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2016年12月19日付 2637号

1800社規模でトラック運賃・料金実態のアンケート実施へ  国交省

 国土交通省は14日、東京都千代田区の同省で第2回「トラック運送業の適正運賃・料金検討会」を開き、トラックの運賃・料金の実態を把握するためのアンケート調査を、来年1月中~下旬に1700~1800社規模で実施することを決めた。

 同検討会は、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」の中央協議会の下に設置され、7月13日の第1回検討会では、運賃・料金に関するアンケートを実施する方針が示された。

 アンケートは、各地方トラック協会の役員・青年部会会員や全日本トラック協会が実施しているトラック運送業の景況感調査回答企業などを対象に、今月中に郵送とウェブサイトで調査票を送付・公表(調査対象者以外には非公表)し、来年1月に回収する。

 質問項目は、最も売上高の多い品目についての運送委託者(真荷主・トラック事業者・利用運送事業など)や、燃料サーチャージ・車両留め置き料・付帯作業料などの費用の収受状況、契約書への別建て料金の記載の有無など。

 また、運賃・料金の収受に効果的な項目について、「国が目安となる標準運賃を示す」「国が目安となる下限運賃を示す」「別建て料金の収受」「事前チェックの厳格化」「法令を遵守しない事業者への取り締まり強化」「価格交渉など取引交渉のスキル向上」など10数項目について、「とても効果があり」「効果あり」「少し効果あり」「全く効果なし」「支障がある」の5段階で回答してもらい、「支障がある」については、特に支障のある2項目について理由を尋ねる。

 来年1月中~下旬に回収して集計や分析を進め、次回検討会で調査結果の内容について審議するとともに、中央協議会にも報告する。次回の中央協議会は年明け1~2月の開催が予定されており、アンケートについては実施内容の説明のみで、結果については報告が行われない見込み。また、検討会は5月ごろまで継続する予定だが、アンケート調査結果については、それ以前に取りまとめられる。

全国38港からシベリア鉄道利用しモスクワへ輸送、日数1ヵ月短縮  日通

 日本通運(渡邉健二社長)は来年1月10日、日本全国38港からロシア・モスクワに向けた国際複合一貫輸送サービス「Sea and Rail Moscow」を販売する。

 従来、モスクワ向け海上輸送サービスは東京・大阪などの主要港からサンクトぺテルブルク経由で輸送するサービスが中心で、シベリア鉄道の利用は一部のスポット貨物が主流だった。

 今回、取り扱いを38港に拡大することで、顧客の最寄り港から船積みが可能となり、国内輸送費用を大幅に削減すると同時に、シベリア鉄道を利用することでモスクワまで従来45日~2ヵ月かかっていた輸送日数を最大で約1ヵ月短縮することを可能にした。

 取扱港は舞鶴・苫小牧・石狩湾新港・釧路・秋田・酒田・新潟・直江津・富山新港・金沢・敦賀・境港・浜田・八戸・塩釜・東京・横浜・名古屋・清水・大阪・神戸・水島・広島・大竹・岩国・徳山下松・中関・高松・松山・高知・門司・博多・志布志・大分・細島・熊本・八代・薩摩川内。

 日露間の貿易は、日露首脳会談の開催など国家レベルでの経済交流が進み、今後、自動車関連部品・化学品・電子機器等のロシア向け貨物量の増加が見込まれており、海上輸送より速く、主要港までの国内輸送に伴う費用・輸送日数・CO2排出量を削減できる独自の複合一貫輸送サービスとして提供していく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流界のトップトピック『ゆく年2016』
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(72) 『民進党のマニフェストを読んで驚いた(その9)』
    ☆日中ビジネスワンポイント(158) 『香港とマカオの旅(2)マカオには世界遺産が30ヵ所以上もある!』

  • ☆脳MRI法成立で国土交通省が健康起因事故防止のためガイドライン作成へ
    ☆全ト協、16年度安全性優良事業所(Gマーク)9033事業所を認定
    ☆石井国土交通大臣、日本商工会議所の三村会頭らに生産性革命プロジェクトを説明
    ☆国交省、日通の特定流通業務施設整備事業を改正物効法で初認定
    ☆国交省・藤井自動車局長が会見、トラックの事業許可更新制は現段階で想定せず
    ☆国交省が第1回自動運転戦略本部開催、三つのワーキンググループ設置へ
    ☆社整審道路分科会、中山間地域での自動運転による貨客混載で社会実験へ
    ☆取引環境・労働時間改善東京都地方協議会、来年1月にもパイロット事業開始へ
    ☆中企庁、下請け等中小企業の取引改善へ通達見直し 手形サイト将来的には60日以内に
    ☆東ト協が理事会開催、基本理念など決定
    ☆日立物流が海外法人関係者ら集めEGBM2016開催、SGHDグループとの協創プロジェクトなど紹介
    ☆東ト協が環境委開催、11月29日の国連エコドライブカンファレンスでグリーン・エコプロジェクトをアピール
    ☆佐川急便、三菱重工の造船部門に司祭管理システム導入し部品供給を効率化
    ☆ヤマト運輸とANA総研が山形県と連携協定締結、県産品の販路拡大へ
    ☆ヤマト福祉財団、第17回小倉昌男賞の贈呈式開催

今週のユソー編集室

  • ▼今年も残すところあとわずかとなった。この紙面が本紙2016年最後の号ということになり、例年どおり4~5面で各社・団体の年末トップトピックを掲載している。
    ▼16年は、大手事業者を中心に海外でのM&Aが進み、とりわけ東南アジアの成長を取り込もうとする動きが顕著だった一方で、国内における労働力不足の解消のため、物流の生産性向上による労働環境改善が強く叫ばれた年となった。
    ▼また、4月に発生した熊本地震では、東日本大震災に続きまたもや救援物資輸送が混乱するなど、一部地方自治体等の物流に対する意識の低さが露呈し、南海トラフ地震など今後予想される震災対応について、厳しい課題を突き付けられた。
    ▼トラックの自動運転やドローン(無人航空機)による宅配など、新たなテクノロジーが物流をどう変えていくのか、興味は尽きない。迎える新年が業界にとって、そして皆様にとって、よい年になるよう願ってやまない。

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