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2016年4月11日付 2605号

インタビュー 一般社団法人 日本物流団体連合会 会長 工藤 泰三氏
 世界に伍する覚悟を~関係者一体となって生産性向上真剣に

なし

―就任以来、物流の生産性向上の必要性を強く訴えていますが。

 現在、日本の産業を代表する自動車メーカーは海外での自動車生産を拡大するために、日本の部品メーカーの海外進出を促し、日本品質の部品を海外で生産するようにしています。その結果、日本生産車の部品も、為替の状況によって日本と海外の調達量を調節するわけです。

 メーカーはそのようなグローバルな視点を持ってコストをコントロールしていますから、日本国内で調達する部品のコストが高くなれば、調達先も海外に流れてしまい、結果的に部品に関する物流そのものが失われてしまうのです。物流も世界に伍(ご)していく覚悟がないと、生き残っていけません。トラックのドライバーが不足している環境下でも、物流事業者が生産性を向上させ、できるだけ運賃を上げずにドライバーの労働条件を改善させていくような工夫が必要となります。

 トラックの生産性が低いのは、手積みや料金の支払いを伴わない付帯作業を要請してきた荷主にも、一部責任があります。今後は、物流業者と共に非効率を改善していく意識を持たない荷主は、トラック確保に苦労するケースが増えていくと思います。ですから労働力人口の減少は、悪いことばかりではありません。生産性向上を考える、いいきっかけになると思っていますし、日本のトラック運送事業者でもできると思っています。

 また、物流の生産性向上に関しては、荷捌スペースが足りないといった問題など、荷主と物流事業者だけでは進まない部分もありますから、国土交通省などに旗を振ってもらって、物流に配慮した街づくりをしていく必要もあります。賃金の向上は生産性向上の裏返しになりますから、荷主・物流事業者・行政が一体となって、生産性向上を真剣に考える時期が来たと思っています。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

越境eコマースなどでファミマと業務提携 宅配ロッカー「はこぽす」設置へ 日本郵政

中央・長門日本郵政社長、中央左・中山ファミマ社長、中央右・髙橋日本郵便社長

 日本郵政(長門正貢社長)とファミリーマート(中山勇社長)は5日、「越境eコマース」サービスなどの提携で基本合意したと発表した。

 合意内容は◎国内・海外のファミマ店舗を基点とした「越境eコマース」配送サービス◎郵便商品等の取り扱い拡大・宅配ロッカー「はこぽす」の設置◎全国のファミマ店舗への「ゆうちょATM」の導入拡大。

 コンビニ店舗を基点とした越境eコマースサービスは、国内1万1千・海外6千のファミマ店舗を日本郵便の配送ネットワークでつなぐ構想。訪日観光客が日本で購入した土産物を預け海外の店舗で受け取る観光客の利用や、日本の通販商品を海外店舗で受け取るなどの需要を見込んでいる。台湾・タイ・ベトナム・中国・インドネシアなど、ファミマが展開するアジアを対象とし、今年度中に台湾からスタートする計画。

 宅配ロッカー「はこぽす」については、国内店舗に設置していくことで合意。具体的な設置数や時期等は今後協議していく。日本郵便では駅や商業施設などへの設置を現在進め、公共性の高い場所では他社宅配便の受け取りも可能とするオープン化を検討しているが、ファミマ店舗ではゆうパックのみを対象に検討している。

 同日開かれた記者会見でファミマの中山社長は「国内外で新鮮なサービスを展開していきたい」、日本郵政の長門社長は「相互の利便性を高め互いに企業価値を高めていきたい」、日本郵便の髙橋社長は「物流ニーズと商品・機能を組み合わせ、コンビネーションを図っていきたい」とそれぞれ語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流企業各社の入社式でのトップ訓示要旨
     日本通運・渡邉健二社長 過去に学び未来を創る
     ヤマトHD・山内雅喜社長 新たな価値を創造
     西濃運輸・神谷正博社長 ニーズをしっかり
     日立物流・中谷康夫社長 ビジネスモデルの創出を
     第一貨物・武藤幸規社長 心一つに自立して
     近鉄エクスプレス・石崎哲社長 国際感覚と気配りを
     SBSHD・鎌田正彦社長 挑戦を続けること
     トナミHD・綿貫勝介社長 「和の経営」基本に

  • ☆日通、「日通グループ経営計画2018―新・世界日通。」発表記者会見 利益にこだわる総仕上げの計画に
    ☆全ト協、14年度決算版経営分析報告書を発表 営業赤字企業が54%
    ☆カンダコーポレーション、新潟市の一部エリアで買い物代行宅配サービス「はこびぃまーと」を4月から開始
    ☆日通、「4月5月WEB限定引越キャンペーン~15周年の東京ディズニーシー(R)へ行こう~」を展開
    ☆SGHD、2016年度グループ入社式開催 栗和田会長が祝辞 新たな時代を築く
    ☆丸運、2016年度新入社員入社式開催 市原社長が訓示 当事者意識もって
    ☆JIFFA、国際複合・実用英語講座 成績優秀者を表彰
    ☆ヤマトHD、調査分析や人材育成等を行う「一般社団法人ヤマトグループ総合研究所」を設立
    ☆全ト協・日貨協連、WebKITの3月成約運賃指数まとめ 成約運賃指数117に
    ☆運行管理者試験センター、15年度第2回運行管理者試験の合格発表 合格率は過去2番目に低い29.1%に
    ☆6高速道路会社、車両制限令違反者に対する大口・多頻度割引の停止措置を10月1日から実施

今週のユソー編集室

  • ▼ベルギーのブリュッセルで起きた連続爆破テロ事件から、間もなく3週間が経過する。昨年11月のフランス・パリでの事件とも相まって、世界中でテロの脅威が高まっている。
    ▼日本も例外ではなく、5月26~27日には三重県志摩市に先進国首脳が集い、伊勢志摩サミットが開催されるが、その前後の期間にも日本各地で大臣級会合が予定されており、警備関係者の警戒感が高まりをみせている。
    ▼これに関連して、物流連は3月30日付で、警察庁から◎宅配貨物等の受付時のチェック体制の強化◎不審貨物発見時の警察への通報連絡の徹底◎自動車検問等警戒警備活動に対する協力―など警備協力に関する要請を受けた。
    ▼顧客の荷物を預かるという事業の性質上、荷物の中身を詮索するのは現実的には難しい。だが、テロを企てる人間は、まさにそうした点を狙う。物流がテロに利用されるなど、あってはならない。警戒感を高め、安全・安心な物流を守りたい。

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