4社が2年間かけて協議・検討して、業務提携に至ったもの。また4社における企業グループの名称を「日本物流ネットワーク協力会」(「Japan Logistics Network Association」、略称=JLNA)として、各地域物流企業に参加を呼びかけ、安全・品質・環境に配慮した全国物流ネットワークを構築していく。中小貨物輸送から大量輸送にまでの輸送モードの拡大、対応可能な物流商品の拡大を図り、顧客へのサービス向上、環境に優しい物流を実現し、企業価値の向上を目指していく。

 業務提携の内容は①施設・車両・営業情報の共有②営業案件のグループ内消化③物流システムの相互利用・共同開発④燃料の共同購入、給油設備の共同利用⑤新規プロジェクトにおける共同開拓―としている。
 4社合わせた従業員総数は約5600人(パート含む)、売上高は約800億円、海外を含めた拠点数は184ヵ所、倉庫面積は約60万平方メートル、保有車両台数が軽車両からトレーラー・トラクタまで1839台の規模となる。

 各社の概要は次のとおり。①本社所在地②主な業務内容③従業員数④2014年2、3月期売上高の順。
 〈カンダホールディングス〉①東京都千代田区②出版物等輸配送業務、構内業務請負、国際物流サービス③1855人④326億円
〈髙末〉①名古屋市②メーカー・流通業の物流元請け、構内業務請負、国際一貫物流③752人④168億円
〈東部ネットワーク〉①横浜市②清涼飲料、ガラス・びん容器配送、ケミカル輸送、石油・セメント類の販売と輸送③361人④123億円
〈ヒガシトゥエンティワン〉①大阪市②メーカー・流通・金融・保険の物流請負、事務所移転・赴任引越・新聞・飲料輸送、福祉用具レンタル、パソコン設置・回収③358人④174億円。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(1)
     鈴木全ト協引越部会長インタビュー
     祓川国交省自動車局貨物課長インタビュー
     第1回認定都道府県別引越優良事業者一覧
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(33)
    ☆四文字『苦難の末の「営自分離」』
    ☆日中ビジネスワンポイント『上海家族との九州の旅(1)』
    ☆道『米ドルとオイルショック、車社会』(21)

  • ☆全ト協、環境対応車への補助で3月6~10日の間交付予定枠公募
    ☆政府、交通政策基本計画を閣議決定
    ☆通運連盟が全国大会、青函トンネル共用化問題で物流への影響懸念
    ☆2015春闘始まる、運輸労連大手組合の要求
    ☆西濃労組が定期大会、新委員長に近藤副委員長
    ☆三八五労組が定期大会、春闘方針など決定
    ☆日倉協、人材不足問題などとりあげ中小倉庫業経営者セミナー
    ☆KWE、シンガポールの海運会社「APLL」を買収
    ☆日通、メキシコの拠点拡充
    ☆福通が第3次中期経営計画を策定、満足度向上に取り組み売上高3千億円目指す
    ☆日通が国内航空のウェブサービス開始、業界初のリアルタイム一括管理可能に
    ☆関運局・エコモ財団がグリーン経営セミナー、澁澤倉庫と石原運輸が事例発表
    ☆東京団地倉庫、10~12月は総体的に増加基調

今週のユソー編集室

  • ▼毎年のことだが、引越繁忙期を間近に控えたこの時期あたりから、自宅のポストに引越のダイレクトメールが届くようになる。「安く、早く、安心」。どのチラシにも、似たような文言が躍る。
    ▼全ト協は昨年、引越事業者優良認定制度をスタートさせた。資格要件を満たした事業者には「引越安心マーク」が付与される。具体的な検討に着手してから約4年の歳月を費やし、まさに満を持して始まった制度だ。
    ▼この制度に対する引越事業者の評価も、おおむね高いと聞く。品質を保証する客観的な基準があれば、利用者が事業者を選択する際の有力な材料になることはもちろん、顧客対応力の向上で、クレームの防止効果も期待できる。
    ▼誰もが知っている「引越安心マーク」となるよう、今後の周知策にも期待したい。さて、今年自宅に届くダイレクトメールには、果たして「引越安心マーク」が付いているのかどうか、実はひそかに楽しみにしている。

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