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2021年5月10日付 2838号

インタビュー 船井総研ロジ(株) 取締役常務執行役員 赤峰誠司氏
荷主にメリット示し長期契約で投資促進を

 荷主と物流事業者の改革に深く携わるコンサルタントの目に、物流改革の現状はどのように映っているのか。船井総研ロジの赤峰誠司取締役に聞いた。

――この3月に「物流改革大全」を発行しましたが。

 Amazonの流通・物流のカテゴリーランキングで、発売当初から1位を獲得しています。基本的には荷主向けに物流改革を進めるための実践ノウハウを紹介した本なのですが、物流事業者の置かれている状況を踏まえて解説しています。

 荷主の担当者レベルでは、物流事業者が思っている以上に意識が変化していて、将来に対する危機感や改革の必要性も感じています。ただ、そのような危機感も、経営層にまで共有されているケースはあまり見られません。荷主の総コストに占める物流コストの比率は、おおむね5%程度ですから、経営層から見れば、生産コストや原料の原価、人件費などと比べて、相対的に関心が低くなっているのです。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

当期純利益が過去最高に 堀切副社長が決算会見で特殊要素反動減への対応が重要と語る 日通

 日本通運(齋藤充社長)は4月28日、2021年3月期連結決算を発表、コスト圧縮効果、航空スポット需要の取り込みなどにより親会社に帰属する当期純利益が過去最高益を記録した。

 同日記者会見した堀切智副社長は、大幅増益を確保した一方で、特殊要素の反動減への対応が今後の重要なテーマの一つと語り、短期・中長期的取り組みにより収益基盤を拡大・強化していく方針を強調した。

 経常・当期純利益の大幅増益は、前年度の海外現地法人の評価損計上、21年度の日通商事リース事業や日通自動車学校等の事業譲渡益、政策保有株式の売却益などによるもので、加えて、スポット扱い増加や航空利用費単価上昇に伴い売上高が高水準の航空フォワーディング事業が大きく寄与したと説明。

 反動減の対応として、短期的には売上高確保と外注費を中心としたコストコントロール、中長期的には経営計画に掲げるコア事業の成長戦略、日本事業の強靭化戦略による収益基盤の拡大・強化などにより、長期ビジョンの実現に取り組んでいくとした。

今週掲載トピック一覧

  • インタビュー-船井総研ロジ(株)取締役常務執行役員・赤峰誠司氏
    ☆経済と物流の表裏分析(13)『緊急事態宣言の影響(その1)』

  • ☆ヤマトHD、EC需要の急拡大に対応し売上高・営業利益・経常利益いずれも過去最高に
    ☆SGHD、EC需要の増加で売上高と各利益とも上場以来過去最高に
    ☆日通が来年1月に持ち株会を設立しグループ会社を2ステップで再編、警備輸送分社化も検討
    ☆日立物流の中谷社長が決算会見、次期中計では海外の投資・M&A展開
    ☆SGL・ロジクラがECフルフィルメントサービス「XTORM」の提供開始、物流と在庫管理を融合
    ☆ヤマト総研が懸賞論文「2030年の物流―持続可能な社会に資する物流のニューノーマル」の受賞5作品を発表
    ☆センコーGHDがオーストラリア拠点のエアロ―ド社株60%取得しグループ化
    ☆SBSHDが古河物流を子会社化、株式66.6%取得へ
    ☆日本郵便が東電HDとEV導入の拡大等で提携、秋にも実証実験
    ☆労政審専門委、改善基準告示見直しに向け作業部会が初会合
    ☆秡川国交省自動車局長が定例会見、トラックの求荷求車システム活用した取引環境適正化調査の早期実施に前向き
    ☆国交省が「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン 加工食品、飲料、酒物流編」取りまとめる、飲料・酒物流を追加
    ☆国交省・経産省が自動運転レベル4の実現に向け報告書、次期プロジェクト盛り込む
    ☆国交省・農水省が効率的な輸出物流の構築に関する意見交換機会の検討結果を取りまとめる、最適な輸送ルート確立など今後の取り組み示す
    ☆日通が「脱炭素社会に生き残るロジスティクス」をテーマに物流セミナー、名古屋でオンライン併用開催
    ☆センコーGHDが6月に複合施設「セクト―ル潮見」をオープン
    ☆佐川急便が液化石油ガスのアストモスと災害対処活動に関する相互協力協定を締結
    ☆各社の21年3月期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼ヤマトHDとSGHDの宅配大手2社は先月末、相次いで2021年度3月期業績を発表した。コロナ禍の旺盛なEC需要を反映して、両社とも過去最高益を達成している。
    ▼決算会見で両社ともに強調したのが、EC需要の拡大を特需とは認識していない点だ。もともとEC化率の低かった日本では、ECの進展は必然であり、コロナ禍はその動きを早めたに過ぎないという。
    ▼一部では、すでに各産業で物流のEC化が進んでいるとの指摘もあり、そうした流れに危機感を示す大手物流企業の経営者も存在する。宅配企業の好調な業績は、いずれやってくるであろう、業界大再編の兆候と言えるのかもしれない。

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