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2021年11月1日付 2862号

改善基準告示の見直しで事務局が見直し案示す バス・タクシーは休息11時間軸に 労政審専門委

第 6 回専門委員会の模様

 自動車運転者の改善基準告示見直しに向けた検討を進めている労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(藤村博之委員長)は10月29日、東京都港区の三田共用会議所で第6回会合を開き、タクシーとバスに関して現行8時間となっている休息期間を「原則11時間」とすることなどを盛り込んだ見直し案を提示した。トラックについては、本年度も実態調査を継続しているため、見直し案は示されなかったが、休息期間については、タクシー・バスと同様に、「原則11時間」を軸に検討が進められるものとみられる。

 第6回会合では、これまでの各モード別作業部会での検討状況などが報告され、タクシー・バスについては、議論や調査結果を踏まえ作成された見直しの事務局案が示された。

 事務局案では、1ヵ月の拘束時間についてタクシーが288時間(現行299時間)、バスが年3300時間を超えない範囲で281時間(現行は4週平均の1週の拘束時間65時間)。休息期間については、タクシーが「原則11時間(週3回まで9時間)、バスが「原則11時間としつつ、これによらない場合の上限時間、回数等について別途設ける」とされた。

 こうした報告に対して、労働者側委員の世永正伸委員(運輸労連副委員長)は、「トラックについても、拘束時間を年間3300時間以内(現行は労使協定締結により3516時間)、1ヵ月275時間以内にすべき」と提案。貫正和委員(交通労連トラック部会事務局長)も、休息期間が現行の8時間では睡眠不足となり、連合の定めるインターバル時間とも合致する11時間とすることが望ましいとの認識を示した。

 また、貫委員は、日勤と長距離のドライバーでは勤務形態や休息の質に違いがあることから、それぞれに基準を設けることが必要であるとした。

 使用者側委員の馬渡雅敏委員(全日本トラック協会副会長)は、トラックは荷主都合により、運転時間や拘束時間が左右される面が大きいため、荷種ごとの基準策定を求めるとともに、荷主に対して厚生労働省が過労運転防止につながる指導などを行うことを求めた。

横浜市金沢区にグループ初のDX拠点開設 SBSリコーロジスティクス

「物流センター横浜金沢」の外観

 SBSリコーロジスティクス(若松勝久社長)は10月26日、横浜市金沢区に大塚商会(大塚裕司社長)のオフィスサプライ通販事業「たのめーる」向け大型3PL拠点「物流センター横浜金沢」を開設。SBSホールディングス(鎌田正彦社長)グループの施設では初めてとなる物流DX拠点として、11月5日に稼働する。

 「物流センター横浜金沢」は、横浜市金沢区幸浦1の3の3に所在し、敷地面積は2万6612平方メートル。建物は地上4階建てで延べ床面積は5万3828平方メートルとなっており、1~3階を大塚商会向けに使用する。

 「自動化・省力化・省スペース化」を開発コンセプトに、最新のシステムやマテハン設備を装備。ロボットストレージシステム「オートストア」は2基で台車120台・ビン(コンテナ)4万422個と国内第1位(アジア圏第2位)の規模を誇り、デジタルピッキングや自動梱包機、シャトルラックなどの機器と併せ1日当たり3万3千件の処理が可能となっている。

 SBSリコーロジスティクスがSBSグループ入り前から運営を手掛ける「たのめーる」向けセンターとしては国内4拠点目となり、横浜金沢物流センターの稼働で4センター合わせて1日当たり8万8千件まで処理能力を向上させる。

 10月26日に現地で開かれた開所式で大塚商会の大塚社長は、「長年にわたりリコーロジスティクスとデジタルピッキングの開発を進めるなど、パートナーとしてビジネスを進めてきた。SBSグループ入りに際しても、鎌田社長と会って『この人ならいける』と思った。『たのめーる』はアイテム数が増えており、最新機器による効率アップに期待したい」と、新センター稼働による効果に強い期待感を示した。

 鎌田社長は、大塚商会がSBSリコーロジスティクスの株主でもあることを紹介するとともに、「SBSリコーロジスティクスの発展はSBSグループの発展」と述べ、「たのめーる」向けセンター運営のさらなる伸長がグループ成長の推進力になるとの認識を示した。

 SBSリコーロジスティクスの若松社長は、「当センターは、10~15年スパンのビジネスプランを見据え長期的な視点で開発を行った」とし、今後の取扱量拡大やニーズ変化への対応力の高さをアピールした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆経済と物流の表裏分析(26)『トラック運賃の足元の動向と見通し(その4)』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省自動車局・谷合隆安全政策課課長

  • ☆日立物流中谷社長、次期中計期間にアジア圏の3PL拡大へ数百億円規模の投資
    ☆船井総研ロジが物流コストの値上げに関する調査結果を公表、21年以降は値上げ要請増加の見通し
    ☆全ト協が第53回ドラコン開催、内閣総理大臣賞は日立物流西日本四国AE営業所の島村選手
    ☆東ト協連が運賃動向調査、標準的な運賃の適用は「できない・できるかわからない」が55%
    ☆日貨協連が来年5月リリース予定「WebKIT2プラス」の記者発表会、標準的な運賃参考表示など新機能を説明
    ☆日通が日系フォワーダー初のセルビアに支店開設
    ☆ヤマトHDがファンドを通じて水を燃料に用いた超小型衛星用推進機開発のスタートアップ企業に出資
    ☆メルカリが物流会社メルロジを設立、ノンアセット型で自社物流網整備へ
    ☆三井倉庫HDがサステナリンクの特設サイト公開
    ☆SGムービングが家電リサイクル新システム「料金管理統括業者回収方式」で初の「料金管理統括業者」に選定
    ☆モノフル・船井総研ロジがオンラインセミナー、運賃値上げ交渉の有無を荷主側が探る動き
    ☆政府が第6次エネルギー基本計画を閣議決定、省エネを見える化しインセンティブ強化
    ☆国交省が物流の改善に向けたセミナーを12月以降オンラインで4回開催
    ☆国交省がパレット化の進んでいない衛生用品分野の物流改善に向けアクションプラン策定へ
    ☆国土交通省の村山一弥道路局長が書面就任会見で抱負、高速道路SA・PAの休憩環境改善や中継輸送・隊列走行の促進へ
    ☆経産省関係者がFOOD展で講演、物流コストインフレ対応し物流を経営の中心に
    ☆アートが新サービス「ラクモ」開始、部屋の模様替えをサポート
    ☆日通が大阪港貨物センターの自動仕分機を刷新
    ☆香港日通が医薬品GDP認証を取得、自社倉庫と輸送サービス提供へ
    ☆物流各社の第2四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼本号が発行されるころには、衆議院議員選挙の結果も出ているはずだ。当選議員の方々には経済・社会の立て直しに向けて、全力を傾けてもらいたい。
    ▼遅ればせながらではあるが、自民・立民の両党が公約に掲げた物流政策を見てみた。自民党は総合物流施策大綱をベースとしたDXや標準化など現行施策の推進をうたっており、立民党は燃料サーチャージの法制化や労働条件改善、高速道路の見直しによる物流効率化などを打ち出している。
    ▼両党とも物流に対する問題意識は感じられ、その点では心強いとも言える。2018年の改正貨物自動車運送事業法成立時のように、両党が一致協力して改善が進むよう望みたい。

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