インタビュー 一般社団法人 日本物流団体連合会 会長 工藤 泰三氏
世界に伍する覚悟を~関係者一体となって生産性向上真剣に

―就任以来、物流の生産性向上の必要性を強く訴えていますが。
現在、日本の産業を代表する自動車メーカーは海外での自動車生産を拡大するために、日本の部品メーカーの海外進出を促し、日本品質の部品を海外で生産するようにしています。その結果、日本生産車の部品も、為替の状況によって日本と海外の調達量を調節するわけです。
メーカーはそのようなグローバルな視点を持ってコストをコントロールしていますから、日本国内で調達する部品のコストが高くなれば、調達先も海外に流れてしまい、結果的に部品に関する物流そのものが失われてしまうのです。物流も世界に伍(ご)していく覚悟がないと、生き残っていけません。トラックのドライバーが不足している環境下でも、物流事業者が生産性を向上させ、できるだけ運賃を上げずにドライバーの労働条件を改善させていくような工夫が必要となります。
トラックの生産性が低いのは、手積みや料金の支払いを伴わない付帯作業を要請してきた荷主にも、一部責任があります。今後は、物流業者と共に非効率を改善していく意識を持たない荷主は、トラック確保に苦労するケースが増えていくと思います。ですから労働力人口の減少は、悪いことばかりではありません。生産性向上を考える、いいきっかけになると思っていますし、日本のトラック運送事業者でもできると思っています。
また、物流の生産性向上に関しては、荷捌スペースが足りないといった問題など、荷主と物流事業者だけでは進まない部分もありますから、国土交通省などに旗を振ってもらって、物流に配慮した街づくりをしていく必要もあります。賃金の向上は生産性向上の裏返しになりますから、荷主・物流事業者・行政が一体となって、生産性向上を真剣に考える時期が来たと思っています。
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