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2021年3月29日付 2833号

仏DPDグループと小口保冷のコンソーシアム設立 世界で参画企業募る  ヤマトHD

 ヤマトホールディングス(長尾裕社長)は24日、国際エクスプレス事業会社で欧州第2位の規模を持つフランスのDPDグループ(ボリス・ヴィンケルマンCEO)と、食品流通の確立に向けたコンソーシアム「Fresh Pass」を発足させたと発表した。今後世界各国で参画企業を募りながら、各国内外での高品質な小口保冷輸送の確立と普及を目指していく。

 「Fresh Pass」では①ISOに基づいた小口保冷輸送方式の策定②各社が保有する物流ネットワークの相互活用③「Fresh Pass」ブランドの設立と運用④小口保冷輸送に関するノウハウの共有―に取り組む。

 輸送時に荷物の積替を伴う小口保冷配送サービスの国際規格「ISO23412:2020」に基づき保冷輸送の品質管理方式の共通化を図り、参画各社の輸送資源を相互活用することで、オペレーションコストの低減や品質の担保を実現していく考え。

 参画各社の輸送資材等に共通の名称とロゴを使用し、安全で高品質な輸送方式であることを可視化。世界基準の小口保冷輸送ネットワークによって、各社のビジネス拡大や信頼性向上に貢献し、食品流通の健全な発展に寄与していくほか、小口保冷輸送の強化を目指す物流事業者へのコンサルティングや、小口保冷輸送事業に新規参入する際のサポートも行っていくとしている。

 両者は今後、「Fresh Pass」を世界各国に展開することで、持続可能な食品流通の普及を促進するためのインフラ・保存設備・加工施設の整備に加え、技術的能力の強化支援も行い、世界規模での最適な食品流通の実現に向けて取り組むとしているほか、各国の生産者・食品事業者に対しても、国内外の新市場への進出や、生産者と消費者を直接つなげる新たなビジネスモデルの創出を支援していくという。

ブロックトレイン「NF64」出発式を開催、名古屋タ~福岡タ間 「究極の隊列走行」  JR貨物西濃運輸

列車の前で記念撮影する真貝社長(左)と小寺社長(右)

 JR貨物(真貝康一社長)と西濃運輸(小寺康久社長)は26日、名古屋市の名古屋タで、西濃運輸2本目の混載ブロックトレイン(BT、往復輸送や長期契約を条件とした編成の全部または一部の貸切列車)となる「カンガルーライナーNF64」(名古屋タ~福岡タ間)の出発式を開催。あいさつで小寺社長は、「貨物列車は究極の隊列走行」とし、今後も積極的に鉄道利用を推進する姿勢を強調するとともに、秋ごろには関東~山陽間で3本目のBTを運行する予定であることを明らかにした。

 「カンガルーライナーNF64」は、24両編成のうち16両を西濃運輸が利用し、1列車当たり31フィートコンテナ22個、20フィートコンテナ10個を積載する。

 真貝社長は、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制適用が迫る中、西濃運輸は先見の明を持って鉄道利用促進に努めているとした上で、今後もセイノーホールディングスが中期経営方針で掲げる「価値創造型SDGs」の実現に向けて、鉄道貨物輸送の面から支えていくとの抱負を示した。

 西濃運輸の小寺社長は、2018年5月に運行を開始した1本目のブロックトレイン「SS60」で使用している青いコンテナが、一部の鉄道ファンから「貨物のブルートレイン」と呼ばれ親しまれていることから、「NF64」でもデザインを踏襲したことを紹介。「できればカマ(電気機関車)の直後に青いコンテナが来るように組成してほしい」と、JR貨物に冗談交じりに求めた上で、トラック隊列実現には時間がかかるとの見通しを示し、貨物列車を「究極の隊列走行」と表現、今後も積極的に鉄度貨物利用を促進する考えを示した。また、現在では混載となっている列車を、全列車貸切となるよう物量確保に努めるとともに、秋以降3本目のブロックトレインを運行予定であることを明らかにした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(11)『今年の景気は物量は?(その6)』
    ☆四文字 『トラックの増大「自家用車」』
    ☆ウォッチ(118) 『中国における新エネルギー 自動車の物流現場への導入の現状』

  • ☆センコー、長距離の新サービス「物流バス」を4月から九州~本州間で本格運行へ
    ☆日立物流がレンタルやサブスクリプション等の利用・体験型サービスを物流面から支援するソリューション「レコビス」提供開始
    ☆名鉄運輸が2030年度を目標とするグループ長期ビジョン公表、売上高1500億円目指す
    ☆国交省の運行管理高度化検討会が初会合、ロボット点呼の導入に向けた検討開始
    ☆JR貨物・福山通運が福山レールエクスプレス4号の出発式、ブロックトレイン初の千キロメートル超
    ☆物流連の渡邉会長がコロナ禍を振り返る、物流標準化の重要性あらためて浮き彫り
    ☆東ト協が理事会を開催、21年のトラフェスはウェブサイト発信
    ☆いすゞ・日野・トヨタが新会社設立し協業推進、商用車でのCASE技術・サービス企画など実施へ
    ☆全日通労組の妥結判断、一時金の前年0.3ヵ月分上積みで賃金は定期昇給実施
    ☆ヤマト運輸労組の妥結判断、コロナ禍で社員奮闘を主張しベア1746円獲得
    ☆関運局、管内トラック事業者の増車落ち込み顕著
    ☆千葉ト協が理事会開催、「標準的な運賃」届け出を荷主交渉含め支援
    ☆JIFFAが「国際複合輸送士認定講座」の成績優秀者を招き認定証授与式を開催
    ☆日通が同社所属の女子プロゴルファー・原英莉花選手のCM第3弾放映開始、「Dynamic Growth編」
    ☆西濃運輸が静岡県と包括連携協定締結、災害支援など
    ☆関運局が新型コロナワクチン輸送について自治体向けの一元的な相談窓口を運輸支局単位で設置

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省は、事業用自動車での自動点呼(ロボット点呼)導入に向けた検討を開始した。
    ▼業界からの要望が高かったロボット点呼は、運行管理者の業務負担軽減のみならず、一部事業者で形骸していると指摘される点呼の実効性向上についても効果が期待される。加えて、新型コロナウイルス感染拡大による非接触へのニーズの高まりも検討を後押しする材料となっている。
    ▼これから実証実験を通じて検証を行い、結果を踏まえた上で機器の認定制度策定などが行われるが、点呼に求められている「対面が原則」という大前提や、運行管理者が担う役割の重要性について、いま一度認識した上で、新たな制度を受け入れたい。

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