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2021年4月26日付 2837号

国内の最適サプライチェーン構築実現へ戦略的パートナーシップを締結 世界規模の展開も ヤマト運輸・ロクシタン

 ヤマト運輸(YTC、長尾裕社長)は20日、南仏をイメージした化粧品・香水・スキンケア製品メーカーのロクシタンジャポン(天野総太郎社長)との間で、顧客満足度のさらなる向上に向けて、YTCが保有する全国110ヵ所以上の倉庫ネットワークと輸配送ネットワークを組み合わせ、日本国内の店舗と公式通販サイト販売での最適なサプライチェーンの構築を実現する、戦略的パートナーシップに合意したと発表した。

 ヤマトグループの国内外の緻密な輸配送ネットワークと、110ヵ所以上の倉庫ネットワークを組み合わせ、ネットワーク上で店舗・公式通販サイト在庫を絶えず一体で流動化させるとともに、各状況に合わせた最適な輸送方法をTMS(Transport Management System)でコントロールすることで、在庫の偏りや欠品の解消、輸送コストの低減やスピード配送・納品を実現する。

 最適化されたサプライチェーンにより、店舗販売員が販売に注力できる環境や、公式通販サイト購入商品の受取可能日の前倒し、受け取り方法の多様化など、購入者の満足度向上を図っていくとしている。

 両社は取り組みの目標として、ロクシタンジャポンの物流コスト削減や、3年後の化粧品業界全国ナンバー1およびロクシタングループ内世界ナンバー1の高性能ネットワークの確立を掲げており、日本でのサプライチェーンモデルを確立後、グローバルスタンダードモデルとして、世界90ヵ国以上に及ぶロクシタングループ各国への展開を目指していく。

独自の最先端AI技術でECサポート強化へ 資本業務提携結ぶ 佐川急便・LISUTO

 佐川急便(本村正秀社長)は20日、EC特化型のAIシステム事業などを手掛けるLISUTO(ニール・プラテック社長)との間で資本業務提携契約を締結し、EC事業者向けソリューションサービスの提供において協業すると発表した。

 佐川急便は、EC事業者のサポートを目的として、出荷支援や発送荷物のトレーサビリティ、決済サービスなどを提供する「スマートクラブ for business」や、自社サービス機能の一部を外部に開放するAPI連携を活用したサービス展開「スマートAPI」などにより、顧客の課題解決に結びつく各種サポートサービスを展開している。

 一方でLISUTOは、イスラエルに開発拠点を構え、『商品とユーザーの出会いをつくる』ことをミッションに掲げ、ECの画面上に表示されるテキストや画像から特徴的な情報を自動で抽出し、ユーザーの検索に反映させるなど、高精度の自動処理や大量の情報を一度に分類・抽出・マッピング・多言語変換する独自開発の最先端AI技術を用い、商品カタログや商品データの構造化に関する深い専門知識を組み合わせた、EC特化型のAIシステム開発を展開。

 また、LISUTOは、モール型ネット通販出店者向けに加え、自社ECサイト型ネット通販向けや、SNS(会員制交流サイト)上のEC向け等について、国内外の市場に広く展開していく計画としている。

 佐川急便では、提携の具体的な内容は非公表としているが、EC事業者向けのソリューション技術を有するLISUTOとの資本業務提携により、LISUTOの高い独自性を持つサービスを実装し、モール型ネット通販出店者に対するサービス領域およびソリューションメニューを拡大、EC事業者の事業展開サポートを強化していく考えとしている。

今週掲載トピック一覧

  • インタビュー-MS&ADインターリスク総研(株)リスクマネジメント第二部交通リスク第一グループマネジャー・近藤真文氏
    ☆四文字 『定着した輸送「位置確定」』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省自動車局・猪股博之安全・環境基準課長

  • ☆西濃運輸が警視庁4組織と「大規模災害時における施設及び駐車場の使用に関する協定」を締結
    ☆デンソー・日通商事、共同でトレーラーのブレーキの異常な温度上昇検知し警告するシステムを開発
    ☆日倉協が会員向け2021年度上期「eラーニング講座」の受講者募集を開始
    ☆国交省が第3回カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会開催、宿谷物流連事務局長がヒアリングで物流業界の意見・要望伝える
    ☆警察庁、春の交通安全運動期間中の8日に統計開始以降初の死者ゼロ達成
    ☆国交省が新型コロナ影響調査、運送収入が前年同月比で20%以上減少の事業者は全体の14%に
    ☆サカイ引越センターが内閣府と災害時の物資支援等の災害応急対策に関する協定を締結
    ☆日立製作所、小西医療器の物流拠点に自動化ソリューションを納入
    ☆日本郵便、子会社のトール社のエクスプレス事業譲渡へ
    ☆サカイ引越センターが環境省等主催のフードドライブ推進の実証実験に参画
    ☆東ト協がドラレコを活用した事故防止セミナー開催、73人が参加
    ☆ヤマトHDが越境ファッションのECサイトに出資
    ☆日本郵便が一部対象地域でEMS特別追加料金導入、輸送コスト高騰で
    ☆労政審専門委が改善基準告示見直しに向けた運転時間等の実態調査結果報告、事業者と運転者の回答に開き
    ☆日野自動車がウォークスルーバン型の超低床・前輪駆動小型電気トラックを開発、2022年初夏市場投入
    ☆LEVOが過疎地域等でのドローン物流への支援事業の公募開始、倉庫への無人搬送車導入も
    ☆埼玉ト協が2代目「サイトくん」披露、全9機種をリニューアル

今週のユソー編集室

  • ▼カーボンニュートラル実現に向けた取り組みや検討が国内外で進められているが、日本国内ではエネルギー産業などと並んで輸送分野に対する期待も大きく、12月に策定された「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、遅くとも30年代半ばまでに乗用車新車販売で電動車100%実現との目標が掲げられた。
    ▼こうした中、前号1面で紹介した佐川急便の軽自動車約7200台の30年までの全車EV化の方針は、具体的なカーボンニュートラル実現への方法と時期を示したものとして、物流業界をリードするものだ。
    ▼多くの物流事業者が後に続くよう、国には十分なバックアップを期待したい。

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