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2023年7月10日付 2941号

業種の垣根超え幹線中継輸送の実証実験 2024年問題の解決に向けて デンソー、三井倉庫ロジなど7社

スワップボディコンテナ交換の様子

 デンソー、アスクル、エレコム、タカラスタンダード、三井倉庫ロジスティクス、安田運輸、大和ハウス工業はきょう10日から14日まで、スワップボディコンテナを用いた幹線中継輸送サービス「SLOC」の実証実験を実施する。
 2024年問題の解決に向け、業種の垣根を超えて7社合同で実施するもので、ドライバーが行う輸送作業と荷物の積降などの荷役作業を切り分け、荷主が荷役作業を行う「荷役分離」や、異業種による複数の荷物を同じコンテナに積載する「混載輸送」も行う。
 実証実験は関東~関西間の輸送を浜松市と埼玉県坂戸市に中継地点を設け◎1日6便(関西発3便、関東発3便)を運行し、事前に合意したスケジュールどおりに運行できるかの検証◎中継地点に複数台のコンテナが置かれた場合でも、ドライバーが間違えずに脱着できるオペレーションの確認と課題の検証◎スマートフォンとQRコードを活用したコンテナ管理システムの利便性確認◎複数荷主の貨物を混載輸送した場合の役割分担や責任区分の確認と課題の検証―を行う。
 参加企業の役割は◎荷主=アスクル、エレコム、タカラスタンダード、三井倉庫ロジスティクス◎荷主・混載作業=安田運輸◎中継地点(マルチテナント物流施設「DPL坂戸Ⅱ」)提供=大和ハウス工業◎コーディネーター(運行スケジュール立案など実証実験取りまとめ)=デンソー―で、運送協力企業はアートバンライン、遠州トラック、高伸物流、トランコム、フジトランスポート、優輪商事。

在庫管理でのデータ分析を自動化などで支援 新サービスの提供開始 ロジスティード

 ロジスティードは5日、物流センターの在庫適正化支援を目的に、在庫管理でのデータ分析自動化やAI・シミュレーションによる分析の高度化・「見える化」を可能にする新サービス「SCDOS協調型在庫コントロール支援サービス」の提供を開始したと発表した。
 新サービスは、物流センターの在庫管理を行う顧客の物流本部・商品本部や、取引先などのステークホルダーをデジタルでつなぎ、データに基づいた在庫適正化を推進するもので、2021年7月から実施した杏林堂薬局の物流センターを対象とした実証実験で、熟練担当者のデータ集計・加工・分析業務を1ヵ月当たり25時間削減でき、物流センターの在庫を6~15%削減できるとの見込みを確認。23年度よりサービス提供を開始した。
 ロジスティードでは、物流事業で培ってきたオペレーションノウハウと、デジタル技術を活用した予測・シミュレーション・最適化により、顧客の課題解決を支援するDXソリューションの開発を推進してきており、SCDOS(Supply Chain Design & Optimization Services)は、サプライチェーン上の情報をデジタル基盤で一元管理・可視化し、分析・シミュレーションを加えて課題解決をサポートするソリューションの総称。DX実行力を融合し、物流戦略の意思決定から現場オペレーションの変革まで、幅広いメニューで顧客のサプライチェーンの最適化を支援する。
 システムの特長は次のとおり。
 ①実績管理モニタ
 DWH(Data Warehouse=さまざまなシステムから大量のデータを収集し、整理して保存する「データの倉庫」)を構築することにより、これまで担当者が各拠点の物流実績データを加工・集計していた作業プロセスを自動化し、鮮度・精度の高いデータで、物流センターの現状を見える化。
 ②在庫分析モニタ
 WMS(Warehouse Management System=倉庫管理システム)の入荷実績から推定したアイテムごとの発注ロット・発注サイクルなどを考慮したAI・シミュレーション技術の活用による需要予測・在庫シミュレーションを行い、理想的な在庫推移を計算して削減可能な在庫を見える化。
 ③発注パラメータ提供
 店舗の販売実績や特売計画に基づき、翌週の発注パラメータをアイテム別に計算し、在庫基準や発注点数を参考情報として提供。

今週掲載トピック一覧

  • ☆2024年問題への対応(12)『アサヒロジスティクス』
     物流を憧れの業界に 「CS=ES=CS」実現へ

  • ☆運輸労連が札幌市で第56回定期大会、新委員長に全日通の成田幸隆氏を選任
    ☆センコーGHD、北陸エリアの事業拡大で「金沢第2PDセンター」開設
    ☆ロジスティード、グループ会社のロジスティード東日本がグループ初となる燃料電池トラックを導入
    ☆JR貨物とNPP、貨物駅構内のパレットデポにてレンタルパレットサービス「駅パレ」を開始
    ☆セイノーHD傘下の地区宅便、家庭のポストに小荷物を届ける配送サービス「コニポス」の提供始める
    ☆第11回物流センサス、6年間で年間出荷量は8.2%減と減少傾向続く
    ☆トナミ運輸、特積み事業の新拠点を東京都あきる野市に開設
    ☆SGL、千葉県船橋市に同社初の冷凍冷蔵倉庫「Cold Logi 船橋」を開設
    ☆センコーGHD、傘下の日制警備保障がアムス警備など警備会社2社の全株式を取得しグループ化
    ☆三菱倉庫と武田薬品工業、ブロックチェーン技術で運送委託先を管理する取り組み始める
    ☆ヤマトHDが同社初のグリーンボンドを発行、発行総額は200億円
    ☆第一貨物、集配職の新入社員51人が仙台市の盲導犬訓練センターで研修受ける

今週のユソー編集室

  • ▼社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会は5月の改正道路整備特別措置法成立を受け、今後の高速道路料金のあり方について審議を開始した。
    ▼改正特措法は、65年間とされていた高速道路料金の徴収を最長で2115年まで延長することを柱としている。本来は、債務返済後に無料となるはずの高速道路料金だが、老朽化の進む施設の維持・更新や、新たなニーズに応じた投資を行うための原資が継続的に必要な事情は理解できる。
    ▼部会では今後、道路利用者団体などにヒアリングを行った上で年内をめどに料金のあり方についての方針を取りまとめる予定だが、物流にも十分配慮した方針となることを期待したい。

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