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2016年3月14日付 2601号

運転従事者脳MRI議員立法案、問題多く引き続き議論へ 自民党3議連が全ト協等3団体からヒアリング

 道路運送事業者等に脳MRI検診等による運転者の健康管理を義務付ける超党派の議員連盟による議員立法化の動きが具体化しつつある中で、自民党のバス議員連盟、ハイヤー・タクシー議員連盟、トラック輸送振興議員連盟は10日、東京都千代田区の衆議院第二議員会館で3議連役員合同会議を開催。全日本トラック協会、日本バス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会から問題点などについてヒアリングしたが、意見交換の中では種々問題点があるとして次回引き続いて議論していくこととした。

 ハイ・タク議連の金子一義会長に続きあいさつしたトラック議連の木村太郎幹事長は、対象が「なぜハイ・タク、バス、トラックだけなのか、またなぜ脳だけなのか」と疑問点を示し、脳に特化した視点で議論するのではなく、幅広い視点から議論していくべきと述べた。

 「運転従事者の健康と安全を守るための脳MRI検診推進超党派議員連盟」の福井照副幹事長から議員立法案の説明を受けた後、事業者団体からのヒアリングでは全日本トラック事業政治連盟の坂本克己会長ら3団体の代表が問題点等を述べた。3団体では、運転者の健康起因事故防止の法制化にあたって次の3項目を要望した。◎厚労省含め医学的知見を踏まえた調査研究を行い、健康起因対応について必要なスクリーニング項目の検証および脳MRI診断、心臓ドック、人間ドックのガイドライン作成◎動脈瘤(りゅう)等疾患が発見された場合、自動車運転者雇用事業主としてのとるべき対応のガイドライン◎補助・助成制度についての厚労省交えた検討、例えば脳MRI診断、心臓ドック診断等二次健康診断の検査項目の対象に。

 国土交通省、厚生労働省の考えも聞いた上で、意見交換を行った。この中では脳MRI検診でどこまで分かり、問題ある人が出た場合、それがどの程度の事故につながるのか、など医学的知見がどこまであるのか、助成費用等どうするのか、などの問題点が指摘された。

 議員立法案(道路運送法及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案)では、「事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な措置を講じなければならない」等の条文を新たに盛り込む予定。

楽天のフリマアプリと連携した「ラクマ定額パック」、全国一律料金で提供 ヤマト運輸

 ヤマト運輸(長尾裕社長)と楽天(三木谷浩史社長)は7日、楽天が運営するフリーマーケットアプリ「ラクマ」において連携し、ヤマト運輸が提供する投函サービス「ネコポス」と小型荷物宅配サービス「宅急便コンパクト」を、「ラクマ」の出品者が全国一律料金で利用できる「ラクマ定額パック」の提供を開始した。

 送料込みの商品を出品した利用者は、売買成立後「ラクマ」アプリ内で発送ステップに進む際、「ラクマ定額パック」から「ネコポス」または「宅急便コンパクト」を選択し、全国約4千ヵ所のヤマト運輸営業所に商品を持ち込むと、専用端末で簡単な手続きを済ませるだけで、商品を発送することができるものとなっている。

 送り状は配送先などの必要情報が印字されて出力されるため、手書きする手間が省けるほか、荷物の発送から配達までの各段階の状況がアプリ上で確認できるため、安心して取引することができるとしている。

 「ラクマ定額パック」の料金は「ネコポス」が195円、「宅急便コンパクト」が380円。「ラクマ」が通常料金の一部を負担することにより、出品者は通常より割安な料金で利用できる。

 両社は今後、コンビニエンスストアなどでの送り状発行や発送の受付など、一層の利便性向上を検討していく考えを示している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(3)
     各社の施策
      日本通運海外引越
      札幌通運
      全国引越専門協同組合連合会
      サカイ引越センター
      三八五流通
    ☆四文字熟語『必要性を説く「事業規制」』
    ☆道『連載を終えるに当たって(1)』

  • ☆日通、日本ハラール協会から倉庫および輸送に関するハラール認証を取得
    ☆国交省物流パイロット事業、インドネシアのジャカルタ~バリクパパン間でRORO船を活用した海陸一貫輸送システムの実証実験を開始
    ☆社整審物流小委員会が今後の物流政策に関する答申メニューのフォローアップを開始、委員から高速料金や特認の審査期間の改善要望も
    ☆中部運輸局が荷主対象の調査を実施、6割がトラックドライバー不足実感 輸送を断わられたが約5割に
    ☆建交労が首都圏トラックパレードを実施、春闘や経営環境改善訴える
    ☆国交省、災害時の支援物資拠点リストアップ状況など公表 全都道府県でトラック協会との輸送協定が締結されるなど協力体制進む
    ☆佐川グローバルロジスティクスが第9回フォークリフト運転技能コンテストを開催、総合優勝に玉手選手(仙台支店)
    ☆全ト協・日貨協連、WebKITの2月成約運賃指数 2ポイント減で今年度最低水準
    ☆埼ト協、安全運転コンクール等合同表彰式を開催 優秀事業所は475チーム

今週のユソー編集室

  • ▼野村総研はこのほど、英国オックスフォード大学と共同で「今から10~20年後に日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能」との研究結果を発表した。
    ▼研究は国内601業種を対象に、人工知能やロボット等で代替される確率を試算したものとしており、代替可能性の高い100業種の中には、出荷・発送係員、倉庫作業員、宅配便配達員、積卸作業員など、物流関係の諸業務も含まれている。
    ▼これらはもちろん、技術的な代替可能性を示したものに過ぎず、例えば労働需給の動向やロボット等の導入・運用コストなどは考慮されていない。「そんな未来もありうる」といった程度の話である。
    ▼不思議なのは、代替可能性の高い業種の中にタクシー運転者の名前はあっても、自動運転技術が取り沙汰されているトラック運転者の名前がないことだ。20年後の日本においても、物流企業はトラック運転者の確保に頭を悩ませているのだろうか。

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