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2019年5月27日付 2749号

新中期経営計画を公表 「四つの流れ」獲得し、営業利益率5%へ  日立物流

会見する中谷社長

日立物流(中谷康夫社長)は24日、2019~21年度を期間とする中期経営計画「LOGISTEED2021」を公表。同日、東京都中央区の同本社で中谷社長が会見し、新中期経営計画で掲げた売上高7200億円、営業利益360億円、営業利益率5%の目標達成に強い意欲を示した。

 同社の18年度実績は、売上高7088億円、営業利益312億円、営業利益率4.4%だったが、新中期経営計画では、「金流・商流・情流・物流」の四つの流れを取り込むことで、売上高と利益の増加を狙うとともに、生産性向上をはじめとする取り組みの成果により、営業利益率を5%に引き上げる。

 「実績に対して、新たな中期経営計画の目標が控えめでは」との質問に対して中谷社長は、計画期間中には新規の売上高500億円、SGHをはじめとする他社との協創プロジェクトで200億円の上積みを見込む一方、18年度に売却した日新運輸の減収分170億円や為替による減収100億円などを見込んでいることを説明。前中期経営計画は期間中に下方修正を行ったが、新たな計画は十分に達成可能な目標であることを強調した。

 主力の3PL事業の強化に加え、海外ではアフリカへの進出を図るほか、インドにも自前の倉庫を中期経営計画期間中に最大4件開発するなど成長市場への投資を加速させる。

 中国では、電気自動車関連の需要をファイナンスと組み合わせて、早い段階で取り込むことで、サプライチェーンの「丸抱え」を狙う。

 SGHDとの「協創プロジェクト」については、18年度は経営統合に向けた本格的な検討の前提となる「売上高200億円、営業利益20億円」の目標が未達に終わったが、19年度第2四半期には達成ラインに乗る見込みであることから、20・21年度の目標を19年度第1四半期終了までには決定できる計画であると説明した。

次期会長に渡邉日本通運会長を内定、6月25日に就任 「発信力の強化を」  物流連

 日本物流団体連合会(田村修二会長)は24日、次期会長に渡邉健二日本通運会長(全国通運連盟会長)の就任を内定した。6月25日の定時総会終了時に就任する予定。田村会長、渡邉次期会長は、要旨次のとおりコメントを発表している。

 【田村会長】

 2017年6月に会長に就任し、2年が経過しようとしている。物流業界では、労働力不足問題をきっかけにさまざまな課題がクローズアップされる一方、解決に向けた官民挙げての取り組みが本格化してきた。同時に、物流に対する世の中の認識が、これまでになく高まった時期だったと感じている。
 次期会長の渡邉氏は、裾野が広い物流業界の中で豊富な見識を持ち、業界が抱えるさまざまな課題を乗り越え、新時代にふさわしいビジョンを示してもらうことを期待している。

 【渡邉次期会長】

 物流を等身大で見ていただくための活動は、これまでの成果として物流機能の重要性の理解が社会的に進みつつあると認識している。今後はメニューを加え充実を図っていきたい。
 社会インフラとしての物流業界の機能をより高めるというテーマは、経営効率化や生産性向上を進めてきたが、今後はAI、IoTなどの先端技術の活用による自動化促進や、自然災害に対するBCP(事業継続計画)の強化なども視野に入れていきたい。
 物流企業の国際展開に資する活動は、ASEANを中心に物流調査や情報提供を進めてきたが、地域的な広がりやテーマの選定もより多様にしていく必要がある。
 物流環境対策の取り組みは、より注目度が増すと考えられる。オリンピック・パラリンピックも近いことから、これらに直結する取り組みも行いたい。
 重要なのは当連合会の発信力強化。社会が物流に対して期待と不安を持ち注目されている今だからこそ、さまざまな活動を通じて社会に対して発信していきたい。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、2019年度日通グループ 全国安全衛生大会
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(124)『足元の日本経済は堅調なのか(その5)』
    ☆四文字 『近代化へ「一歩前進」』
    ☆日中ビジネスワンポイント(187)『東西文化の十字路トルコへの旅(4)』
    ☆人物ウィークリー、ヤマトロジスティクス(株)・小菅泰治社長

  • ☆2019年春の叙勲
    ☆鉄貨協がトラックドライバー不足について28年度に27万人強と見通す、政府等に対策要望
    ☆JR貨物、山陽線列車の時刻変更等は7~9月は通常運転
    ☆日通の19年3月期第4四半期国際物流事業業績は航空事業で売上高2桁減に、連続29ヵ月のプラス伸長がストップ
    ☆ラストワンマイル協同組合がNTM社と業務提携でアディダスジャパンの配送受託、6月開始予定
    ☆陸災防が19年度通常総代会、労災死者99人以下の目標達成に向けた本部・支部一体の取り組みを事業計画に盛り込む
    ☆キュラーズが18年トランクルームの市場規模は08年比2.5倍の590億円と発表、初の40万室突破
    ☆全ト協が19年度引越安心マークの申請受け付け開始に向けて全国で説明会
    ☆自動車技術会が「人とくるまのテクノロジー展」を開催し自動車技術などPR、国内外から624社が出展
    ☆日通が新テレビCMに原英莉花プロ、世界を舞台に挑戦する姿を表現

今週のユソー編集室

  • ▼本年も11~20日までの10日間、全国で春の交通安全運動が展開された。トラック運送事業者はもとより、日本で暮らす全ての人々にとって、交通事故ゼロは悲願だと言える。
    ▼交通安全運動の重点項目には「子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止」が盛り込まれている。4月19日には、東京・池袋で高齢運転者によって母娘が犠牲になる痛ましい交通事故が発生してしまった。
    ▼高齢運転者に対する世間の視線は、近年特に厳しくなっている。ドライバーの平均年齢が年々上昇しているトラック運送業界も、認知機能を含めたドライバーの健康状態には、十分注意しておくべきだろう。

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