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2023年1月23日付 2918号

トラックの標準的な運賃 期限延長の検討も 持続可能な物流検討会が中間取りまとめ案

 国土交通省・農林水産省・経済産業省は17日、対面・オンライン併用で第5回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を開き、関係事業者からヒアリングを行うとともに、事務局が提示した中間取りまとめ案について意見交換した。
 中間案は物流政策の方向性として「物流事業者・荷主企業・消費者が『三方良し』となる社会を目指す」として、最終取りまとめに向けては「KPIを含めたイメージを示す」と明記。焦点となっている着荷主企業の物流改善への取り組みについては、物流サービスに応じて価格を変動させる『メニュープライシング』など、物流コストの見える化を促進する施策を検討すべきとした。また、物流プロセスの課題の一つに「ドライバーの賃金水準の向上はまだ道半ばの状況となっている」ことを挙げ、標準的な運賃制度の延長など所要の対応を検討する必要があるとしている。
 中間案は根本敏則座長一任のもと一部修正の上、今月中に最終版として公表する。第6回の検討会は2月17日に開く。

 中間案は労働時間規制等による物流への影響を分析した上で①物流の危機的状況に対する荷主企業や消費者の理解の醸成が不十分②物流プロセス③物流標準化・効率化―を課題として挙げた。その上で、総需要輸送を抑制して効率的な輸送を実現するためには「発荷主企業、物流事業者、着荷主企業が連携・協働しつつ、それぞれの事業において、待機時間・荷役時間等の状況を把握し、改善を図るための取り組みを実施する必要がある」と指摘。事業規模や貨物特性といった事情を勘案しつつ「既存の制度を参考に、それぞれの事業者に対して、計画的な物流改善を促す措置について検討すべきである」との考えを示した。

 現行制度には着荷主企業の物流改善を主目的にしたものは存在しないが、中間案は「特にサプライチェーン全体の最適化にあたっては、物流需要の拠点である着荷主企業の協力が非常に重要である」と強調している。着荷主企業は「物流サービスの程度に関わらず、発荷主企業に対して同一の商品販売価格を支払う」ため、繁忙期を避けた発注や発注の大ロット化、パレチゼーションなどの「物流負荷軽減に資する取り組みを行うインセンティブが働かない状態となっている」ことを問題点として挙げた。

 中間案はこうした現状を踏まえ、着荷主企業に物流改善への取り組みを促すには『メニュープライシング』など「商取引における物流コスト可視化を促進する施策を検討する必要がある」との考えを示している。

記事全文は電子版から

NXHD CO2排量削減に向けて中長期目標を設定

 NIPPON EXPRESSホールディングス18日、CO2排量削減に関するNXグループの中長期目標を設定したと発表した。
 世界的な平均気温上昇を産業革命以前と比較し1・5度に抑えるという世界的な目標の実現に貢献するため、NXグループは、これからも長期的視野に立ったサステナビリティ経営を実践し、事業を通じて気候変動対策に取り組むことで、人々のより良い暮らしと持続可能な社会の発展に貢献していくとしている。

 中長期目標は次のとおり。
 〈2030年目標〉13年比でNXグループ全体のCO2自社排出量の50%削減を目指す。
 〈50年目標〉NXグループ全体でカーボンニュートラル社会の実現に貢献する。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ(140)『中国におけるロボットとドローンによる無人配送物流の取り組み』

  • ☆国交省が2024年度中に高速料金の深夜割引を見直し、適用時間拡大など
    ☆日本通運が横浜・福岡両支店にEVトラック導入、年内に10台の導入予定
    ☆日本ロジスティクスシステム協会が新年記者発表会、大橋会長「持続可能な社会の実現に向けて新たなスタート」と表明
    ☆交通労連トラック部会が中央委で2023春闘方針固める、賃上げ要求率5.5%程度に
    ☆国交省が官民物流標準化懇談会パレット標準化推進分科会開く、物流連標準化小委員会から検討結果を報告受ける
    ☆JR貨物の犬飼社長の定例会見、2023年は「貨物鉄道の特性を発揮し、増送活動を展開」と抱負語る
    ☆セイノーHDが新年互例会、田口社長「自己の成長を通じて顧客の繁栄に貢献を」とあいさつ
    ☆三菱倉庫がBYD乗用車事業受託、横浜に専用センター開設しEV供給体制を構築
    ☆山九、三井物産・デンソーと共同で100%バイオディーゼル燃料を使用した実証実験を開始
    ☆セイノーHDなど5者、日本初のトラックとドローンの連携物流で実証実験を実施
    ☆通運連盟が鉄道利用運送推進で2月9日全国大会、今後の方針決議へ
    ☆国交省などが第3回「高度物流人材シンポジウム」を開催、求められるスキルなど学ぶ
    ☆運輸、交通両労連が昨年末時点の年末一時金・臨時給の妥結状況を公表、両労連とも増額に
    ☆NXHD、サステナビリティ方針とビジョンを策定
    ☆埼玉ト協、交通環境部を再編・強化し「環境防災部」を設置へ
    ☆JR貨物が稲沢~四日市で運行するラッピング機関車を披露、愛称は「Ai-Me(アイミー)」
    ☆DTHD、故武藤幸規社長の「お別れ会」を2月6日東京、14日山形で
    ☆物流業界の新年会

今週のユソー編集室

  • ▼年が明け、物流業界では業界団体などを中心に、新年会を復活させる動きが出ている。出席人数を絞ったり、立食から着座に変更したり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮しながら、それでも出席者は楽しそうだ。
    ▼先日出席したとある団体の賀詞交歓会では、食事もそこそこに名刺交換にいそしむ出席者も多く見られ、主催者あいさつで枕ことばのように語られる、「3年ぶり開催」の期間の長さを思う。
    ▼諸物価の値上げなどで景気低迷の懸念も出始める中で、喫緊の課題が山積する物流業界をさらに発展させていくためにも、こうしたイベントの復活を通じて、業界の結束を一段と強めていきたい。

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