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2016年4月18日付 2606号

車両長25メートルに緩和、年度内に25メートルフルトレーラーの走行実験を行う  国交省生産性革命本部

 国土交通省は11日、東京都千代田区の同省で「国土交通省生産性革命本部」の第2回会合を開き、「トラック輸送の生産性向上に資する道路施策」を今後生産性向上に向けて取り組むべき新たなプロジェクトに決定。「ダブル連結トラック」(フルトレーラー)導入に向けた全長25メートルへの特殊車両(特車)許可基準の緩和や特車許可審査日数の短縮などの方針を固めた。

 国交省では、2016年を「生産性革命元年」と位置付け、省を挙げて「社会のベース」「産業別」「未来型」の三つの分野の生産性向上に取り組むべく、3月7日に生産性革命本部を立ち上げ、第1弾として六つのプロジェクトを採択した。

 第2回会合では、七つのプロジェクトを追加。「トラック輸送の生産性向上に資する道路施策」は、「産業別の生産性を高めるプロジェクト」の一つとして選ばれた。

 今後、取り組むべき施策については、港湾や空港などの結節点を道路で接続して生産性の高い物流ネットワークを構築する「物流モーダルコネクト」を強化するとともに、工場立地が増加している高速道路のインターチェンジ周辺道路に関する新ルール導入やアクセス道路への重点支援を実施する。また、ドライバー不足が深刻化している状況を踏まえ、現在21メートルとなっている車両長の特車許可基準を25メートルに緩和し、トラック2台分の輸送が可能となる「ダブル連結トラック」の導入に向け、年度内に新東名高速で実験を行う。

 さらに、現在約1ヵ月を要する特車の平均審査日数を2020年までに10日程度まで短縮する方針が示された。

モーダルシフトなど対象に物流分野のCO2削減の補助事業公募開始  LEVO

説明会の開催日・会場は上表のとおり。

 環境優良車普及機構(LEVO)は12日、鉄道へのモーダルシフトなどの取り組みに対して経費の一部を補助する2016年度「物流分野におけるCO2削減対策促進事業」の公募を開始した。公募期間は5月16日まで。

 エネルギー対策特別会計を活用した二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の枠内で行われるもので、LEVOは4月1日で環境大臣から補助金交付決定を受けた。総額は事務費を含めて37億円。

 補助対象となるのは、「モーダルシフトの促進等による低炭素型物流システム構築事業」「物流拠点の低炭素化促進事業」「鉄道貨物輸送へのモーダルシフトモデル構築事業」「災害等非常時にも効果的な港湾地域低炭素化推進事業」「水素社会実現に向けた産業車両の燃料電池化促進事業」の五つ。

 「モーダルシフトの促進等による低炭素型物流システム構築事業」では、①鉄道・海上輸送への転換促進②31フィートコンテナ導入促進③共同輸配送促進―の三つのメニューが用意され、鉄道・海上輸送への転換では事業を行うために必要な機械器具費の2分の1を補助。31フィートコンテナ導入促進では、コンテナの導入経費または450万円の少ない方の額の2分の1を補助する。

 「物流拠点の低炭素化促進事業」では、営業倉庫または公共トラックターミナルに太陽光発電や高天井LED照明機器、断熱パネルなどを導入する場合に、工事費や機械器具費の2分の1(高天井LED照明機器は3分の1)を補助(上限5千万円)。

 本年度の新規事業となる「鉄道貨物輸送へのモーダルシフトモデル事業」では、地方鉄道の閑散線区や都市旅客鉄道の回送列車などの余剰輸送力を活用してトラックから鉄道への転換を行う輸送モデルを構築する場合、新たに導入する垂直式・階段式搬送機などの機械器具費の3分の1を補助する。

 「水素社会実現に向けた産業車両の燃料電池化促進事業」では、燃料電池フォークリフトや急速充電機能を搭載した定格荷重3トン以上の電動フォークリフトなどを導入する場合に、燃料電池フォークリフトではエンジン車との差額の2分の1(1台当たりの上限500万円)、電動フォークリフトでは3分の1(同100万円)を補助する。

 LEVOでは、公募説明会をあす19日の仙台市を皮切りに、全国6会場で開催する。
 参加希望者は、前日の午後5時までに同機構の「物流CO2削減対策補助事業執行グループ」宛てに電子メールまたはFAXで申し込む。申し込み用紙はLEVOホームページからダウンロードできる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・全日通労働組合結成70周年
     70周年を迎えて先達の希望と思いを 次世代に引き継ぐ
    ☆四文字『中心の課題「給与体系」』

  • ☆日通、業界初の大阪港発中国・石島港向け陸海一貫混載輸送サービスを開始
    ☆全ト協が社整審国土幹線部会で労働力不足対策の一環として長時間労働削減のため高速の活用不可欠を訴える
    ☆運輸労連春闘、前年同時期との比較で賃上げやや慎重に
    ☆春闘妥結状況
    ☆JR貨物田村社長が16年度の抱負語る、ダイヤ改正はおおむね順調 鉄道黒字化へ全力
    ☆全ト協・日貨協連、15年度WebKIT実績まとめ 求車の荷物情報件数が100万件の大台突破
    ☆熊本地震で高速道通行止め、荷物延着など発生
    ☆全流協が春の全国交通安全運動の一環として江戸川区で街頭活動実施、関係者ら総勢41人が参加
    ☆YGL、中国EC大手と連携 日本企業の出店サポートや輸送サービス提供を5月上旬から開始
    ☆日通商事、グループ会社のAZLタイランドが新LSセンター開設
    ☆エムフェット・ニチユ三菱・ユニキャリア3社合同会見、フォーク等物流機器事業で20年度売上高5500億目指す
    ☆国交省、運転者の指導・監督指針の改正告示公布 実施マニュアル近日公表
    ☆日本通運名古屋支店、金融・物流面で愛知銀行と業務提携 国際ビジネスサポートする体制を構築
    ☆日通、インドネシアでのRORO船を活用した実証事業サポート完了を発表
    ☆日通、スロベニアビジネスセミナーでビジネス事例発表を行う

今週のユソー編集室

  • ▼トラックのドライバー不足対策の一つと目されている「貨客混載」。ヤマト運輸では昨年から、九州や東北で地元の路線バスを利用した宅急便の横持ち輸送を行っている。
    ▼今月にはJR東日本物流・JRバス東北・東北鉄道運輸の3社による「地域活性化LLP(有限責任事業組合)」が発足し、青森から東京まで、高速バスのトランクや既存トラックの空きスペースを利用した地産品輸送が始まった。
    ▼JR東日本のプロジェクト「のもの」事業の一環として、新ブランド「おやつTIMES」3商品の幹線輸送を行う内容だ。地元紙の報道によれば、荷主からも販路拡大と輸送コスト低減に大きな期待が寄せられているという。
    ▼さまざまな課題も予想されるが、まずは効果のほどに注目したい。北海道新幹線の一部を荷物輸送に使えないかといったアイデアもあるやに聞く。生産性向上が叫ばれる今、「貨客混載」には大きな可能性が秘められているのかもしれない。

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