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2016年3月7日付 2600号

首都圏の新高速料金高速各社に対し許可 大口・多頻度割引拡充も

 国土交通省は1日、起終点が同じならば経路を問わず同一料金とすることなどを盛り込んだ首都圏の新たな高速道路料金について、首都高速・東日本高速・中日本高速の各高速道路会社に対し許可を行った。

 新たな料金制度は4月1日から導入され、首都高速の大口・多頻度割引は経路によっては割引率が現行の30%から35%に引き上げられる一方、通常料金では首都高速の利用距離が長い場合には大幅な値上げとなるケースもあり、高速道路の利用頻度が高いトラック事業者などでは、コスト面から利用区間の見直しを迫られる事態も発生しそうだ。

 首都圏の高速道路料金はこれまで、圏央道西側区間の料金水準が割高となっていることなどにより、いわゆる「3環状」をはじめとする高速ネットワークが生かされておらず、都心部の通過交通抑制を妨げているなどの問題があった。

 新たな料金制度では、圏央道についても大都市近郊区間の料金水準に統一することで起終点が同じならば経路を問わず同一料金とするとともに、ETC2.0搭載車については圏央道利用分について約2割引きとするなど、都心部の通過交通抑制策を盛り込んでいる。

 また、圏央道を大口・多頻度割引の対象道路に追加するほか、首都高速の大口・多頻度割引について、現行30%となっている割引率の上限を、ETC搭載車で中央環状線の内側を通行しない場合に限り35%に引き上げる。

 一方で、首都高速の料金も大都市近郊区間の料金水準に統一されるため、近距離では値下げとなるが、おおむね30キロメートルを超える利用では値上げとなり、40キロメートルでは現行の930円(普通車の場合、以下同じ)が1300円に約40%引き上げられる。神奈川県の並木インターチェンジ(IC)~埼玉県のさいたま見沼IC間86キロメートルを利用する場合、現行料金は930円だが、大都市近郊区間料金では2900円と大幅な値上げとなるため、激変緩和措置として、当面の上限額を1300円に設定している。

 また現在、首都高速では「普通」「大型」の2区分となっている車種区分を一般の高速道路と同じ5車種に統一する。これにより、首都高速を走るトラックは、これまで普通車料金の2倍となっていた車種のうち、「大型」は普通車の1.65倍に引き下げられる一方、「特大」は2.75倍に引き上げられる。利用区間や割引との組み合わせによっては特大車でも料金引き下げになるケースもあるとみられることから、トラック事業者は高速の「賢い」利用が必要となる。

 高速会社では、ETC2.0の利用促進に向け、10日から車載器導入に対し1万円を助成するキャンペーンを6月末まで実施する。

国際・国内物流の結節点「セイノーロジ・トランス新木場」開設 東京都江東区に同社最大級  西濃運輸

「セイノーロジ・トランス新木場」の外観

 西濃運輸(大塚委利社長)は1日、東京都江東区に同社最大規模の複合物流ターミナル「セイノーロジ・トランス新木場」を開設。国際物流と国内物流の結節点として24時間体制で、流通加工などを含めた高付加価値物流サービスを提供していく。

 同施設は、東京湾に面したベイサイドエリアにあり、首都高速湾岸線新木場インターチェンジから約2.2キロメートルの東京都江東区新木場3の1の1に所在。敷地面積は2万9776平方メートルで、6階建ての建物の延べ床面積は7万3336平方メートル。総投資額は約250億円。
 1階と3階には、幹線・集配トラックが発着し、1階部分は東京支店が開設当日から使用、3階部分は5月から深川支店が使用する。
 ホームは、1階が幅50メートル×長さ153メートル、3階が幅39メートル×長さ142メートルで、どちらの階にも1時間当たり6800個の処理能力を持つ自動仕分機を2基備える。荷物用エレベーターは、4トン仕様が3基。

 東京支店は大型トラック35台と集配用の中型トラック152台を保有。深川支店は大型トラック7台、中型トラック77台、その他10台の94台体制となっており、「セイノーロジ・トランス新木場」内には、乗務員の控室や仮眠室、食堂、浴室などを備える。

 旧東京支店は同じ江東区内のJR京葉線潮見駅前に1984年に建てられたが、周辺環境の変化や老朽化への対応などを踏まえ「セイノーロジ・トランス新木場」内に深川支店とともに移転することになり、跡地は江東区の緑化政策などに沿った活用を計画している。
 5・6階部分は流通加工スペースを併設した倉庫施設で、面積は5階が1万493平方メートル、6階が1万1487平方メートル。
 現在、16社の入居で約4分の1のスペースが埋まっている状況だが、このほかにも20社を超える引き合いがあるという。入居が決まっている企業の業種は家電メーカーや印刷関係などさまざま。16社のうち保管以外の流通加工を含むのは4社。

 同社では、羽田・成田両空港や東京港に近い立地を生かし、海外の複数拠点から届いた商品を顧客の販売店ごとなどに集約する「マージ機能」や3PL機能、在庫商品を担保にして資金調達につなげる「資金調達機能」などのサービスを複合的に提案・提供することで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の本格運用を見据えた国際物流ニーズの取り込みを図る考え。

 開所式で大塚社長は、TPPによりモノの動きが自由化され、国際物流と国内物流の融合がより重要になるとの考えを強調。「セイノーロジ・トランス新木場」を“24時間眠らない陸・海・空の結節点”として、活用していく姿勢を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(2)
     各社の施策
      アートコーポレーション
      日立物流
      SGムービング
      トナミ運輸
      ヤマトホームコンビニエンス
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(54)『軽油安でもトラック運賃は下がらない』

  • ☆ヤマト運輸が「第1回全国セールスドライバー(SD)接客応対コンテスト」開催、優勝は関西支社の森崎選手
    ☆運輸労連、難波委員長が会見 同労連が作成した「モデル賃金」を、春闘などで活用訴える
    ☆日通、「鉄道コンテナNAVI」バージョンアップ 地図画面表示や定時お知らせメール送付機能等を追加
    ☆埼玉ト協、交通事故撲滅大会で“事故ゼロ”を誓う 無事故の達人大使に林家たい平さん委嘱しアピール
    ☆全ト協・日貨協連、2月WebKIT速報発表 荷物情報3ヵ月連続で増加
    ☆コラボデリバリー、15年度の業績まとめ 売上高前期比6.4%増
    ☆東京都が「東京都貨物輸送評価セミナー」を開催、貨物輸送評価制度についての説明や取り組み事例を発表
    ☆日本郵便、宅配ロッカー「はこぽす」の機能・エリア拡大、オープン化の検討を発表
    ☆北澤全国引越専門協同組合連合会会長が会見、売上高目標300億円経営計画達成へ向けての施策等語る

今週のユソー編集室

  • ▼物流連の会員企業の若手社員で構成される「ロジスティクスPRグループ~物流いいとこみつけ隊」が先日、同グループが主体的に進めた業界セミナーの総括を行った。
    ▼1月に行われたこのセミナーには、大学3年生を中心に約800人が参加。アンケート調査では、このうち94%が「物流業界への興味があがった」と回答し、98%がセミナーに満足していたという。企業側の評判もおおむね良かったようだ。
    ▼参加者の中には「先生に言われたから来た」という学生もいたが、むしろそういう学生にこそ、日常生活からでは見えにくい、物流の本当の姿を知ってもらうべきであり、そういう意味でも、この取り組みには大きな意味があると思う。
    ▼グループでは来年度、小中高生を対象とした新たな取り組みの検討に入るという。ドライバー確保のために、特に高校生への取り組みは重要なものとなるだろう。新たな取り組みに大きく期待したい。

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