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2016年2月29日付 2599号

第3回取引環境・労働時間改善中央協議会開催、パイロット事業の実施方法示す  運賃検討のWG設置へ

 国土交通省と厚生労働省は19日、東京都千代田区の国土交通省共用会議室で「第3回トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会及びトラック運送業の生産性向上協議会」(座長=野尻俊明流通経済大学学長)を開催した。
 
 昨年9月に実施したトラック輸送状況の実態調査結果を報告、次年度から2年間実施するパイロット事業(実証実験)の着眼点とその実施方法などが提示された。また労働時間短縮とともに適正運賃収受も重要課題であるとして、新たな運賃制度について検討していくワーキンググループ(WG)等の設置を要望する意見が委員から出され、座長一任としたほか、農水産品関係者の協議会への参加についても検討していくこととした。
 
 冒頭、三ッ林裕巳厚生労働大臣政務官があいさつし、軽井沢のスキーツアーバス事故からも事業環境や労働条件を確保することの大切さを認識したとし、「そうした意味からも協議会の使命は重くさまざまな立場を超え、一体となってトラック運転者の労働条件改善に向けて取り組んでいく必要がある」と述べた。
 次いで宮内秀樹国土交通大臣政務官があいさつし、5年先10年先の物流をしっかりと維持し、人材を確保していくため、今何をしていくべきか、といった観点からの積極的な意見を求めた。

 トラック輸送状況の実態調査結果、来年度から取り組むパイロット事業、生産性向上のための補正予算による事業、運賃・料金制度に関するトラック事業規制の推移などについて、国土交通省が報告・説明。実態調査結果を踏まえパイロット事業を実施する際の着眼点として次の事項を示した。
 運転時間については◎中継輸送や共同輸送などにより、長距離輸送の運転時間短縮は可能か◎高速道路利用が効果的な区間は高速道路を利用できるよう荷主と相談する。
 手待ち時間については◎手待ち時間の発生場所や原因を荷主と共同で検証し削減する◎着荷の時間指定の有無や意義を着荷主と共同で検証する。荷役作業時間については◎荷主と作業場での動線等を見直し作業効率を上げて時間短縮を図る◎パレットやロールボックスパレット等荷をまとめ輸送、あわせて発着いずれでも荷を崩す作業が発生しない方法を検討する―など。これを参考に各都道府県の地域事情に応じた取り組みが望ましいとした。
 
 都道府県で取り組むパイロット事業は、各地方協議会で選定した対象集団がコンサルタント等専門家のアドバイスのもと、①荷主および運送事業者の現状分析や課題の洗い出し②課題に対する解決手段の検討③解決手段の実践④検証等を経てトラック運転者の長時間労働等の改善を図る―もの。2017~18年度の2年間、全国で約100事例を目途に実施する。

 一方、中央協議会でも来年度に「トラック運送業の生産性向上に係る補正予算事業」3億3千万円を使って、①荷主業界ごとの商慣行・商習慣の調査・対策検討②事業の共同化による積載率向上の事例調査③原価計算の在り方の調査・検討④ITの活用可能性に係る調査―を実施する。

 このほか、秡川直也国土交通省自動車局貨物課長からは、運賃規制は陸運業でトラックのみが事後届出制であることが報告された。意見交換では、坂本克己全日本トラック協会副会長が新たな運賃制度を検討するWG等の設置を要請した。

カンボジア発高速複合輸送サービスにハンガー輸送サービス追加、通常コンテナにハンガーキット設置が特徴  日通

 日本通運は20日から、カンボジア発高速複合輸送サービス「NEXSAO―CAMBODIA SAT(Truck&Sea)」に、ハンガーキットを取り付ける『ハンガー輸送サービス』をラインアップに追加した。
 
 ハンガー専用コンテナではなく、通常の海上輸送コンテナにハンガーキットを設置することが特徴。ハンガー専用コンテナの運用を待つ必要がなく、顧客のスケジュールに合わせた出荷が可能。キットの設置は事前に同社が行う。スーツやドレスなどの服飾品を縫製工場のあるカンボジアから日本主要港までコンテナ内に吊るしたまま輸送するため、工場側では梱包作業、梱包資材が削減され、店頭では開封の手間がかからず、すぐに陳列・販売できる。
 
 カンボジアからホーチミンまでは、ベトナム日通のダブルライセンス車両で国境での積み替えなしで輸送し、ホーチミンから日本まで海上輸送する高速複合輸送サービスで、海上輸送した場合に比べ、リードタイムは最大9日削減、航空輸送した場合と比べて輸送コストは約80%削減できる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(1)
     各社の施策
      日本通運
      全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会
      セイノー引越
      押入れ産業
      カンダグループ
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(53)『WTIの底値をズバリ的中!!』
    ☆四文字『税金で賄う「特定財源」』
    ☆日中ビジネスワンポイント『中国のお正月』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(18)

  • ☆中央協議会でトラック輸送状況の実態調査報告、拘束時間13時間超37% 16時間超は13%に
    ☆押入れ産業、レンタル収納サービスを7店舗新規出店へ
    ☆三井倉庫ロジスティクス、日本トイザらスとLLP契約を締結 物流改革を支援
    ☆通運記者会定例会見で日本通運の大日向明・伊藤豊両副社長が会見、グローバル営業戦略本部・海外事業本部それぞれの概況語る
    ☆関運局・エコモ財団、全業種を対象にした「グリーン経営セミナー」開催 日本ロジテムが事例発表
    ☆全ト協青年部会、「次なるステージへ挑戦」テーマに全国大会開催 730人が参加 
    ☆国交省、脳MRI等スクリーニング検査に関する調査結果を報告 トラック実施1割にとどまる
    ☆日本自動車ターミナル、京浜ターミナルでL―CNGスタンド竣工式行う
    ☆千葉ト協、交通事故・労災防止大会開催「飲酒運転しない」決意表明
    ☆三八五労組が年次大会開催、春闘方針等決める.
    ☆日通総研、厚労省委託事業「トラック運転者労働条件改善事業」で物流改善セミナー開催

今週のユソー編集室

  • ▼来年3月にも施行されるとみられる準中型運転免許だが、国土交通省はトラック運送事業者が運転者に行う指導・監督指針の一部改正告示案について意見を募集している。準中型免許創設に伴い、貨物自動車の総合安全対策の一層の強化が求められているため指導・監督の実施時間や内容の拡充を図るものだ。
    ▼改正案では初任運転者に対し現行の座学のみ6時間以上を、座学と積載方法等実車を用いた指導を15時間以上へと拡充、また実際にトラックを運転させ安全な運転方法を指導する20時間以上の実習を新設する。
    ▼軽井沢のツアーバス事故からも初任運転者に対する実習指導は決しておろそかにしてはならない重要事項。欧州の職業運転者資格証明制度では120時間ほどの実習が必要。300時間もの実習後、一人乗務させる大手事業者もある。事業者は改正告示案を最低限の基準とし十分な実習教育を行い、初任運転者の一人立ちに万全を期すべきだろう。

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