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2019年2月4日付 2734号

ホワイト経営「見える化」検討会を開催 夏ごろ認証実施団体選定、名称決定は先送り  国交省

 国土交通省は1月30日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第3回「自動車運送事業のホワイト経営の『見える化』検討会」を開催。働き方改革に積極的に取り組む自動車運送事業者の認証制度に関する実施団体名称について、事務局から「運転者の『職場の働きやすさ』認証制度運営委員会」との案が示されたが、委員から再考を促す意見が出されたため、あらためてアイデアを募ることを決めた。また、認証実施団体の選定・公表は夏ごろ、認証制度の運営開始目標を2019年度内とすることを決めた。

 認証制度は、運転職の求職者が企業を選ぶ際などの参考となるよう、長時間労働の是正をはじめとする働き方改革を重視した「ホワイト経営」への自動車運送事業者の取り組み状況を「見える化」するため創設するもの。名称については、「認証を受けていないと『ブラック企業』であると誤解を招きかねない」と懸念する声があることや、「ホワイト物流推進運動」との混同を避けるため、「ホワイト経営」に替わる団体・制度名とする方向で検討を進めてきた。

 今回示された「運転者の『職場の働きやすさ』認証制度運営委員会」との実施団体名称案については、分かりやすさなどの面から再考を求める意見が出たため、委員を中心にアイデアを募り、4月以降に公表される報告書への記載を目指す。実施団体の公募は、報告書の公表に合わせて行われ、夏ごろに選定・公表する計画。また、制度の愛称や認証マークについては、実施団体決定後に検討にかかる。実施団体については、営利を目的としない中立的な組織で、認証制度運営の実績があることなどの要件を定め、運営費用に関しては、事業者からの審査料などで賄う。

 制度の骨格については、昨年6月の第1回検討会で①「一つ星」「二つ星」「三つ星」などの段階を設ける②認証に当たっては業界標準よりも高い水準を要求する③書類作成に慣れていない事業者でも申請しやすいように分かりやすく、書類作成の負担が小さい制度設計に留意する―ことなどを盛り込んだ事務局案が示され、大筋で承認された。

 第1回検討会開催後の6~7月に労働組合と事業者に、審査項目案への現状などを尋ねるアンケートを実施。トラック事業者については、全日本トラック協会経由で108件の回答を得た。アンケートでは、認証取得の意向についても調査。トラックでは「申請する方向で検討」28%、「おそらく申請する方向で検討」36%と、合わせて60%で申請に前向きな回答が得られた。負担手数料の限度額は、トラックでは「5万円」が29%で最も多かった。

 第3回検討会では、さらに審査項目に対する業界の標準的水準などを把握するため、追加アンケートを実施することを決定した。前回並みの回答率を目指す。トラックの審査項目案については、前回アンケートでは64項目だったが、第3回検討会では、社会保険の加入状況などを加えた80項目とする案が示された。

 認証の有効期間は、当面2年間とするが、制度の定着状況を踏まえ、2回目以降の認証については期間延長を検討する。初年度となる19年度は「一つ星」のみ申請を受け付け、要求水準については、「一つ星=業界上位の50%水準以上」「二つ星=同25%水準以上」「三つ星=同12%水準以上」とする基準が示されている。認証取得事業者に対するインセンティブについては、実施団体ホームページへの掲載や求人票への記載などに加え、今後ハローワーク所内やインターネットサービスを通じた制度・事業者の周知を進めるとの案が示されている。

 また、第3回検討会では新たに、トラック・バス・タクシーに加え、貨物の集荷・配達に自動車による運送を行っている第二種貨物利用運送事業者を制度の対象とする方向性が示された。

第2回検討会を開催 トラック隊列走行運用仕組み構築重要  国交省

 国土交通省は1月30日、東京都港区のTKP新橋カンファレンスセンターで、「第2回新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」を開き、トラック隊列走行の取り組み状況などを検討した。

 会合では◎高速道路における大型車の利用状況◎ダブル連結トラックの本格導入◎後続無人隊列システムの実証実験状況◎コネクトエリア浜松の取り組み状況◎トラック隊列走行に関する取り組み状況◎ダブル連結トラック・隊列走行等の運用に係るインフラ等に関する課題―について、高速道路会社・国土交通省・経済産業省・日本自動車工業会の関係者が説明した。

 このうち隊列走行については、自工会の小川博主査が解説。車線変更等を手動で行う後続車有人隊列(導入型)から、車線変更等を自動で行う後続車有人隊列(発展型)を経て、後続車無人隊列走行に至るまでのロードマップを示しながら、各工程におけるメリットや課題などについて、昨年末に新東名高速道路で行われた、後続有人隊列(導入型)の実験走行の映像なども織り交ぜながら説明した。

 小川主査は隊列走行の事業化のため、車両技術と事業運用の両方が必要と訴え、ルート管理や隊列管理・緊急対応を指示する「隊列運行管理システム」、隊列要求の許可や決済などを管理する「隊列需給マッチングシステム」、隊列要求の受け入れ可否判断やルート管理などを行う「隊列形成管理システム」など、隊列を運用する仕組みの構築が必要と強調。各社の運行管理システムの一層の標準化や、隊列運用等を専門的に行う会社の設立の必要性を強調した。

 また、後続車無人隊列を想定した場合、隊列形成・解除・休憩の用地等にインフラ整備が必須となることなどの課題も指摘。併せて昨年末の公道実験で、左車線から合流しようとする一般車や大型バスが、トラックの隊列を避けるために合流レーン上で停止してしまう事例が、複数回発生したことなども報告した。

 中継物流の拠点として、昨年11月から本格的に事業を開始した「コネクトエリア浜松」については、中日本高速道路の松井保幸経営企画部長が現状を報告。現在4社と35台の契約を締結しており、11月は130台、12月は172台が利用、問い合わせも20社から受けていることを明らかにした上で、「滑り出しは好調」と述べた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆日通野球部、グラウンド・寄宿舎・雨天練習場など全面リニューアルで竣工式
    ☆佐川急便が全国9ヵ所で貨客混載輸送展開、物流効率化や地域交通維持へ貢献
    ☆佐川急便・商船三井フェリーなど3社の関東→九州間輸送が物効法に認定
    ☆運輸労連が中央委で春闘方針決定、難波委員長が物流を止めないために踏み込んだ協議を要請
    ☆LIXIL、東京都江東区・江戸川区でIoT宅配ボックスのモニターの募集開始
    ☆国交省、商法の改正踏まえ各事業の標準約款改正でパブコメ開始
    ☆日通総研短観12月調査、トラック運賃は上昇も先行きに不透明感
    ☆三井倉庫HD、先端医療用の極低温保管輸送ワンストップサービスを開始
    ☆日通がタイ工業省の訪問を受け入れ、産廃処理の適正管理など議題に
    ☆国交省ダブル連結トラック本格導入に向けて車両長限度25メートルに緩和
    ☆国交省がカンボジアとの物流政策対話の内容を公表、コールドチェーンやグリーン物流など議題に
    ☆運輸労連が2018年末一時金妥結状況を公表、前年増額となった組合が全体の7割に
    ☆NTTロジスコが3月にロジスティクス戦略セミナー開催、コンサルティングと3PLを高度に融合した自社ソリューションをPR
    ☆建交労中央労使協が全ト協等に要請活動、荷主への高速力強化など求める
    ☆帝国データが大阪万博の意識調査、物流は需要増も輸送力の確保に影響あり
    ☆関東交通共済協組、旭日重光章受章の星野前全ト協会長らを表彰
    ☆SBSHDが2019年度スローガン決定「信頼は安心安全無事故から」
    ☆物流各社の第3四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼2月に入り平成も残すところ約3ヵ月。平穏に過ぎてほしいが、毎日さまざまなニュースが伝わってきて、心が騒がしくなる。
    ▼トラック関係者にとっては、これから引越シーズンが控えている。昨年の「引越難民」は社会問題となったが、今年はどうなるのだろうか。
    ▼本紙でも以前取り上げたが、「引越難民」に対する予測はメディアによって分かれており、「減少」とする媒体がある一方、「増加」を見込むものもある。
    ▼それだけ前例のない事態だったわけだが、こうした状況は、宅配貨物を含め常態化する時代がすぐそこまで来ている。平成の次の時代に「物流難民」を発生させないよう、急いで取り組む必要がある。

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