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2015年10月5日付 2581号

長時間労働縮減等に向け、8項目の大会決議採択  全ト協が第20回事業者大会

全国から1400人が参加した事業者大会

 全日本トラック協会(星野良三会長)は1日、石川県金沢市の石川県立音楽堂で全国トラック運送事業者大会を開催した。20回目の記念となる今大会には全国から1400人余の事業者が参加、長時間労働縮減や参入基準の厳格化等規制緩和の見直しなどへの対応を盛り込んだ大会決議を採択するとともに、分科会で交通安全対策と人材確保・育成という業界の重要課題を取り上げ、好事例が紹介された。

 全体会議で小林和男北陸信越ブロックトラック協会長あいさつに続きあいさつした星野会長は、トラックの森の植樹を通じ地球温暖化防止、環境保全の意識向上に業界として貢献していきたいとした上で、トラック運送業界はドライバー不足等により、運賃高止まり傾向や軽油価格の低下により利益率の改善が見込まれているとの考えを示した。そして労働基準法改正案の提出を契機に、国土交通省と厚生労働省により、中央と47都道府県の全てにトラック輸送における取引環境労働時間改善協議会が設置され、ドライバーの長時間労働削減への取り組みが開始されたとして、手待ち時間の削減方策や附帯業務の有償化方策等を実現すべく、荷主の協力を得ながらトラック協会の総力を挙げて取り組んでいきたいとした。

 一方、8月には自民党トラック議連幹部会で大口多頻度割引50%の高速道路料金の負担軽減や長時間労働抑制のための諸対策に係る補助制度の充実について業界が直面する諸課題について要望を行ったとして、年末にかけてさらに活動を強化していきたいと述べた。
 また豪雨によって堤防決壊により各地で甚大な被害が発生、茨城県トラック協会をはじめとするトラック協会は被災地への緊急物資輸送を迅速に行い、ライフラインの確保に当たったことを紹介、最近火山活動が活発化し予断を許さない状況になっているとして、トラック運送業界の緊急輸送体制の拡充が急務となっていると指摘した。
 そして最後に、この事業者大会が長時間労働の縮減や高速道路料金、規制緩和見直しなどの諸課題に業界が一丸となって積極的に取り組んでいくために一致結束する絶好の機会であるとして、自らの手で明るい未来を切り開くため、業界の英知と総力の結集をと呼びかけた。

 続いて第1「トラック業界の交通安全対策の推進について」と第2「トラック業界の人材確保及び育成について」の2分科会を開催。パネルディスカッション方式で行われ、第1の高柳勝二プロデキューブ代表取締役、第2の小坂真弘日本PMIコンサルティング主席コンサルタントのコーディネートの下に、それぞれ事業者3者が積極的・効果的な自社の取り組みを報告・紹介した。
 この後の記念講演会は新聞社主催の「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で34年連続総合1位を獲得している加賀屋の小田禎彦代表取締役相談役が「おもてなしの心で世界をねらう」をテーマに講演。
 再開した全体会議では坂池克彦石川県トラック協会青年部会長が大会決議を読み上げ、拍手で採択。決議には次の8項目を掲げた。
 ◎荷主との協働による長時間労働の縮減
 ◎高速道路料金における大口・多頻度割引最大50%の恒久化
 ◎参入基準の厳格化等規制緩和の見直し
 ◎自動車関係諸税の簡素化・軽減の実現
 ◎原価管理に基づく適正運賃の収受
 ◎適正化事業の推進による法令遵守の徹底
 ◎交通・労災事故の防止および環境・省エネ対策の推進
 ◎大規模災害時における緊急輸送体制の確立
 
 この後、藤井直樹国土交通省自動車局長、谷本正憲石川県知事が来賓あいさつした。
 次回開催地ブロックとして小丸成洋中国トラック協会長があいさつし、来年10月6日に鳥取県米子市での開催を紹介した。
 全員でガンバローコールを行って、綿貫勝介富山県トラック協会長のあいさつで閉会した。

業界初 博多発香港向け海上冷凍混載輸送サービス開始  日本通運

 日本通運は9月30日、博多発~香港向け海上冷凍混載輸送サービスを開始したと発表した。発着一貫オペレーションのもと、コンテナ1個に満たない量の冷凍貨物を博多から香港まで12日間で運ぶ海上輸送サービス。
 冷凍貨物の博多港発香港向けでの混載輸送は、業界で初めてとなる。これまで、九州・中国地方から香港に少量の冷凍貨物を輸送する場合には、◎関西や関東へ輸送し混載サービスを利用◎航空便を利用◎余剰スペースは多いが、やむを得ずコンテナ1個を自社だけで使用―
 の方法しかなく、新サービスでは、同社試算によると東京発に比べ輸送日数で1日、コストで10%以上削減できるとしている。

 また、定期輸送によって日本国内のCFS持ち込み費用や香港での在庫コストの削減もでき、損害保険ジャパン日本興亜と開発した食品専用貨物保険を用意し、輸送中の損害だけでなく品質劣化による損傷や輸入国での処分などによって発生する各種追加費用についても補償する。
 ターゲットとする貨物は九州地方、中国地方の冷凍海産物、畜産品およびそれらの加工品、冷凍菓子など。
 スケジュールは隔週土曜日出港、水曜日CFS持ち込み締め切り、翌々週月曜から引き取り可能。設定温度はマイナス20度。発地費用(博多CFS~香港CFSまで)は海上運賃(保険料含まず)がRT(レベニュートン=1立方メートルを1トン換算)当たり300米ドル、CFSチャージはRT当たり1万6千円などの設定。博多港(CFS)搬入先は福岡市東区箱崎ふ頭のニチレイ・ロジスティクス九州箱崎埠頭物流センター。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、第30回全国フォークリスト運転競技大会
     一般部門3位までを日立物流グループが独占
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(45)『アベノミクスは第2ステージへ』

  • ☆全ト協・日貨協連、首都圏の高速道料金パブコメ激変緩和措置継続など意見提出 
    ☆日通の創立記念式典で渡邉社長があいさつ「さらなる躍進と持続的成長の実現」
    ☆国交省が検討会報告書案を審議、宅配の再配達削減へ消費者とのコミュニケーション強化を
    ☆国交省合同会議で日通・SGHD等から海外展開におけるヒアリング、海外展開におけるアジア物流の課題は通関制度や外資規制など
    ☆佐川急便、ピンクリボン運動でオリジナルワッペン着用で乳がん検診啓発活動
    ☆総務省発表、14年度特定信書便事業の通数・売上高1.1倍に
    ☆YHC、快適生活サポートサービスに洗濯機分解清掃などの2つのメニュー追加
    ☆全新潟運輸労組が第3回定期大会開催、武田氏が書記長に昇任
    ☆LEVO、環境対応型ディーゼルトラック補助の申請台数枠を撤廃し補助金の有効活用を図る
    ☆JR貨物等3団体、輸送品質向上キャンペーンのキックオフ会議を開催
    ☆国交省物流関係部会が中間まとめ公表、従来の鉄道モーダルシフト施策は十分な効果を発現せず
    ☆国交省が通達発出、鉄道輸送障害時の代替輸送トラック移動手続きが不要に

今週のユソー編集室

  • ▼あらためて言うまでもないが、一般消費者にとって、物流はやはりなじみが薄い。災害などが発生すれば一躍脚光を浴びることもあるが、業界にとっても災害などない方がいいに決まっている。
    ▼一般消費者にとってなじみが深い物流業務と言えば、やはり宅配業だろう。社会的に物流への理解を深めようと考えた場合、入り口になるであろう宅配業のもつ影響力は、非常に大きいと言えるのではないだろうか。
    ▼サービス産業生産性協議会は先ごろ、2015年度の日本版顧客満足度指数の調査結果を発表した。エンタテイメント、携帯電話、宅配便、など五つを対象に、顧客満足度などを調査したものだ。
    ▼宅配では最近1年間で2回以上発送したことがある人を対象に調査したとしており、顧客満足度1位から3位はヤマト運輸、日本郵便、福山通運の順となっている。ここで得られたいいイメージを、業界の地位向上のために役立ててもらいたいと思う。

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