ASEAN 地域でのコールドチェーン展開でビジョン・戦略を策定、19年度から5年間対象 国交省

国土交通省は2月27日、東京都港区のニューピア竹芝サウスタワーで第3回ASEANスマートコールドチェーン構想検討会を開き、わが国事業者がASEAN地域でコールドチェーン物流を展開するために関係機関が行うべき施策展開を盛り込んだビジョン・戦略を策定。2019年度からの5年間を対象期間として、ASEAN地域での食品温度管理の重要性に関する啓発やソフト・ハード両面での環境整備、現地法制度改善についての働きかけなどを行う。
ビジョン・戦略は、①高付加価値な貨物需要創出②わが国事業者のための基盤整備③新たなコールドチェーンビジネスの創出④新技術の活用―の4本柱で構成(上表参照)。
高付加価値な貨物需要創出では、消費者に対して食の安全確保の重要性などについての普及啓発を進めるとともに、ASEAN地域で約4割を占めるイスラム教徒に対応したハラル認証制度に関する情報取得・交換に努め、物流事業者の理解促進につなげる。
基盤整備では、17年に英国規格協会が発行した「PAS1018」や、昨年日ASEAN交通大臣会合で正式承認された「日ASEANコールドチェーン物流ガイドライン」などをベースにした規格・基準の導入を通じて、わが国物流事業者の競争優位性を高める。また、現地政府への働きかけにより、わが国物流事業者がビジネス展開する際の障害となる法制度の改善を促す。
新たなコールドチェーン創出では、商談会などを通じて、わが国物流事業者とASEAN荷主企業・物流事業者とのビジネス機会を創出するほか、モデル事業を実施してビジネス開発を支援する。
モデル事業はこれまで、国土交通・農林水産・経済産業の各省が独自に行っていたが、19年度は連携して行い、流通各段階における課題抽出や解決方策の検討などを行う。
新技術の活用では、RFIDによるトレーサビリティー機能強化や、IoT活用などによる効率化・最適化に向けて、わが国物流関連機器の導入を促進するとともに、グリーン化の観点から補助金制度をはじめとする環境負荷軽減機器購入を後押しする施策の導入を各国政府に推奨する。
ビジョン・戦略で示された施策は、国交・農水・経産の3省のほか、JETRO(日本貿易振興機構)、JICA(国際協力機構)、JOIN(海外交通・都市開発事業支援機構)、JBIC(国際協力銀行)、DBJ(日本政策投資銀行)も連携して実施する。
また、毎年度末にフォローアップ会議を開くほか、事業者のニーズ把握を目的に適宜アンケートを実施する。