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2016年12月12日付 2636号

荷主所管省庁に対し長時間労働削減など要請、トラックの取引条件改善へ  根本国交政務官

 根本幸典国土交通大臣政務官は今月に入り、トラック運送業の取引条件改善に向け、細田健一農林水産大臣政務官と村松祥史経済産業副大臣に対し、価格決定方法の適正化や長時間労働の削減などについて、所管する関係団体や企業に働きかけるよう要請を行った。

 政府は、「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」(下請関係府省連絡会議)を設置して中小企業の取引条件改善に取り組んでおり、11月22日には典型的な下請多層構造を持つトラック運送業界での取引条件改善に向け下請関係府省連絡会議の議長代理を務める根本国土交通大臣政務官からトラック運送業界に対し、下請取引適正化に関する「自主行動計画」を策定するよう要請を行った(2634号1面参照)が、要請の際、荷主のトラック業界の現状についての理解促進を図るため、荷主を所管する省庁への働きかけを行っていくことを明らかにしていた。

 12月1日には細田農水政務官、3日には村松経産副大臣を訪問し、トラック運送業の取引条件改善に当たっては、荷主の理解と協力が不可欠であることを説明した上で①価格決定方法の適正化②コスト負担の適正化③契約の相手方・方法の適正化④長時間労働の削減―を所管する企業・団体に働きかけるよう要請した。

 価格決定方法の適正化については、燃料価格などの変動分が考慮されない価格決定の禁止やトラック運送業者との十分な協議を踏まえた運賃・料金の決定などを例示。

 コスト負担の適正化については、付帯作業・荷待ち待機などの運送以外の業務について、運賃とは別物として契約上明確化するべきとした。

 長時間労働の削減については、発荷主が中心となって、着荷主およびトラック事業者との間で定期的に協議を行うなど、荷主とトラック事業者の協力体制を確立するよう求めている。

 要請の内容について、細田農水政務官と村松経産副大臣はおおむね了承した。

 なお、6日に開かれた第9回下請関係府省連絡会議では、トラック運送業の現状説明や改善に向けた取り組みの報告が行われた。

シンガポールに非日系対応の組織、グローバルロジスティクスイノベーションセンターを新設  日通

 南アジア・オセアニア日本通運(髙橋康紀社長)は6日、シンガポールに非日系グローバル企業への市場調査と営業開発に特化する「グローバル・ロジスティクス・イノベーションセンター」(GLIC)を新設した。

 シンガポールに多くのグローバル企業がアジア・太平洋地域の統括会社を配置し、地域統括会社の権限を強化する傾向が強くなっており、本社だけでなく地域統括会社にアプローチし、最新の顧客ニーズを把握する必要性が高まっている。

 GLICでは、非日系企業に対するビジネス機会の開拓、顧客ビジネスの分析、物流システムの研究・開発を実行し、営業アプローチを強化していく。

 今後、シンガポール経済開発庁(EDB)の協力を得て、これまで海外各地で培ってきた経験・実績や品質などの強みを最大限に発揮し、中期経営計画の重点戦略に掲げる非日系企業を対象に、営業拡大を一層強化していく。

 業務内容は◎非日系グローバル企業を対象としたマーケティング活動と物流ニーズの分析◎顧客分析に基づく次世代物流システムの研究・開発、顧客企業への提案◎そのほか上記に関連する業務。

 南アジア・オセアニア日通内に事務所を構え、構成人員は6人(うち日本からの出向者1人)でスタートする。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字『大型トラックは「受難時代」』

  • ☆自公が17年度税制改正大綱決定、準中型免許教習車の特別償却盛り込む
    ☆全ト協・日貨協連、11月WebKIT成約運賃指数は7ヵ月連続で前年下回る
    ☆日冷倉協・細見会長が会見、電気料金や賃金上昇で料金転嫁対策の必要性訴える
    ☆日冷倉協・西願副会長、冷蔵倉庫の長時間待機改善へ提言まとめる意向示す
    ☆国交省・重田物流審が会見、コールドチェーンの海外展開など財政面でも後押しする考え
    ☆SGHDグローバル、ベトナムの大手宅配企業PLE社買収へ
    ☆香港ヤマト運輸、中国・広州の物流事業者買収し中国からの越境物流展開へ
    ☆エコプロダクツ大賞環境大臣賞にヤマト運輸の「客貨混載」が選ばれる
    ☆「エコプロ2016」開催、物流業界からも出展多数
    ☆中企庁、事業承継のガイドライン策定
    ☆日立物流、コンテナドレージ業務集約し配車センター設置
    ☆国交省が第10回物流センサス速報まとめる、年間出荷量は減少も出荷1件当たりの貨物量はやや増加
    ☆国交省、南海トラフ地震を想定し情報伝達訓練を実施
    ☆厚労省が16年の賃金引上げ調査結果発表、「運輸業、郵便業」では81%の企業がアップも全産業平均には及ばず
    ☆東ト協・千原会長が会見、所信表明で示した10施策のうち着手・実施が61%に
    ☆日通、ベトナム・ダナン発日本向けの海上混載一貫サービスを日系企業で初めて提供
    ☆物流連、物流環境大賞7日から公募開始
    ☆物流連懇談会開催、初の荷主側講師として大西三越伊勢丹HD社長が講演
    ☆千葉ト協が理事会、準中型免許施行に伴う運転者教育で全会員に新テキスト配布
    ☆全ト協の16年度の引越事業者優良認定事業者数発表、総事業所数376に
    ☆各労連本部集約、年末一時金の妥結状況

今週のユソー編集室

  • ▼環境省は6日、2015年度の日本国内の温室効果ガス排出量の速報値として、CO2換算で14年度比3.0%減、13年度比6.7%減となり、2年連続で減少したと発表した。
    ▼環境省ではこのペースで削減が進めば、30年度に13年度比26%減を掲げるパリ協定の達成も可能としているが、一方で気候による一時的な要因もあると指摘しており、今後もCO2削減努力の継続を訴えている。
    ▼運輸部門は旅客を含む全体で14年度比1.8%減、うち貨物自動車が同2.4%減を記録している。産業・業務その他・家庭・エネルギー転換の各部門と比較すると、運輸部門は3番目に排出量が多く、削減率は最も小さくなっている。
    ▼産業界はパリ協定の目標の高さを指摘するが、日本のCO2排出量が世界第5位であることを考えれば、今後も削減の取り組みは必要だ。運輸部門も決して例外ではなく、「生産性向上」によるCO2削減が求められている。

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