ホワイト経営「見える化」検討会を開催 夏ごろ認証実施団体選定、名称決定は先送り 国交省
国土交通省は1月30日、東京都千代田区の中央合同庁舎で第3回「自動車運送事業のホワイト経営の『見える化』検討会」を開催。働き方改革に積極的に取り組む自動車運送事業者の認証制度に関する実施団体名称について、事務局から「運転者の『職場の働きやすさ』認証制度運営委員会」との案が示されたが、委員から再考を促す意見が出されたため、あらためてアイデアを募ることを決めた。また、認証実施団体の選定・公表は夏ごろ、認証制度の運営開始目標を2019年度内とすることを決めた。
認証制度は、運転職の求職者が企業を選ぶ際などの参考となるよう、長時間労働の是正をはじめとする働き方改革を重視した「ホワイト経営」への自動車運送事業者の取り組み状況を「見える化」するため創設するもの。名称については、「認証を受けていないと『ブラック企業』であると誤解を招きかねない」と懸念する声があることや、「ホワイト物流推進運動」との混同を避けるため、「ホワイト経営」に替わる団体・制度名とする方向で検討を進めてきた。
今回示された「運転者の『職場の働きやすさ』認証制度運営委員会」との実施団体名称案については、分かりやすさなどの面から再考を求める意見が出たため、委員を中心にアイデアを募り、4月以降に公表される報告書への記載を目指す。実施団体の公募は、報告書の公表に合わせて行われ、夏ごろに選定・公表する計画。また、制度の愛称や認証マークについては、実施団体決定後に検討にかかる。実施団体については、営利を目的としない中立的な組織で、認証制度運営の実績があることなどの要件を定め、運営費用に関しては、事業者からの審査料などで賄う。
制度の骨格については、昨年6月の第1回検討会で①「一つ星」「二つ星」「三つ星」などの段階を設ける②認証に当たっては業界標準よりも高い水準を要求する③書類作成に慣れていない事業者でも申請しやすいように分かりやすく、書類作成の負担が小さい制度設計に留意する―ことなどを盛り込んだ事務局案が示され、大筋で承認された。
第1回検討会開催後の6~7月に労働組合と事業者に、審査項目案への現状などを尋ねるアンケートを実施。トラック事業者については、全日本トラック協会経由で108件の回答を得た。アンケートでは、認証取得の意向についても調査。トラックでは「申請する方向で検討」28%、「おそらく申請する方向で検討」36%と、合わせて60%で申請に前向きな回答が得られた。負担手数料の限度額は、トラックでは「5万円」が29%で最も多かった。
第3回検討会では、さらに審査項目に対する業界の標準的水準などを把握するため、追加アンケートを実施することを決定した。前回並みの回答率を目指す。トラックの審査項目案については、前回アンケートでは64項目だったが、第3回検討会では、社会保険の加入状況などを加えた80項目とする案が示された。
認証の有効期間は、当面2年間とするが、制度の定着状況を踏まえ、2回目以降の認証については期間延長を検討する。初年度となる19年度は「一つ星」のみ申請を受け付け、要求水準については、「一つ星=業界上位の50%水準以上」「二つ星=同25%水準以上」「三つ星=同12%水準以上」とする基準が示されている。認証取得事業者に対するインセンティブについては、実施団体ホームページへの掲載や求人票への記載などに加え、今後ハローワーク所内やインターネットサービスを通じた制度・事業者の周知を進めるとの案が示されている。
また、第3回検討会では新たに、トラック・バス・タクシーに加え、貨物の集荷・配達に自動車による運送を行っている第二種貨物利用運送事業者を制度の対象とする方向性が示された。